25.ダンジョン攻略・上
場所:エストブルク第三ギルド
エジェルさんの話によると
大都市には複数ギルドがあるらしい。
何故かと言うと、「統一王国全体で、ギルド運営組織に派閥が複数存在しているから」だそうで
軍駐屯地に近い場所に拠点を置き"探索者を統一王国軍の一部"として扱う「武官派」。
首都を始め、複数重要都市に拠点を置き"中央集権的な統制体制構築"を目指している「中央派」。
都市含めた王国全域に拠点を置き"探索者は脅威から市民を守る警備員の一種である"と位置づけ、雑務始め様々な依頼を市民からも請け負っている「市民派」。
沿岸部に拠点を多く置き"沿岸部及び海の掃海及び雑務"を担う「沿岸派」。
主にこの4つらしい
それぞれの派閥が建てたギルドは順番に、第一~第四ギルドと呼ばれてるそう。
関係は次の通り。
「武官派」と「中央派」は思想が似ているものの、軍属が云々〜と対立。
「中央派」と「市民派」は思想が違うため対立。
「市民派」と「武官派」は一定の距離間があるものの、探索者が"市民を守る者"であるという見解が一致しているため少し友好。
「武官派」と「沿岸派」は一部の層が極めて友好な関係。
「中央派」と「沿岸派」は対立関係。
「市民派」と「沿岸派」は極めて友好な関係。
「中央派」はみんなから嫌われてる。けれど後ろに大物貴族さん達が付いてる関係で結構強め。
で、私達が友好関係にあるのは当然市民派
ノネトリ村のギルドは市民派に運営されてたし。
ということで私は今、エストブルクの第三ギルドにいる。
「ヘマ・シヴグラード様。Aランクでお間違いないですね?」
金髪の人間がそう言った。
「はい」
「ようこそ、お待ちしておりました。本日はどのようなご用件で?」
「ダンジョン攻略をしたいと思ってて」
「なるほど。Aランクでよろしいでしょうか」
「…?えっと、はい」
確かAランクダンジョンってAランクの人複数人要るんじゃないっけ?
「こちら攻略対象の情報です」
魔法石を渡される。多分情報が中に入ってるのだと思う。
「待ってくれ。ヘマ殿」
ギルドを出ようとしたところで、大きい体格をした黒髪の人間が話しかけてきた。
「俺はここのギルド長をやってるハーバル・イータルトだ。少し話がしたい」
「あ、はい」
次の瞬間、私の身体が丸太のように抱え込まれた。そして、そのままギルド長室に連れ込まれた。
…大丈夫これ?
「すまんな。少し腰を落ち着けられる場所に案内しようと思っただけだ」
「え、ええ。怪我してないので別に良いですよ」
優しい人間なのかな。
「本題に入ろう。まずはBランクダンジョン攻略、感謝する。我ら市民派は昨今の事件のせいで人材不足に陥っていてな」
そう言って頭を下げる
「あーえっと」
どう声をかければ良いのか分からない
「無理を承知で言うのだが…」
と私の容姿を見る。
何?
「良かったら市民派に入らないか?」
何が"無理を承知で"なのだろう。
「構いませんよ」
面白そうだし
すると人間は嬉しそうにガッツポーズをする
「そうと決まれば、早速その事を公示しなくてはな」
喜色を帯びた声で人間は言う。
そんなに嬉しいの?
ギルドから出る際2枚の腕章を貰った。
深緑の腕章。そういえばこの間見た掃討部隊が深緑の服を着てたっけ。
なんでも「この腕章を付けていれば市民が歓迎してくれる」のだそうで
とりあえず肩にかけている黒いコートの右腕部に付けておこう。
従者の分としてアマネにも用意してくれたらしい。
帰ったら渡そう。
次回、実際にダンジョン攻略に行く。
壮絶な戦いがきっとあるのでしょう。
私の執筆力が低いせいでお粗末なものになる可能性は十分にありますけれど




