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晩餐

 冒険者ギルドから借家に帰る途中顔見知りに出会った。


「ポロロさんにメリシアさん。どうしたんですか?」


 二人は何度かパーティを組んだことのある冒険者だ。

 ポロロさんは赤髪に短髪の男性。

 メリシアさんは緑髪で炎のように逆立った髪型をしている女性だ。ちなみに巨乳である。

 ふたりとも武器屋経由で知り合った高ランク冒険者だ。

 レベルは俺より低いが勝負ではなかなか勝たせてもらえない。


「なに、帰ってきてるのを見かけてな。ギルドに報告に行ってたんだろう?」


 どうも俺の家に向かう途中だったらしい。

 せっかくなので家に荷物をおいて食事に繰り出すことにした。


 最近飯がうまくなったと評判の酒場に入る。

 ひと通り注文を頼み数日ぶりのまともな飯に舌鼓を打つと、二人に訪ねてきた用件を聞くことにした。


「いや、例の依頼に一人で言ったって聞いたからな」


 さっきまで受けてたの依頼のことだ。

 こういった依頼にそれぞれ誘った時はほぼ高位の魔物が関わっていたので、今回もそうではないのかと心配してくれたのだろう。


「そうよ~お姉さん心配しちゃったんだから~」


 といつの間にか後ろにまわりしなだれかかってくるメリシアさん。

 「は~な~れ~て~く~だ~さ~い~」とミームが押し返そうとしているが…正直胸の感触でお腹いっぱいです!ありがとうございます!


「こほん。え~今回の…」


 俺はわざとらしく咳を入れ今回の依頼の説明を始める。

 メリシアさんの胸の感触を楽しみながら。

 だが顔がにやけていたのだろう。ミームの攻撃の矛先がこっちに移ってきた。


「…ひょいうふわひぇへぶひぃひゃへっへこひぇまひひゃ。ひんひゃいひへふひぇひぇあひひゃひょうひょひゃいまひゅ」


「すまん、なにいってるのかわからん」「ちょっと何言ってるのかわかんないわね~」


 …俺は唇を引っ張っていたミームを引き剥がしメリシアさんに席に戻ってもらう。


「つまり俺一人でも問題ないことがわかっていたので今回は一人で行きました。後心配してくれてありがとうございます。」


 二人は俺が「知る」系の強力なギフトもしくはスキルを持っていることに気づいている。

 そのためこんな説明でも意味は伝わる。

 それに実際そうだったのだ。

 今回の黒幕だった魔法使いは悪魔召喚を目論んでいた割に悪魔召喚系のギフトもスキルも持ってなかったし、悪魔知識のスキルすらなかったのだ。

 え?なんでそんなことがわかるのかって?…ぐぐーるさんて便利ですよね…


 パーティーを組むとはいえ自分のわかっているギフトやスキルを教えることはあまりない。

 確認する方法がないのもあるがこれらは切り札にもなるからだ。

 仲間に開示するのはせいぜい○◯が得意で○◯が出来る程度だろうか?


「まぁぶじでなによりってことで。それでは改めて」


 乾杯ーとグラスを合わし中身を一気に飲み干す。

 エールのおかわりを頼むと「それはそれとして…」とメリシアさんが体を乗り出してくる。

 胸がテーブルの上に乗っかって…おっぱいって自重で潰れるんですね…眼福です…


「…前の迷宮探索から半年経つけどそろそろ行かないの?」


と聞いてきた。


 「噂の幸運男がどんなものか見てみたいなー」と可愛くおねだりのポーズをしている2Xさ…げふんげふん。オヤオカシイナサムケガスルゾ。


 俺はだいたい半年に一度のペースで迷宮に出向いている。

 とはいってもソロでだが。

 獲得資金アップのスキルがすごすぎてうかつにパーティーを組めないのだ。

 コレがどのくらいすごいのかというと10匹倒して1落とすドロップ率が1匹倒して3つ落とすドロップ率になるといえばわかってもらえるだろうか?。

 ちなみにドロップをする敵というのは通称”あたり”とよばれ他の個体より強い場合が多い。

 そのため獲得資金アップの倍率は冒険者学校の頃から上げていない。

 幸運男ラッキーマンというのは主にスキルの効果で冒険者学校の頃に付けられた字名の一つだ。

 それが噂として流れてきたのだろう。

 少なくとも借家とはいえ王都で鍛錬用の庭付きの一軒家を借りれるくらいの稼ぎはあるのだ。

 噂が本当だと思う人がいても無理は無いだろう。


「…イシスもホリブロッシュもそろそろ休眠期に入りますよ。それにすみませんが俺は迷宮はソロで挑む主義なんで」


 イシス、ホリブロッシュとはそれぞれ迷宮都市の名だ。

 この国には迷宮はいくつかあるがその中で最も稼げる迷宮は?と聞かれればこの2つを挙げるだろう。

 休眠期というのは迷宮がその構造を変えるため迷宮に入ることを禁止される期間のことである。

 休眠期のすぐ後には宝箱が出現することもあるので「一攫千金を狙うなら休眠期明けをねらえ」というのは迷宮に挑む冒険者の半ば常識である。


 「そっかーざーんねんー」とあんまり残念ではなさそうに言うメリシアさん。

 一方聞いていたポポロさんは残念そうだ。

 理由を聞いてみたい気もするが藪蛇になりそうなのでやめておく。


 そんなわけで俺は久しぶりに二人との会話を楽しんだ。

 メリシアさんのおっぱいに目が釘付けになるたびにミームの攻撃を受けながら。

 二人とは酒場で別れメリシアさんをポポロさんが送っていった。


 …さて…この目の前を行くお怒りのミームのご機嫌をどうやって取ろうか…


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