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転生したらRPGにすら出てこないグロ生物に生まれちゃった子のお話  作者: 倉石 雨


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27.ダンジョン攻略・下 "特位種化"

遅ればせながら、メリークリスマス。

私の家にはサンタは来ませんでしたよ。

私が悪い子だったからでしょうか。


場所:Aランクダンジョン第8層

やばっ死ぬかも。

私達…いや私は今、地獄を見ている。

それもこれもエジェルさんのせい。

「より強く美しくなりたいのでしょう?無駄に感情表明するだけの思考キャパがあるのなら、さっさと回避や魔法に動員して」

私は今、白い半透明な人間もどきに殺されかけている。

…全力を出しているのにも関わらず。


時は巻き戻り数分ほど前。

「次の層は貴女だけで行って」

どうして?

「アマネには危険だし、貴女1人で討伐した方が何かと良いの」

そっか


こんな感じで私はぼんやりと流され、アマネに見送られながら1人で第8層に行くこととなった。

"バキィィバキバキッ…バシュッ"

第8層に降り立った次の瞬間、氷のレーザーのようなものが8本ほど飛んできた。

ギリギリ空間魔法で宙を舞って避けたものの、次々と似たような攻撃を繰り出してくる。

ひたすら回避して、1度氷に見える地面に足を付ける…と足が氷付き始め、あまり動かなくなってしまった。

「血液魔法で体内の血流を無理やり動かして、それと治療魔法を併用して」

なるほど。

血液魔法を二重展開して治療と防御を行ってみる。

防御が極めて難しい。

左肩を掠められ、少しだけ肉が抉られる。

威力も高いらしい。


それにしても、地に足を付けられないのは辛い。

「宙に足場を作る魔法を即席で作って」

えっ今?

「今。死にたくないでしょ?」

えっとえっと…"空間固定化"

宙に足を付けられた。この調子で足場を作って…わっ

太い氷柱がまっすぐ飛んできて、何とか避けた。

通常のレーザーもどきの攻撃に加えて定期的にアレを撃ってくるのね。


それで今、死にかけている感じ。

とりあえず、 …血蝕斬撃で本体を複数回攻撃してみた。

紅くなってパリンと割れるものの、敵はまだ倒れない。

「もっと内側に流し込む感じじゃないと一生削れないわよ」

そ、そう言われても…どう出力を上げれば良いの?

「即席でアレの攻撃を完封する防御魔法を作って、近距離に近寄ってハルベルトによる直接攻撃と併せて中に叩き込むの」

むりむりむりむり…

「無理なわけないでしょ。さっさとやって」

えっと…防御魔法…氷を水分に変換して空気中に血を微量、撒いておくことでこちらが魔力を送って、氷に戻るのを防ぎ無力化するとか?

とりあえず…"血灯防御"

レーザーっぽいものと地面に付いている氷は無力化できた。けれど多分、大きな氷柱には通用しない。

私が防御できてると分かれば多分、撃ってくる。

その前に血灯防御とは別方向で氷を対処できる防御を考えないと…

「何も、使うのは血液魔法だけである必要は無いのよ?」

エジェルさんが言う。

…空間固定化を上手く転用すれば攻撃を逸らせられる?

空間固定化を転用した通常の防御ではおそらく逸らせない。

…なら空間固定化と爆発魔法、あと造血魔法を使って空中に幾つかの血液製刻印魔法陣を作り、それが反応すると特定方向に向けて集中した形で爆発し、それで弾道を逸らす…とかは?

「爆発反応装甲みたいね」

何それ?

「…良いわ。気にしないで」

そっか。

回数は他の攻撃に比べ少ないから、構築に多少時間がかかっても問題ない。

やってみよう。"空間反応防御"

血の刻印魔法陣が宙を舞う。

ダメ押しとしてヴォイテクを使って煙幕も展開。

これで多分安心していける。

ゆっくりと歩を進める。片手にハルベルトを持ちながら


白い人間もどきの身体を何度も斬る。そして1回1回血蝕斬撃を斬り込んだ身体の中に直射する。

爆発が起こり相手の攻撃を逸らす。

私を上から潰したかったのだろう。

後方に降ってきた氷柱が落ちる。

斬る

流し込む

斬る

流し込む

斬る

流し込む

斬る

流し込む

段々人間もどきがガクガクと痙攣し始める。

構わない。

斬る

流し込む

斬る

流し込む

斬る

流し込む


「…もう死んでるわよ」

ずっと斬っていたらエジェルさんが呆れたようにそう言った。

よく見ると人間もどきは四肢も頭もお腹も裂けて内容物が出てきている。

あー…死んじゃってたのね

「ぱぱぱぱーん。実績解除"ジャイアント・キリング"。解除により一段階進化が可能となりました。だそうよ、進化して良いわね?」

よく分からないけれど良いよ。

「じゃあ、少しの睡眠よ。おやすみなさいね」

おやすみなさい。


おはよう私。

また真っ暗。とりあえず殻?を突き破る。

寝る前と同じ場所。

けれど、そこにはアマネがいた。

「お待ちしておりました」

とアマネは私を見ると頭を下げてくれた。


私の容姿を魔法で鏡を出し、確認してみる。

変わらず人型、少し大人になった?全体的に少し女性的になったのと、身長が伸びた。

あとウルフヘアになってる。

他は大体一緒。髪色とか目の色とか。

成長したって言うのかな。多分


とりあえずネバっと纏わりついてくる黒いものを水魔法で洗い流して、アマネから服を受け取り着替える。

「これで晴れて特位種ね。さっさとこんなダンジョン終わらせるわよ」

エジェルさんがそう言う。

そうしよっか。


第9層、そこには氷のお城っぽいものがあった。

さっきの人間もどきの子供みたいなのがたくさんいた。以下略


第10層に到着。

ダンジョンの主が現れた。血蝕魔法で処理…したものの、最後の最後、ダンジョンの主の攻撃がアマネに当たってしまった。

内臓部分がやられてて、ただの吸血鬼なアマネにはやばそう。

昏睡状態なアマネに治療魔法をかけてみる

「効かないわよ?ダンジョンの主の攻撃には治療魔法は通用しないの」

え?

アマネはどうなるの?

死んじゃうの?失っちゃうの?

こんな…ところで?

「このままだと死ぬわね」

…方法があるんでしょ?

「正確に言えば、ついさっき"可能になった"かしら。良かったわね。進化しておいて」

勿体ぶらずに教えて。時間がないの。

「血を飲ませなさい。貴女の血を」

よく分からないけれど分かった。

自分の手首を噛み、血を出しアマネの口に押し付け、血を流し込む。

アマネがビクリと跳ね、傷ついていた腹部が治っていく。

「進化し始めたみたいね。しばらく起きないから屋敷にでも連れ帰りなさい」

進化?

「貴女の高貴な血を飲んだことで高位種化し始めたの」

なるほど?

とりあえずアマネを抱き抱える。少し成長したお陰で、難なく持ち上げられるようになった。

第10層の攻略証明のための魔法石を収納し、アマネを抱えながら1人帰路に着いた。

次回、操血姫アマネ

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