54.ギルドへ・下
場所:首都ブルリノ
「…ギルド長…?市民派の…トップ?」
あまりに唐突な話で、全く理解できない。
「実はですね…先月私の兄であり元ギルド本部長であったペーター・フォン・グラウエンブルクが病で急死しまして…」
「あ〜…それで…」
「はい。『市民派一の実力者』たるヘマ殿が偶然にもこちらにいらしていると聞きまして」
…ギルドの人に言った覚えは無いのだけれど
「誰から聞いたの?」
「陛下からお聞きしました。こちら、陛下より貴女へと預かっておりますので、良ければご覧下さい」
アルスターは手紙のような白い紙を取り出して私に渡してきた。
"ヘマ殿へ。市民派の長となれるよう推薦しておいた。朕がやれる支援はこれくらいだ。すまないな"
正直…余計なお世話である。
が、国王の推薦である以上下手に断ることもできない
「うーん」
声に出して私はそう唸る。
どうしよう
「ねぇヘマ…貴女何か勘違いしてない?」
と、エジェルさんの声。
何か勘違いしてるの?私
「貴女がギルド長となっても、多分あくまで名目上だけの存在で、実務は基本やらないわよ?普通…ぽっと出の成り上がり探索者に実際の執務や仕事を押し付けるなんてする訳ないじゃない?結末は目に見えてるわ。少なくとも…グラウエンブルク家なんて名家出身の人間は、そんな無謀なことをやらせるほど馬鹿じゃないわ」
どうやら私は自分に対する期待を読み間違え、そして相手の頭を舐めていたらしい
「わかった。あくまでお飾り…でしょ?諸事情でほとんどこちらには居られないけれど、それで良いなら引き受ける」
そう言ってみるとアルスターはニコッとして言った。
「その言葉を待っていました。これからも良い関係を築いていきましょう」
手を出してくる
…?
「握手よ。手を取りなさい」
エジェルさんがそう教えてくれる。
そういえば握手ってあるんだ
アルスターの手を握ってぶんぶんとした。
アルスターの手は努力を沢山してきた人間独特のごつごつとした手だった。
まぁどうでも良いけれど
「これで用事は終わり?」
そう聞く
「ああ、もう一つだけ…貴女をここのギルド長とするため、こちらの書類にサインをお願いします」
書類とペンを渡される。
ヘマ・シヴグラードの綴り…実際に合ってるか微妙だけれどそれっぽく書く。多分…大丈夫。
「確認しました。新しいギルド長を歓迎します。改めてようこそ、ヘマ殿」
そうアルスターは言って深々と頭を下げた。
ギルド長室を出て、家への帰路に着く。
ギルド内では、色んな人間からギルド長就任を祝福された。
…大丈夫かな?これから…
次回、政治劇
ヘマ視点とエヴェリン視点がコロコロするかもしれません
知りませんけれど。




