ちょっとお話があります!
空が明るみ始めた頃リビングのソファーで目が覚める。ちょっと気だるい。
そういえば昨日は……と昨晩のことを思い出しながら目を開けると顔を真っ赤にして口元を抑えているアリスと目があった。
ミームもアリスの肩に乗っかっていて……あれ?お前らいつの間にそんなに仲良くなったの?
こんな朝早くにどうしたんだと尋ねてみれば「あははは……男の人ってすごいんだね……」と目をあさっての方向に向けながら答える。
んーたしか昨日は上下を脱いで下着だけで寝て……って下着の中に感じるひんやりとした感触……2日連続とか……ってそうじゃなくてだな!
「お前らずっと見てたのか!」
と二人に問い詰める。
……なんというか……もしその瞬間を見られてたのなら恥ずかしさで死ねる。
「え、え~なんのことかな~私はただ寝起きに魔眼が効くかどうかちょっと試しに来ただけだよ~」
……相変わらず目を合わそうとしないアリス。
いやちょっと待て。その発言もあれだが俺の質問に答えていない。
ミームを見やると「シジ……ああなるのをじっくり見たのは初めてだけど……本当に大丈夫なの?」
「病気なんかじゃないよね?」と聞いてくる。おうおう……なんというかその純粋さが今は痛い……そうか……見られてましたか……
俺は二人に「ちょっと着替えてくる」といって部屋にこもった。……今日は鍛錬をする気にはなれない……
太陽が顔を出し日差しが部屋に入ってくる。
部屋にこもっていても腹は減るので仕方なしにリビングに顔を出す。
アリスと目があったら真っ赤になって顔をそらされた。このエロ悪魔め!
そういえばミームと離れたままだったのを思い出し「珍しく泣いてないなー」なんてことを思いながらソファーに置いたままの無明のそばに向かう。
すると無明からミームが出てきた。珍しく分体じゃなくて本体のほうだ。
「シジ。ちょっとそこに座ってください。」
というのでソファーに座り横向きにミームを見やると
「そうではなくて……私と目線を合わせてください!ちょっとお話があります!」
なんかちょっと怒ってる?
仕方なく床に座りソファーの上に現れたミームを正面から見やる。
「アリスから聞きました!あれ!毎日出さないと病気になるそうじゃありませんか!」
うげっ!若干怒りの視線を込めてアリスを見やる。
……あいつめ視線合わそうとしねぇ。アリスを睨みつけてると「こっちを向いてください!」とミームからお叱りを受けた。
仕方なしにミームの方を向き直す。
「幸いアリスから解決方法は聞いてあります。これからは寝る前にマッサージをさせてもらいます!主に下半身を重点的に!」
……アリスの奴め!うちの子が汚されてしまった……ぐぬぬ……かくなる上はかっk「足とか頑張って揉みますからね!」……はい?
後ろでアリスが吹き出していた。
なんだかちぐはぐな宣言だったので聞いてみれば
「下半身をマッサージして気持よくさせればいいのでは?」
と返ってきた。
よかった……このセリフでまず足とか出てくるあたりうちのこはまだ純真なままだ。
とりあえず逃げようとしたアリスのこめかみを押さえグリグリしておく。
ついでに寝てる間に空間収納へ届けられた「従魔の首輪」を首に巻きつけてやる。
アリスは「へ!?え?え?ちょっと!?」と混乱しているがまぁ無理もない。
「従魔の首輪(悪魔族)」は悪魔を隷属させその力を大きく削ぐという効果を持つ首輪だ。
見た目は黒のリボンの付いたチョーカーで人に化けた悪魔が普段つけていてもなんの違和感もない。
奴隷に使われる「隷属の首輪」とも意匠が違うので奴隷と間違えられることもないだろう。
効果を教えてやると「こ、こんなもの付けさせて私にエッチなことを強要するつもりでしょ!」なんて言ってきた。
……こいつ口ではなんだかんだ言いながら実は期待してないか?
とりあえずミームに余計なことを吹きこまないように命令しておく。
俺はミームに「足のマッサージ期待してる」とフォローをして朝飯を作るために台所に向かう。
そういえば昨日アリスは夕飯食べたっけ?
そもそも悪魔ってご飯食べるのか?と思って聞いてみると「必要ではないけどあったら食べるー」と返ってきた。
ミームの分は俺のをちょっと分ければいいから二人分か。
そう考えながらちょっと遅目の朝食の用意を始めるのだった。




