邪精霊
バリバリバリバリッーーー!!!
人の腕ほどの太さのある光る雷のような魔法が俺達に襲いかかる。
俺はミームの能力を発動しその光撃を打ち消す。
その数10か20か…この敵は俺が倒せば倒すほど強くなる…そして倒した痕跡を嗅ぎつけてまた新たにそいつらはやってくる…
「んもー一体どれだけ出てくるのよ!」
「さ、さすがにこれは…」
そう、きりがない。
そいつの名はウィル・オー・ウィスプ。姿はググれ。光の光球で邪精霊…つまりは精霊の一種だ。
普通の精霊の生まれ方はググってもらうとして迷宮のようなところで生まれた精霊のようなものが邪精霊だ。基本魔物と変わらない。
今の俺にとって厄介なのは”精霊のようなもの”という点だ。俺が魔物を倒すと精霊貨…精霊触媒という精霊の好物でもあり成長を促進させる物質が放出される。
つまりは…倒せば倒すほどまわりの奴らが強くなっていくんだよーっ!
俺達は6階に降りてしばらくして上の階層にも出ていたウルフの上位版、デンジャーウルフの集団を鎧袖一触で蹴散らしたんだがそこにヒョッコリと姿を表したのがこの光球だ。
まだ光の粒子を放出するデンジャーフルフの死体の周りをさまよったかと思ったら急に大きさが倍になりやがった。
そして次々と匂い?に惹かれてくるように現れるウィル・オー・ウィスプの集団。
最初はサクサク倒していたんだが徐々に一撃では倒せなくなり…こいつらだんだんと強くなってやがる!それに気づいた時には冒頭の状態である。
「ウィル・オー・ウィスプがこんな派手な魔法を使うなんて!」
聞いてないというふうにリリアが叫ぶ。
「どうやら強力な個体のようですね…しかしそれにしては数が多いような…」
ルナーのつぶやきは無視だ無視。
さっきぐぐーるさんに聞いたんだが俺のせいだなんて言えるわけがない。
それにしても「シジ・ペントトリー 現状」のワードで状況を返してくれるんだから便利だよなー。
それでも敵の光撃はとどまるところを知らず。このままでは状況が動かないなー。しかたない。
「一発大きいのを放って今の光撃をかき消す。それに合わせて二人で強力な魔法を頼む。」
「はぁ…こんな状況になってようやくあたしたちの出番ってわけね…」
「まかされました~。」
ミームの能力を壁状に固定し簡易バリケードにして詠唱が完了するのを待つ。
詠唱が完了すると俺は魔力喰いの能力を最大にしてウィル・オー・ウィスプたちを薙ぎ払った。
この後リリアたちの魔法が当たれば暫くの間隙ができる。そしたらさくさくっと殲滅してしまおう。
次々湧いてくるとか何このボーナスステージ。精霊貨、稼がせていただきます。
「今だ!」俺の掛け声に合わせて魔法が放たれる。と同時に俺はウィル・オー・ウィスプたちに向かって駈け出した。
「「なっ!」」
ちょっとあんた何やってんのよ!との声が聞こえたが無視する。敵は少々強いが問題ない。いわゆる俺TUEEEの舞台というやつだ。目の前を先行する魔法が敵に当たれば魔物退治のお時間だ!
「駄目ですご主人様!!」
走りだしてすぐミームから悲鳴が上がる。と同時に俺に先行していた2つの魔法が掻き消えた。目の前に映るのは俺に向けて力をためた光球の群れ……
バリバリバリバリッーーー!!!
俺に向かって放たれる幾筋もの光の帯。雷ではないのかしびれはない。ただ焼けつくような痛みをいくども感じて吹き飛ばされた。
初めて魔物から受ける痛みに俺はショックを受けていたが
「ご主人様右によけて!!」
ミームの声に従いゴロゴロと地面を転がりながらかっこわるくその場を離れる。と同時に今までいた場所を光の帯が通り過ぎていく。
「私に魔力を通してください!それで少なくともあの攻撃は防げます!」
え……あの敵は今から俺が軽くひねる相手で攻撃を食らうk「早く!お願いします!」
俺は回らない頭で言われるままミームに魔力を通す。そうすると眼前が真っ白になった。ああ……魔力喰いの能力で敵の光撃を留めてるのか。……なんだか綺麗だな……
ミームの叫ぶが聞こえる……しばらくすると俺の手が引っ張られた。俺は逆らうこともせずその方向に歩いて行った……




