36.新しい友人
場所:ヘマ邸
最近、夜、私の家にエヴェリンが入り浸るようになった。
時に、叔父にあたるリヒャルト・ハウサー大将その人を連れて。
時に、まだ幼いアリアを連れて。
エヴェリンはエジェルさんと気が合うらしく、ボードゲームをよくやっている。
何やら重要そうな話をしながら
どうして私の家に入り浸っているのだろう?
聞いてみた。
「私もたまには一時の囁かな幸せを享受したいので」
…多分これまで息抜きとかできなかったのかな。
ハウサー大将にこの世界の軍や国家に関して、色々なことを聞いた。どうやらこの国は三方向に大国があり、挟まれているらしい。で、東にあるルーサル連邦というところと最近関係悪化し始めているらしい…よく分からないけれど、大変そう。
アリアはどうやら弱々しくない方のエヴェリンがものすごく好きらしい。ボードゲーム中に構って欲しいと突っ込んでいって、優しく撫でられたりしている。私が聞いてみたら夜が明けるまで延々と"好きポイント"を聞かされた。
アマネが基本アリアの遊び相手をし、エジェルさんが基本エヴェリンのボードゲーム相手をし、私が基本ハウサー大将の愚痴に付き合う…というのが基本になった。
…どうしてこんな関係になったんだろう。まぁ賑やかなのは良い事だけれど。
ある日、エヴェリンからハウサー邸に逆にお呼ばれした。こう付け加えられて。
「もしどうして来たのかと聞かれたら、私には"E.H."から呼ばれたと言っておいてください。納得すると思うので」
…何かそういう暗号的なのがあるのだろうか。
まぁいっか
夕方頃、近くのハウサー邸に3人で歩いて行った。
従者っぽいのを引き連れたハウサー大将に迎えられる。
「ようこそ我が家へ。早速我が家を紹介しようじゃないか」
その言葉の通り、大きな屋敷の部屋という部屋を紹介された。
…そういう感じのことをするのが礼儀なのかな?
粗方紹介が終わったようで、夕食に招かれた。
アリアとエヴェリンが座っている。
「アマネちゃん〜来てくれたんだ〜」
アリアが嬉しそうに言う。結構親しくなったらしい。
「こんばんは、エヴェリンさん」
モジモジとしているエヴェリンに声をかける。
「あっその…初めまして…えっと…"あの人"が言ってた転生者さん…ですよね?」
近寄ってきてわざわざ小声で言う。
「はい、ヘマです。以後お見知り置きを」
エヴェリンは少し安心したように"フュゥ"と小さな鳴き声を上げたあと急にメソメソと泣き出した。
「ぉ…同じ…同じ境遇の…人がいて…よ、かったぁぁ…」
…そんなに?大丈夫?情緒不安定過ぎない?
なんだか可哀想に感じたので胸を貸して、撫でて落ち着かせた。
そういえばこの子、中学生の時に転生したんだっけ。そう考えるとたしかに辛そう。
本来は元気な子だったりするのかな。
夕食を終えて、エヴェリンと様々な話をした。
主に、前世の話。あと今世で背負わされた仕事に関する愚痴。
例えば
「えっっ、ヘマさんって前世"マノ"さんだったんですか?私。大ファンでぇぇ…」
ファンとかいたんだ私。
みたいな話とか
「第6軍の人達みんな私に期待の目みたいなの向けてきててぇ…私そんな大層な人間じゃないのに…」
多分もう1人の方がバリバリに仕事をしているせいかな。大変そう。
みたいな話とか。
まるで泥酔状態のように情緒不安定で、ずっと泣いていて、たまに吐いたりもしていて、色々と不安になった。
…これもしかして、そういうののメンタルケアを私にやって欲しいというエヴェリンからの遠回しの要請としてお呼ばれした?
…まあいっか。私の元ファンらしいし、しばらく付き合ってあげよう。
次回、囁かな日常




