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spiral  作者: 井伊 友野
3章
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4/8

トモ[2]

あんな風に言われているトモは、今でも仲の良い関係を築いていた。悪口を話していた友人も、テレビの話で盛り上がっている。

一時的なものかもしれない。杞憂で終わればいいと思いながら、過ごしていた。

ある日、トモが誘いを口にしてきた。

「なあ、家で遊ばないか?」

親しい関係ではあったけど、トモの家にお呼ばれされたことはなかった。

「いいよ。他に誰か来るの?」

「いや、お前だけだよ。誰か呼びたいならいいぜ」

「ふーん……で、待ち合わせ場所は?」

「いつものコンビニに集合だ!帰ったらすぐ来いよ」

「了解!」

どんな家に住んでいるのか。学校ではできない話もできるかもしれない。

僕はホームルームが終わり、家に帰ると、すぐに飛び出して行った。


**

トモの家に行って驚いたこと。

「トモの家って、でかいんだなー」

「いや、普通だよ」

ここらの住宅街に比べても、存在感を出している。高級住宅という奴だ。

「お父さんはなにをしているの?」

顔を曇らせた。答えにくそうに小声で、死んだよ、と呟いた。

「五年前に病で倒れた」

「悪いことを聞いちゃったね」

変なことを言ってしまった罪悪感もあったけど、トモも僕と一緒なのか。親近感が沸いた。

「なーに、暗い顔をしてんだよ。さっさと入ろうぜ」

明るく、振舞った。そっちが先だったじゃん、とは言わなかった。

「そうしようか」

中に入ることにした。玄関を覗くと、驚きの声が零れた。

「うわぁ……」

廊下には、見たこともない絵画。リビングには大型のテレビが置いてある。部屋の広さにも驚いたけど、置いてある一つ一つのものが豪華だった。僕が安々と買えないものであることは間違いない。

「金持ちだなー」

「いつまで、ボケーっと口を開けているつもりだ?さっさと部屋に行こうぜ」

「ああ、うん」

トモの後に付いていき、二階へと上がった。

「着いたぞ」

トモはドアを開けた。中は簡素でシンプルだった。

「部屋が大きいなぁ」

「驚きすぎだって。俺の家に入って、ここまで驚いたのはお前くらいだよ」

確かに、と思った。僕の目には全てのものが新鮮で、驚きを感じている。けど、トモにとっては、当たり前のものなんだよね。住む世界が違うな。

「今、飲み物と菓子を持ってくるから、少し待ってろ」

「うん」

来た道を戻り、階段を降りていった。

僕は手持ち無沙汰なこともあって、キョロキョロと辺りを見渡していた。大きくフカフカのベッドが目に飛び込んだ。あの上で寝たら気持ちいいだろうな、と思い、思いっきりダイブした。

「うわぁ、フカフカだぁ」

クルクルと転がりまわっていた。気持ちが良い。と、ちょっとガキっぽいか、と思い、ベッドから離れた。

さて。こんなにも広い部屋なのに、物の数が少なかった。いや、この広さだからそう感じるのかもしれない。自分の部屋にあるものは、殆ど置いてある。テレビ、パソコン、MDコンポ、勉強机、ゲーム、マンガ。

「ん?」

机の上に写真がある。

「これは」

家族の写真。小さなトモと両親が写っていた。二人とも綺麗で、トモは楽しそうに笑っている。場所は有名な遊園地かな。ちっちゃなトモはとても可愛い。

「おーい、持ってき……って、なにをマジマジと見てるんだよ!」

「写真」

トモは飲み物を机の上に置くと、こっちに走ってきた。眺めていた写真を取り上げられた。

「えーもう少し見せてよ」

「普通は見られたくないっつうの」

後ろに隠している。隠さなくても良いのに。

「トモが可愛かったよ♪」

「……気持ち悪いからやめろ」

本気で引いていた。僕は、またまたー、と手を振っていた。可愛いものは可愛いと言うべきだよ。

「それで何をやろうかな。この家なら何でもありそうだよ」

「目を輝かせていうなよ。別に変わったもんなんてないぞ」

僕がちびトモの写真を見て、テンションが上がっていた。自分でも分かる。こんな大きな部屋で、二人きり。なにをしよう。

「もしかして、専用のプールがあったりする?」

「さすがにないよ。あっても、まだ夏でもないのに泳ぐ気かよ!」

「気合だー!!」

僕のやる気に呆れられている。

「じゃあ、映画でも観ようぜ」

黒くて大きな棚から、ビデオを取り出した。

「コレコレ。かなり怖いらしいよ」

出てきたパッケージ。明らかにホラー系の映画だった。

「ひっ……」

「まさか怖いのか?」

「怖くないよ。じゃあ見ようか」

トモはビデオを再生する。トモの家には映写機があった。大きなスクリーンで映画を観ることができるみたい。トモが電気を消し、カーテンを閉めた。

「こっちの方が雰囲気が出るだろ。おっ、そろそろ始まるな」

予告が終わり、映画が始まった。

僕は怖いのが苦手ではなくて、赤い色がダメなのだ。血がドバドバーと出てしまうもの。最高に苦手。昔、ビデオを見て、意識を失ったことがある。

血が出ないように、グロテスクでありませんように。僕は神に祈りながら観ていた。口が裂けても、無理だよ、とは言わなかった。

数十分後、変なマスクを被った人に女の人が襲われた。

赤い、赤い、赤い。血が、血が、血。

頭が痛い。気持ち悪い。僕は意識を失った。

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