34.第6軍
場所:ハウサー伯爵邸
「おお、戻ったかエヴェリン」
リヒャルト叔父上(大将で、第6軍司令官)が迎えてくれる。
「叔父上ぇぇ…怖かったですぅぅ…」
抱きついて涙を流してしまいました。
「そうかそうか。よく頑張ったな」
大きな手で頭を撫でてくれました。
あの会議の日、私はストレスで気絶していたのか、気づいたら帰りの馬車で寝転がっていました。
近くには手紙が置いてあって、丁寧な字でこう書かれていました。
「E.H.へ
貴女が気絶した後、私が仮で職務を代行させて頂きました。これはあくまで私のお節介ですので、礼や感謝は必要ありません。
追記:会議ちゃんと一人で頑張ってて偉かったですね。
もう1人のE.H.より」
この"もう1人のE.H."さんは昔から私に付いてくれている人?みたいで、昔から私がドジをすると代理を色々やってくれて、こういう手紙を残してくれるんです。私も将来こんな感じの人になりたいです。
叔父上に手紙を見せて言いました。
「"もう1人のE.H."さんには、また感謝しないといけないことが増えちゃいました。」
すると叔父上は若干困り顔になり、少し手紙を読んだ後
「そうだな。だが会議は一人で頑張ったみたいじゃないか。偉いぞ」
叔父上に撫でられました。
温かい夕食を摂って、叔父上の勧めでそのまま泊まることになりました。
独りだけの家で寝るより暖かい気がして、泊まる方が私は好きです。
おやすみなさい。良い夢を
意識が落ちた。
起き上がる。ちゃんと叔父上には報告しなければ
「…来たかエヴェリン」
敬礼で返す。
「叔父上、モードル上級大将閣下より"ルーサル連邦による全面戦争"に関する警告がありました」
叔父上が顎の髭を撫でながら言う。
「やはりか、備えなければな。探索者選抜の件は上手くいっているか?」
「はい。"市民派"に第6軍の1部兵を"掃討部隊"として貸与するのと引きかえに"武官派"との協力体制に関する契約を結ばせることができました。"沿岸派"含め、戦時下にはそれなりの数が動員できると思われます」
「動員市民兵のための武装に関しては?」
「遅滞を目的とした使い捨ての刻印陣火銃を用意しました。これにより魔力使用の訓練時間を要さず市民兵に魔法を運用させられると思われます」
「魔力使用の訓練をせず魔法の運用を?」
「簡単な話、刻印魔法陣に魔力を注入した状態にしておけば、あとは発射するだけで良いので」
「なるほどな。量産性及び生産数は?」
「上々と言ったところです。コネを使い生産工場を確保し、軍の魔術騎兵達に練習の一環と称し、魔力を封入することで"魔法存在湧き"も防ぎつつ生産させています」
「魔術騎兵による機動的な攻撃と大量の市民兵による神出鬼没の魔法攻撃…攻略する側じゃなくて良かったよ」
そう言われてつい笑みが零れてしまう。
「閣下が私を選んでくれた結果ですよ。それでは失礼します。明日の私が寝坊しかねないですから」
「ああ、ぐっすりと寝たまえ」
「おやすみなさい。叔父上」
次回、子供たちの戦い
ヘマに視点戻ります。




