28.操血姫アマネ
場所:ヘマの屋敷(旧レア邸)
屋敷に着いて、とりあえずアマネの寝室でアマネを寝かせた。
リビングに移動する。
「アマネは私が見ておくから、ギルドにでも行ってきたら?」
エジェルさんが唐突にそう言い出す。
エジェルさんは肉体無いんじゃないの?
「作れば良いじゃない。貴女が」
なるほど。可能なの?
「貴女がちゃんと念じれば高位種の分体程度なら作れるんじゃない?」
えーっと…"分体精製"
高位種の頃の私の身体が出てきた。
目を閉じていて、冷たい
「血を与えて」
言われた通り与える。
ぴくっと動いた。
分体の髪の赤い部分が青くなり、それが広がって白い髪の部分にも少し侵食していく。
そして瞼を開け青い目を私の方に向ける
「これで"繋がった"から、私はこっちをメインで動かしていくわ」
口を開けて、分体がそう発した。
エジェルさんだ。
「ちなみに、私がこちらに乗り移っている間は貴女の心は読めないから」
なるほど
「じゃあ、私はギルドに行ってくるから。アマネをお願い」
「分かったわ」
手をニギニギとしながらエジェルさんが答える。
一応着るかもしれないからそれっぽい服を用意しておく。流石に裸のままは良くなさそうだし。
「攻略、終わりました」
ギルド長の人間に言う。
「ありがとう。助かったよ」
頭を下げてきた。
「ところで、少し成長した気がするのだが…気のせいか?」
気まずそうに言ってくる
「成長期ですので」
適当に答える
「そうか」
どうやら私はSランク探索者になったらしい。
昇進試験が無かったのは「Aランクを単独攻略したから」だそうで、何はともあれ私は「市民派一の実力者」になったのだそう。
正直どうでも良い。
ギルドから屋敷に帰ってきた。
「ただいま」
なんとなくアマネの寝室に行く。
そこには寝たままのアマネと、その横に座ってアマネを見ているエジェルさんがいた。
「エジェルさん。服…」
…何も着てない
「良いじゃない?別に。元来貴女の種族は服を着ないのよ?」
「…そっか」
言いくるめられてしまった。
まあいっか、不快な訳では無いし
しばらくエジェルさんの横に座ってアマネを見ていると、アマネが目を開けた。
「おはよう。アマネ」
声をかけてみる。
「えっあ、おはよう…ございます?」
頭にたくさんの疑問符を浮かべながらアマネはそう返してくれた。
「何故、ダンジョンじゃないのか、何故2人いるのか…かしら。聞きたいのは」
エジェルさんが気を利かせてそう言う。
「はい。あ、もしかしてエジェル様…ですか?」
「ご明察」
エジェルさんがそう答える。
「ダンジョンの主と戦った時、貴女が致命的な負傷をしちゃって…私の血をあげたの。で、私が屋敷まで連れて行って、エジェルさんが看病をしてって感じで…まぁ今に至るの」
私がそう言ったのに続けて、エジェルさんが言う。
「ちなみに、ヘマの血を飲んだお陰で進化してるわよ」
アマネは自分の手を見てこちらを見た後、ポロポロと涙を流し始めた。
「不甲斐ないです…」
…何が不甲斐ないのだろう
「元気出してよ。私はアマネに涙を流して欲しくて蘇生をした訳じゃないから」
そう言って抱き締め、撫でる。多分、これが1番良い。
「ありがとう…ございます…ヘマ様。これからは、こんなみっともない姿を見せないよう頑張って…元気を出していきますね」
アマネはそう言った。
しばらく後。
「アマネの今の種族は操血姫ね。本来の進化系の貴血鬼とは違う特異派生型の種族みたい」
エジェルさんがそう言う。
「強いのでしょうか」
アマネが不安そうに言う。
「貴血鬼よりは初めから5倍くらい強いわね」
エジェルさんがそうしれっと言う。
「なるほど…?」
アマネがそう相槌を打つ。
会話に交じっていない私は、改めてアマネの容姿を見ていた。
大きな変化は無いものの、目が少し黒くなっていて、あと赤黒い髪が少し混じっているように見える。
「とりあえず夕食にしよっか。市場に良いものがあるか、見に行ってみよ?」
気分転換のため、そう提案してみた。
次回、予想外の歓迎




