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転生したらRPGにすら出てこないグロ生物に生まれちゃった子のお話  作者: 倉石 雨


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35.子供たちの戦い

場所:エストブルク、ヘマ邸(途中で移動)

最近外が騒がしい。

子供たちがどうやらこの邸宅街を遊び回っているっぽい。

「交じってくれば?」

とんでもないことをエジェルさんが言い出す。

「この容姿で子供達と遊ぶって不審じゃない?」

「容姿や認識なんて幾らでも魔法で変えられるでしょう?忘れているみたいだけれど貴女はまだまだ子供。たまには子供らしく遊んで来なさい」

「あ、えっと付いて行きましょうか?」

横にいたアマネがそう言い出す。

「いや、大丈夫。私一人で行くよ」

多分こんな強引な論理でエジェルさんが送り出そうとしてるってことは何かある…んだよね?


私の名前はヘレナ。最近近くの子供達と遊んでいるの…という設定。

10歳くらいの容姿で、ちゃんと子供達の認識は「友人」としている。

「ご機嫌ようヘレナ」

外に出て少し歩いていると、今の私と同じくらいの身長で、巻き毛のお嬢様と言った感じの子が話しかけてくる。

"貴女の名前は?"

「私の名前はアリア・ハウサー。リヒャルト・ハウサー伯爵の娘よ」

なるほど…伯爵のご令嬢なのね

「みんなはどこ?」

「いつもの集合場所よ。良ければ一緒に行きましょうか」

"歩いている間、私の友人とされる人物を貴女の記憶で知る限り全て教えて"


「あら、着いたわね」

集合地点に行くまでにアリアから子供達について様々なことが聞けた。

年齢層は8歳から12歳。集まり始めた理由は"探索者ごっこ"をするためらしい。"探索者ごっこ"というのは、Aランクダンジョンを単独で攻略したと噂になっているとある現Sランク探索者になりきって、モンスター役の子達を主人公役がバッサバッサと倒す…みたいなごっこ遊びらしい。

基本的に名門貴族の子供達10人ほどで構成されていて、よくある中世アニメものと違ってコミュニティ内で虐めは無いのだそう。

「ご機嫌よう」

それっぽく振る舞う。

「ようヘレナ」

この元気そうな金髪の子はベッグラント男爵の子で、名前は「ペーター」らしい。


…教えられていない人物が1人、端にいる。

軍服を着た茶髪のモジモジとしている人間。

顔はアリアに似ている。

「エヴェリンお姉様?」

姉がいたんだ。

"説明して"

「えっとこの人は軍隊で中佐?をしているエヴェリンお姉様で、従姉妹なの」

少し支離滅裂な気がするけれど、まぁいっか

「あ、どうも…アリアちゃんから紹介があった…エヴェリンです」

モジモジとしながらそうエヴェリン?が自己紹介をする。

それなりの身長があるのに、猫背なせいで結構子供達に身長が近く感じてしまう。

「今日はせっかくだから、モンスターを実際に倒しに行ってみよ〜!良いよね?エヴェリンお姉様」

アリアがウキウキとしながら言う。このモジモジとしているエヴェリンが来て嬉しいのだろうか…どこが良いのだろう。人間の感性は分からない

「あ、うん良いよ…」

子供の無茶な駄々は許しちゃダメじゃない?


モンスターが出るとされる場所に来た。

エストブルク内の使われなくなった地下トンネルで、前世に存在していればおそらく心霊スポットと扱われるような薄気味悪い場所。

さっきから1番の大人であるはずのエヴェリンが集団の後ろの方で震えている。可哀想なのでアリアと一緒に近くに付いてあげた。


前方で悲鳴があがった。即座に前列に駆けつける。

目の前には巨大な狼っぽいものがいた。

ペーターが負傷しているみたい。

あちらこちらで子供達が悲鳴を上げ、逃げ惑う。

…面倒。"全員気絶して"

パタリと全員が気を失って、吠える狼もどきと私しか立っている者はいなかった。

とりあえずペーターを即座に治療しなければならない。

"治療"

次は狼もどきを殺さないと。ハルバートを出し血蝕斬撃を出すことで外傷を極力少なくしつつ、殺害する。

最後、偽の記憶の植え付け。一人一人にこの獣をペーターが主導して倒したという整合性の取れた記憶を植え付けないと

「こほん」

…誰?ここにいる人間は全て気絶しているはずじゃないの?

エヴェリンがぱっと起き上がった。

猫背ではなくしっかりとした姿勢で、不気味なほど無表情な顔を貼り付けて。

「私が今やってる事。理解できてるわよね?」

「はい。偽の記憶を植え付け、"巨大な獣を倒したと子供達が親に自慢することで、今後危険を冒さないよう親に子供達を教育させる"と言った所でしょう?」

「分かってるのなら、構わないわ」

「幾つかお聞きしても?"転生者殿"」

「…何?」

「1つ。あなたの死因は飛行機事故でしょうか?」

「片方は違う。もう片方は分からない」

「2つ。他の転生者に遭遇した経験はありますか?」

「ある」

「3つ。私の指揮下に入る気はありませんか?」

「私は自分の好きなように生きたいから断る」

「なるほど。よく理解できました」

「私からも質問させて。貴女は誰?転生者?」

「エヴェリン・ハウサー。前世では警察職をやっており、死因は"日本資本航空0678便墜落事故"…といったところです」

「"いつもの子"の方は?」

エヴェリンは微笑み言った。

「前世では東京にある私立の中学生だったようで、死因は同じく"日本資本航空0678便墜落事故"のようです。」

「貴女の魂の状態ってどうなっているの?」

「さあ?墜落の際、肉体ごと彼女とぐちゃぐちゃになって混ざったとかじゃないでしょうか」

「…もうそろそろ行こっか」

「ええ…そうしましょうか」

子供達を浮遊させ運びながら、出口の方へ二人で何も話さず歩いた。

次回、新しい友人

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