23.エストブルクにて
クリスマスイヴに二回目の投稿です。
きっと私は暇なのでしょう
場所:エストブルク
「ヘマ・シヴグラード様。Aランク探索者であることの確認が取れました。ようこそエストブルクへ」
ここはこの街エストブルクの外と中を隔てる検問所。
この間のダンジョン攻略の功績のお陰で、謎の3ランク昇進を果たし、Aランクとなった私は人間達にとって歓迎対象らしい。ついでに従者扱いのアマネも。
門が開き、その先に広がっていたのはまさに異世界中世の街といった感じの場所だった。ノイエスタ城を中心として、びっしりと2階建てや3階建ての建物が敷き詰められている。
「壮観って感じよね。けれどこれ、あくまで一国の首都とかじゃなくて東部の重要都市に過ぎないから」
…そういえば、私達の住んでるこの地域ってどこの国のものなの?
「フーロイ=ゼン統一王国のものね。この地域には名前が付けられてて、ユーラブルクと呼ばれてる。ついでに言うと、貴女がいつも発しているのはフーロイ語で、ちなみに"探索者"制度はこの国以外では採用されていない」
なるほど。
アマネが言う
「"プロイセン"みたいな名前ですね」
…何それ?プロバージョンの何かみたいな?
「そうね。多分"プロイセン王国"が貴女達の前世におけるフーロイ=ゼン統一王国枠なんじゃないかしら」
「なるほど」
何が…なるほどなの?
「エストブルクには長期滞在するつもり?」
お金は沢山あるし、とりあえず家でも買って住んでみたいかな。
「"家でも買って住んでみたい"だそうよ。アマネ」
「お供します」
アマネが答える。
私の口から言った方がアマネに伝えるって意味で良いのかな。
とりあえず口に出して喋ってみる。
「エジェルさん、近くに不動産屋とかある?」
「たまには自分で探して欲しいのだけれど」
渋々といった感じで1番品揃えの良い不動産屋の所にナビゲートしてくれた。
ありがとうエジェルさん。
「金額を考慮せずとなるとこちらの物件が良いかと思います。いかがでしょう?」
穏和そうな笑みを浮かべて物件を勧めてくる人間。
"恰幅がよくて美味しそう"と考えてしまってあまり物件の話が頭に入ってこない。
エジェルさんは良いと思う?この物件
「さぁ?どんな物件も、下見をしない限り実情は分からないの。とりあえず下見でもしたら?」
「下見をしたい」
そう口に出す。
「分かりました」
人間が応えた。
連れてこられたのはノイエスタ城に近い高級住宅街で、その中でも大きめな住宅…というか屋敷だった。
「こちら例の反乱の一件の前にレア・シヴグラードが住んでいた場所でして。まだ最近のことでしたからあまり掃除をしなくとも再利用可能かと思われます」
またレアさんの名前。
「そう。じゃあ買うわ」
お金に余裕はあるし、なんとなく。
「お買上げありがとうございます」
人間が嬉しそうに言う。
「きっと"元は反乱者の邸宅だったから"なんていう理由で購入されてこなかったのね。事故物件みたいに」
エジェルさんがそう言う。
旧レアさん宅の購入手続きとか諸々を済ませ、実際に住み始めることとなった。
まずは掃除から始めないと。
次回、レアの遺産
多分、その前に番外編のクリスマス回をやります。
別にクリスマスイヴなのに独りなのが少し悲しいからと、小説を書いてる訳じゃないですからね?




