33.世界情勢複雑怪奇
場所:統一王国首都、軍務省定例会議(途中で移動)
うぅ…お腹が痛い。
私の名前は"エヴェリン・ハウサー"です。
飛行機事故に巻き込まれて転生したら、この世界に来てました。
一応…中佐をやらせてもらっています。
ただいま将軍達の前で、私が主導で再編した第6軍の編制に関して説明させてもらっています。
「ほう。魔術騎兵を中心とした機動的な部隊…とな?」
"東部派閥"である将軍の内の1人が発言する。
この世界における"魔術騎兵"とは前世で言うところの"竜騎兵"です。銃を持って馬に乗ってるみたいな…グラウエンブルク式の影響でそれが魔法杖になってるだけで
「は、はい。グラウエンブルク辺境伯の提唱した散兵戦術の思想を発展させ、魔術兵をより機動的に運用するため騎兵を利用するというやり方が最適だと思いまして…」
「なるほど。興味深い」
グラウエンブルク辺境伯を崇拝している"東部派閥"には刺さる内容みたいです。
「それで、配属先はどうするつもりだ?」
東部派閥を制するかのように"中央派閥"の将軍が発言した。
「騎兵を活かせて、かつ旧第6軍が配属されていた東部、ユーラブルクが最適だと…考えております」
平原地帯であるユーラブルクは騎兵を活かす上で最適。
東部派閥は満足気に頷く。まぁその名の通り東部系貴族が多い訳ですからね。
「だが、それだと旧第6軍のような反乱を再び起こすのでは無いか?」
うぅ…お腹が痛い。
「おい。あれはレア・シヴグラードの思想に内部が汚染されていたせいというだけであって、配置に問題は無かったではないか?」
東部派閥の人が止めに入ってくれました…ありがたい。
〜会議後〜
「ハウサー中佐。少し良いか?」
東部派閥の人が話しかけてきました。怖いです。
私何かやらかしちゃいました?
「は、はい!」
部屋に招かれる
「かけたまえ」
「し、失礼します」
「さて、まず自己紹介をしておこうか?」
これってもしかして"もしかして私の名前知らないわけないよな"的な感じのでは?
「い、いえ必要ありません。パウロル・モードル上級大将閣下…第2軍総司令官殿…モードル辺境伯閣下。」
ちゃんと合ってるかな…
「あ、あぁ知っていたのか。そんな畏まる必要は無い」
若干引き気味に言われてしまった。ふ、不敬だった?プルプルと震えて汗が吹き出てきてしまいました。
「さて、本題に入ろうか。"真の第6軍指揮官殿"?」
「ふぇ…」
変な声が出てしまいました。
私はそんな大層な人間じゃないのに…
「実は最近、東部の世情が不安定でな」
…世情…不安定…そんな話…私に言われても…
頭が痛い…お腹も痛い…
痛い
痛い
痛い…
つらい
つらい
つらい…
もう…
いっか
"バチッ"
思考が鮮明になる。
「ルーサル連邦の件でしょうか」
首を傾げてそう聞く。
「そうだ」
なるほど。
「"レア・グラウエンブルクの件を正当化の口実として利用し、全面戦争に踏み切る"と?」
口に指を当て問う。
「あ、あぁその通りだ」
将軍が何故か少し怯みながらそう肯定した。
「初めからそうなることを想定して再編させていただきました。ルーサル軍の主軸であるルーサル人歩兵部隊の弱点は兵站と士気の低さです。そこを突くという一点において、魔術騎兵は最適な兵科だと思いませんか?」
ピクっと可愛らしく将軍が動く。
「初めからあの規模との全面戦争を予期して…と?」
「それが仕事であるのでしょう?」
「それはそうであるが…ところで中佐…先程から、声や表情に感情が感じられないが…体調が優れないのかね?」
少し怯えたように将軍が言った。
「いえ閣下。平常通りです。思考も鈍っておりません」
"指揮官"はそう答えた。
次回、第6軍




