戦闘終わって
戦闘はあっけなく終わったので魔物が消滅した地点を見やる。
迷宮の魔物の死体が消滅したあとに残されるのは魔素が固まったレア部位。いわゆる結晶部位だ。
迷宮の魔素の濃度がどうたらこうたら。詳しくはググれ。
残された結晶部位を空間収納に収納するとリリアとルナーがポーッとした目でこっちを見てる。お?なんだ?俺のかっこいい一撃に惚れちゃったか?
「ほんとうに綺麗ね。その剣。」
「ええ、思わず見惚れてしまいますわ」
残念!剣に見惚れていただけでした!はずかしー
「それにしてもあんた自身は冴えないのにまわりはやたらキラキラしてるのね。その剣にしろさっきの光にしろ」
ハイ追撃入りましたー
「わたしたちも含めてね」
ちょいちょいルナーさん。それはちょっと…とはいえないくらい二人の容姿は整っている。
少なくとも二人並んで歩いていれば同年代の10人中8人は振り向くんじゃないか?……はておかしいな?二人のことは美人だと思えるのにそれは別に普通のことだと感じる。
「ちょっとそれは聞き捨てなりませんね。」とミームが剣の精霊石部分から顔を出す。そういやミームも美人なんだよなー
そうすると二人に俺がいかに自分を使いこなせているか、自分がどれだけ俺に想いを寄せているかを力説していたが……ごめんそれフォローになってない。
……それにしてもミームは俺以外に人がいるときにはああいう硬い口調…できるお姉さん風の口調になるのだが……猫かぶってるのだろうか?
ちなみに二人にはミームはギフトで成長させたのではなく魔力を与えることでこうなったと説明してある。
「ドロップ品は迷宮出たあとで再分配でいいな?」
「え、ドロップ品出たの?……迷宮入って初めての戦闘で引き当てるなんて。さすがは幸運男ってとこかしら。」
獲得資金アップのスキルを持ってるとはいえないので苦笑いで返しておく。
「それにしても……シジさんはおつよいですねぇ。」
とルナー。もっと褒めてくれていいんじゃよ?
それに同意するリリア、前回仲違いした男達でもこうも容易くはいかなかった模様。
そりゃ幼い頃からぐぐーるさんに効率的な鍛錬法を聞いて実践してましたからねぇ。まぁそんなことをわざわざいう必要もないので二人には個人ランクが高いからじゃないか?と答えておく。
まだ一体と当たっただけだが二人からの評価は概ね好評のようだ。この調子で行けばこれからもパーティーを組んでくれるかもしれない。
それじゃぁ張り切って魔物退治しますか!
そして地下5階…ちなみにこの迷宮、生徒が入れる上層は全10階である。もはや半ばまで来たということか。
結構楽勝だな。とさくさく魔物退治してたらリリアから「あんた強すぎ」と文句が来た。
「ここまで私達の出番がないってどういうことよ!」
おんやぁ?それのどこがが悪いと?守られるお姫様はお嫌いかね?
「出てくる魔物は一撃で倒すし集団で出てきてもミームちゃんの能力であっという間に無力化しちゃうし……あのねぇ……私達は一応学びに来てるのよ?おんぶにだっこであんたについていくだけじゃ私達なんのためにいるのかわからないじゃない。」
うむ、ここまでの魔物はほぼワンパンです。集団で出てきても迷宮の通路はそんなに広くないからミームの魔力喰いの能力の有効範囲に十分収まるのであっというまに行動不能に。つまり無双で俺TUEEEEですな。
「はぁ……ここの迷宮は易しい物なのよ?いわば練習用。本物のための知識をここで身に付けることが目的なの。戦闘時の仲間との連携とかね!」
といってジト目で見てくる。
ん、あれだ。つまりはSEKKYOUくらいました。
お前はこのままソロでやっていくつもりかとかそんなんじゃいずれ強敵に出会った時に命を落とすだとか。
んー俺としてはほどほどに魔物倒して精霊貨稼いで世界通販で便利なもの買ってらくーに生きていければそれでいいんだがなー。
せっかくの転生で人生イージーモードだし。
「はぁ……これじゃ何のためにこの迷宮に入ってるのかわからないわ……まぁあんたと一緒にいて手に入るお金の量は魅力的だけど。」
倒した魔物は殆どドロップ品を置いてってくれます。通常はコレの1/32の確率なんだからその効率は推して知るべしである。二人はギフトと思ってるみたいだけどねー残念これはスキルです。でもギフトとスキルの違いってなんだろうね?
「一緒にいればランク上がるんだがなー」とちょっとレベル上げでパワーアップして強くなれるぜみたいな意味合いで反論してみたら「世の中ランクだけじゃないの!」と返されてしまった……
「んーまぁなんとかなるなる」
転生チートだしと思いながら軽く返してたら
「あんたとのパーティはコレっきりだからね!」
切れられてしまったでござる…
リリアは頭に血が上っているのかとりつくしまもない。
ルナーの方をチラリと見てみるとルナーも消極的ながら同意見のようである。
そんなに仲間の連携とかって大事かねー?俺一人でもサクサクいけるし、パーティーの好感度が上がれば必然的に強くなる!っていうもんだと思ってたんだがなー。ほら、ハーレムものとかで「ご主人様のためにー」とかそういうの。
「はぁ…まぁいいよ。でも今回は行けるとこまで行かしてもらうぜ?」
「そっちの魔力もほとんど消耗してないんだろ?」と言えばそれには異存はないようでもうちょっと先に進むことになった。
そして気まずい雰囲気のまま6階に降りることになる…




