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転生したらRPGにすら出てこないグロ生物に生まれちゃった子のお話  作者: 倉石 雨


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30/45

29.予想外の歓迎

場所:エストブルク北部商店街

商店街に来てみた。

メイド服姿のアマネと

令嬢の服を着たエジェルさんを連れて。

"中世の商店街らしい"としか形容できない色とりどりの店や商品が並ぶ。

ゆっくりと歩を進め、美味しそうなものや面白そうなものを探す。


…さっきから人間達の視線がこちらを向いているように感じる。

1度それは無視するとして、エジェルさんが横を向いて唐突に立ち止まった。

そしてこちらを向いて言った。

「私、あの薬屋に行ってくるから。少しお金貰うわよ」

「行ってきて良いよ」

と私はお金を少し渡す。

「とっておきのを用意してあげるから。期待しておいて構わないわよ」

そう言いながら手をヒラヒラと振り、薬屋の中に入っていった。

とっておきってなんだろう。

「お嬢ちゃんもしかして新しく来たっていう探索者か?」

唐突に人間に話しかけられる。

「ええ、はい」

とりあえず答える

するとニカッと笑って言ってきた

「安くするから、うちの商品を買ってかないか?」

香辛料系のお店らしい。

「構わないけれど」


幾つかアマネが選んだものを買った。

買い終わると同時に色々な人間が、がばっとこちらに来て、「うちも買ってってくれ」と言われた。

歓迎されているのだろうか。


アマネが欲しいものを好きに選ばせて、色々と買った。

収納魔法のおかげでかさばる心配はない。

「感謝しても、しきれません」

嬉しそうにアマネが言った。

「私の好きでやってることだから、気にしないで」

そう私は言った。まぁ事実だし。


日が落ち始めた頃、屋敷に戻ってきた。

先にエジェルさんは帰ってきていたらしい。

「おかえりなさい。随分歓迎されていたようね?」

緩い寝間着姿のエジェルさんはそう言う。

どうやら締め付けられるような服は苦手らしい。

「何も言う必要は無いわ。とりあえず、まずはこれを2人とも飲んで」

湯気の出ている黒っぽい液体の入ったティーカップを2つ差し出される。

「分かった」

「いただきます」

"ゴクっ"

コーヒーと紅茶の中間みたいな味わいと香り。

すごく落ち着いた気持ちになる。

「どう?」

エジェルさんがそう聞いてくる。

「美味しい」

「とても美味しいです」

「そう、良かった。実はこれ、魔力安定薬に使われる"チコルノ"って植物を使っているの。落ち着くかしら?」

エジェルさんはそう言いながら自身も黒い液体を飲む。

なるほど。薬に使われる植物を使う事で良い感じにするって発想は無かったかも。

「名前はなんていうの?この飲み物」

気になったので聞いてみた

「まだ無いわよ。私の知識を活用した"ただの対非人間存在向けの飲み物"でしかないわ」

「仮でチコルノ・コーヒーとかチコルノ・ティーと呼びましょうか?」

アマネが言う。

「それが良いね」

私は賛成。

次回、ティータイムに合うお菓子を

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