トモ[2]
あんな風に言われているトモは、今でも仲の良い関係を築いていた。悪口を話していた友人も、テレビの話で盛り上がっている。
一時的なものかもしれない。杞憂で終わればいいと思いながら、過ごしていた。
ある日、トモが誘いを口にしてきた。
「なあ、家で遊ばないか?」
親しい関係ではあったけど、トモの家にお呼ばれされたことはなかった。
「いいよ。他に誰か来るの?」
「いや、お前だけだよ。誰か呼びたいならいいぜ」
「ふーん……で、待ち合わせ場所は?」
「いつものコンビニに集合だ!帰ったらすぐ来いよ」
「了解!」
どんな家に住んでいるのか。学校ではできない話もできるかもしれない。
僕はホームルームが終わり、家に帰ると、すぐに飛び出して行った。
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トモの家に行って驚いたこと。
「トモの家って、でかいんだなー」
「いや、普通だよ」
ここらの住宅街に比べても、存在感を出している。高級住宅という奴だ。
「お父さんはなにをしているの?」
顔を曇らせた。答えにくそうに小声で、死んだよ、と呟いた。
「五年前に病で倒れた」
「悪いことを聞いちゃったね」
変なことを言ってしまった罪悪感もあったけど、トモも僕と一緒なのか。親近感が沸いた。
「なーに、暗い顔をしてんだよ。さっさと入ろうぜ」
明るく、振舞った。そっちが先だったじゃん、とは言わなかった。
「そうしようか」
中に入ることにした。玄関を覗くと、驚きの声が零れた。
「うわぁ……」
廊下には、見たこともない絵画。リビングには大型のテレビが置いてある。部屋の広さにも驚いたけど、置いてある一つ一つのものが豪華だった。僕が安々と買えないものであることは間違いない。
「金持ちだなー」
「いつまで、ボケーっと口を開けているつもりだ?さっさと部屋に行こうぜ」
「ああ、うん」
トモの後に付いていき、二階へと上がった。
「着いたぞ」
トモはドアを開けた。中は簡素でシンプルだった。
「部屋が大きいなぁ」
「驚きすぎだって。俺の家に入って、ここまで驚いたのはお前くらいだよ」
確かに、と思った。僕の目には全てのものが新鮮で、驚きを感じている。けど、トモにとっては、当たり前のものなんだよね。住む世界が違うな。
「今、飲み物と菓子を持ってくるから、少し待ってろ」
「うん」
来た道を戻り、階段を降りていった。
僕は手持ち無沙汰なこともあって、キョロキョロと辺りを見渡していた。大きくフカフカのベッドが目に飛び込んだ。あの上で寝たら気持ちいいだろうな、と思い、思いっきりダイブした。
「うわぁ、フカフカだぁ」
クルクルと転がりまわっていた。気持ちが良い。と、ちょっとガキっぽいか、と思い、ベッドから離れた。
さて。こんなにも広い部屋なのに、物の数が少なかった。いや、この広さだからそう感じるのかもしれない。自分の部屋にあるものは、殆ど置いてある。テレビ、パソコン、MDコンポ、勉強机、ゲーム、マンガ。
「ん?」
机の上に写真がある。
「これは」
家族の写真。小さなトモと両親が写っていた。二人とも綺麗で、トモは楽しそうに笑っている。場所は有名な遊園地かな。ちっちゃなトモはとても可愛い。
「おーい、持ってき……って、なにをマジマジと見てるんだよ!」
「写真」
トモは飲み物を机の上に置くと、こっちに走ってきた。眺めていた写真を取り上げられた。
「えーもう少し見せてよ」
「普通は見られたくないっつうの」
後ろに隠している。隠さなくても良いのに。
「トモが可愛かったよ♪」
「……気持ち悪いからやめろ」
本気で引いていた。僕は、またまたー、と手を振っていた。可愛いものは可愛いと言うべきだよ。
「それで何をやろうかな。この家なら何でもありそうだよ」
「目を輝かせていうなよ。別に変わったもんなんてないぞ」
僕がちびトモの写真を見て、テンションが上がっていた。自分でも分かる。こんな大きな部屋で、二人きり。なにをしよう。
「もしかして、専用のプールがあったりする?」
「さすがにないよ。あっても、まだ夏でもないのに泳ぐ気かよ!」
「気合だー!!」
僕のやる気に呆れられている。
「じゃあ、映画でも観ようぜ」
黒くて大きな棚から、ビデオを取り出した。
「コレコレ。かなり怖いらしいよ」
出てきたパッケージ。明らかにホラー系の映画だった。
「ひっ……」
「まさか怖いのか?」
「怖くないよ。じゃあ見ようか」
トモはビデオを再生する。トモの家には映写機があった。大きなスクリーンで映画を観ることができるみたい。トモが電気を消し、カーテンを閉めた。
「こっちの方が雰囲気が出るだろ。おっ、そろそろ始まるな」
予告が終わり、映画が始まった。
僕は怖いのが苦手ではなくて、赤い色がダメなのだ。血がドバドバーと出てしまうもの。最高に苦手。昔、ビデオを見て、意識を失ったことがある。
血が出ないように、グロテスクでありませんように。僕は神に祈りながら観ていた。口が裂けても、無理だよ、とは言わなかった。
数十分後、変なマスクを被った人に女の人が襲われた。
赤い、赤い、赤い。血が、血が、血。
頭が痛い。気持ち悪い。僕は意識を失った。




