ギルドの評価
夕暮れ時、俺達は王都の城門をくぐるとギルドへと足を進める。
王都の様子は夕暮れ時のせいかいつものよりあわただしく見える。
もう日も暮れるというのでいろいろといそがしいのだろう。
…冒険者ギルドへ行く傍ら街の中ですれ違うおねーさん達の体にどうしても目がいってしまう。
そのたびミームの機嫌が悪くなるのだがそれはまぁいつものことだ。
ギルドに到着し依頼完了の手続きをしてもらう。
今回の担当は新人らしく俺より年下の…暑いのかちょっとゆるやかな服をきた肉付きの良いお嬢さんだ。
思わず胸をガン見しそうになるが何とか持ちこたえ受付のお嬢さんを見やる。
顔はちょっと田舎っぽいが素材は悪くない。王都には出てきたばかりだろうか?
俺は冒険者カードと依頼人から貰った割符の入った便箋をとり出し依頼完了の手続きを行う。
カードの色は若葉色からやや黒ずんだ赤になっておりそれなりに上の方のランクであることを示している。
今回の依頼は王都から3日ほど離れた村で起こる謎の失踪事件の解決である。
さらっていく魔物を退治するではなく事件の解決である。
誰もやりたがらないうえ緊急の依頼だったので俺に半ば押し付けるようにお鉢が回ってきた。
…これ、村人をさらっていく謎の魔物を退治してほしいって依頼で出しておけば結構受ける人がいたと思うんだがなぁ。
ぐぐーるさんで原因がわかっていた俺は特に応援を連れることもなく村に向かい、領主…の娘を生き返らせてやるとささやいて実際は悪魔召喚の儀式を行おうとしていた魔法使いをさっくり退治(悪魔を召喚できなかったので弱かった。)。
領主と領主の娘さんを離別の香(死者と少しの間だけ会話ができるアイテム)で会話させてやり領主の娘さんへの思いを断ち切って解決である。
依頼主は領主の奥さんだった。報酬には色を付けてくれるそうだ。
ちなみに悪魔というのはその昔、勇者に倒され世界中に散らばった魔王の肉体のかけらから生まれた存在である。
それにしても倒した魔王の体が世界中に散らばるって…勇者一体どんな倒し方したんだよ…とぐぐーるさんに聞いてその内容のあまりの酷さに後悔したのはつい最近である。
…イケメンを爆発させるギフトとかマジあるんだな…
離別の香のことで色々と聞かれたが、自分の持つスキルだということでごまかした。
この世界、ギフトやスキルを確認できる方法は基本的にない。
その上明らかにおかしな効果を持つものもあるためコレで通ってしまうのだ。
もっともあまりに便利なギフトやスキルを持っていることがバレてしまうと色々と厄介なことになるため口止めは念入りにしてある。
「はい、お待たせしました。依頼完了になります。そしてこちらが報酬になります」
と、予想より重い貨幣の入った袋を受け取る。
んーこれは口止め料かな?
まぁ事件に領主が関わってたとか特に吹聴することでもないしな。
袋を仕舞っていると受付のお嬢さんからの視線を感じる
「どうしたの?」と聞いてみれば俺はなんだかこのギルドで有名人らしい。
何でも原因不明の事件をことごとく解決するからだとか。
それでこの依頼無理やり俺に押し付けたのか!道理でおすすめ聞いた時にこの依頼プッシュしてくるなぁと思ったよ!
依頼に原因不明ってのがあるときには魔物じゃなく人が絡んでいることも多い。
この案件に当たるとやたらめんどくさい。だがそうでなければ高位の魔物…知恵をつけたやつだ…が原因だ。
ぐぐーるさん経由でどっちが原因かはわかるので魔物が原因のをメインで受けてただけなんだがなぁ。
もちろんその時は今回のようにソロではなく信頼のできる何人かでパーティーを組んで行く。
武器屋のじーさん経由で知り合った高レベルの冒険者が主なメンバーだ。
ミームが擬態のスキルを獲得し目立たなくなってから、じーさんは店の客に俺のことを話していたらしい。
「見どころがあるから気にかけてやって欲しい」と。
おかげで格上相手にしごかれたりしごかれたりしごかれたりとかいろいろあったけどな!
まぁそんな縁で冒険者学校を卒業してからも色々と世話を焼いてもらっている。
そんな依頼を解決し続けていた俺は「謎解き人」だなんて密かに二つ名が付いているらしい。
謎解き人…いや謎なんてぐぐーるさんに聞いたら一発なんですけどね。
興奮しながら話をする受付のお嬢さんの揺れる胸を堪能した俺は、見てるのがバレて機嫌を悪くしたミームをなだめながら、日が沈み暗くなった街へと足を踏み出すのだった。




