71.妙な夢
場所:?????
「おはよう真乃」
瞼を開ける。私の目には前と同じように暗い部屋が見えた。
「おはよ…」
碧菜の方を見ると、彼女が眠っている香菜を抱えているのが見えた。
前世の姿を久しぶりに見てとても懐かしく感じた。
「ほら、貴女の大切な人、持ってきたよ」
「…本物?」
「本物」
「どうやって?」
「貴女が血を飲ませたんでしょう?」
「…それで繋がりができたって感じなの?」
「元は眷属に命令するための機能だけれどね」
「…なるほど」
「ほら起きて」
碧菜はさながら白雪姫の王子のように、香菜に口付けをした。
明らかにそうする必要性はないように思える。
「ぅぅ…ん…マノ?」
「外れ〜」
「大丈夫?香菜」
碧菜と香菜のところに近づき、香菜の顔を覗き込む。
「へっ…マノが…2人?」
「私が真乃だよ?」
そう言ってあげる
「そっか」
香菜は私の方に両手を伸ばして抱き着こうとしてきた。
「私がマノだよ?」
碧菜が面白がるようにそう言う。
すると香菜は
「ふぇ…どっち?」
となった。いや、わかるでしょ。
碧菜は揶揄うように笑ったあと香菜にまた口付けをする。
「へっ…やっぱり、こっち偽物…!……?」
私の方に再度手を伸ばしてきたので抱き寄せて立たせてあげる。
「これは碧菜。あっちでの魂の同居人」
「あはは〜ご機嫌よう。"これ"呼ばわりやめてよ〜」
碧菜はペロリと舌を出し、そう挨拶する。
「あぁ…エジェルさんが言ってた…それで、ここって?」
「簡単に言えば"夢の世界"。私と香菜が前世の姿なのはそのせい」
私はそう説明する。
「そうなんだ…?」
「私達に料理を振舞ってよ」
少し後、私が夢の世界について解説を終えたくらいの時に唐突に碧菜が香菜にそう言った。
碧菜も碧菜で唐突じゃん。
「えっと食材って…」
香菜がそう聞くと碧菜が足早に冷蔵庫へ行き、その扉を開け放った。
中には満杯の食材が詰められていて、碧菜はこう自慢した
「勿論、用意しておいたよ」
準備が良い…というか元からそれ目当てで呼んだのだろうか。
「じゃ、じゃあ早速…」
香菜がそう言ってキッチンで何か準備を始める。
「私達は邪魔にならないよう待ってよっか〜」
碧菜はそう言ってにやりと笑った。
「…何?」
嫌な予感。
「一緒にお風呂入る〜?」
そう言って碧菜が艶めかしく腕を絡めてくる。
「嫌」
「つれないな〜」
「ど…どう?」
香菜が不安げにそう聞いてくる。
用意されたのは私の好物"肉じゃが"。
1口食べてみると、独特の甘みのある旨みが広がってきた。
…香菜が作った肉じゃがは、碧菜がこの間、用意した肉じゃがよりも味が鮮明で、美味しく感じられる。
「やっぱり記憶の再現より本物の方が断然美味しいね〜」
私の心内を代弁するかのように碧菜がそう言う。
「美味しいよ、香菜…とっても」
不安そうな顔の香菜に自信を持ってもらうためにそう言う。
「良かった…」
そう言い、少し安心したような顔をする香菜。
「一緒に食べよ?」
香菜をそう言って誘い、私の隣に座ってもらう。
「ね〜香菜にだけ優し過ぎない?」
碧菜が不満気にそう言う。
前世からの仲なのだから当然でしょ。
次回、健やかな朝




