18.初めてのダンジョン・中
場所:Bランクダンジョン内第1層(途中で移動)
私達は今、ダンジョンを進んでいる。
第0層は結局あの後、カウベ以外出てくる事はなく、それらを切り伏せて、第1層へ向かう階段まで行けた。
第1層にはどんなモンスターがいるのかな。
楽しみ。
第1層に着いた。木が生えている。草っぽいものが生えている。そして何より、
「夜空みたいで綺麗ですね」
アマネはそう言いながら上を見上げている。
上には光り輝く星々…っぽい低品質な魔法石の原石達がたくさん埋まっていた。
「深夜の森って感じね」
第0層よりも視界が悪い。
"ヴオォォォーン"
オオカミのような雄叫びが"複数"聞こえてきた。
「デンウルファッドですね。20匹近くいるんじゃないでしょうか」
なるほど。
「じゃあ連携して斬っていこっか」
ハルバートを構える。
斥候と思しきデンウルファッド2匹が視認できた。
相手が突っ込んできたと同時に、ハルバートを横向きに思い切り振り2匹の鼻上あたりを斬った。鼻上から下の身体がだらりと倒れた。
綺麗に斬れた切り口を指でなぞり、軽く舐め血の味を確認した。
味が薄い。個体それぞれが弱い分連携してる訳ね
「外れね。さっさと処理しよっか」
少しイラついたような低めの声が出てしまった。期待していたせいだろうか。
「分かりました」
アマネは少し怯えたかのようにそう答えた。
…どうしてそんな怯えてるんだろう。
エジェルさんと声が近いからかな
主力を効率良く処理後、憂さ晴らしに残党を惨殺して第2層へ行った。
先程と同じ夜空っぽい天井。だけれど今回は森ではなく平原。
…はやく美味しいものを食べたい。
幾ら食事が必要ないとはいえ、美味しいものを期待させられて、食べられないとなると不快。
それが戦闘後の報酬として得るものとなると尚更。
第2層に住むモンスターは一体どんなものなのかな。
…白い二足歩行の豚?
「オーピデッグですね。人間に近い体型で、武器を使い、群れる性質があります」
もしかして、人間×豚のとても美味しい種だったり?さっさと狩って食べてみたい。
「さっさと狩るわよ」
自分の口から出たものとは思えないほど口調と声色がエジェルさんっぽい。
そのせいかアマネさんがピクっと動いた気がする。
まあいっか。
つい期待で突っ込んで一匹残らず惨殺してしまった。
早速そこら辺の死体を口に放り込める大きさに切ってその肉を食べてみる。
…不味い。
なんなら、さっきの狼の方がマシじゃん。
何なの?
もしかして人間っぽい見た目で、中身は豚レベルの魔力しかないみたいなそういう?
…………次、第3層に期待しよ。
「今度は、月のある夜空ですかね」
とアマネ。中央に大きな魔法石が固まって配置されていて、まるで満月みたいになっている。
その満月が照らすのは、中央に配置された大きな丸型の床。低品質な魔法石の原石が固まって形成されていて、所々光っている。
「多分、強いのが来る」
期待半分、警戒半分で私はそうアマネに声をかけた。
下層へ続く階段の方から何かが上がってくる。
ゆっくりと、ずっしりとした足取りで
「おそらくタブ・アクアです。巨大な魚人で、水魔法を用いる強力な敵です」
"魔法を用いる""強力な"これ以上無いくらい期待できるモンスターね。
「分かった」
タブ・アクアと交戦開始。
初手で斬撃を浴びせ、ダメージを与え相手の攻撃を予見し防ぎ切れる距離まで即後退。
「次で首を跳ね飛ばす」
つい口に出てしまった。まあいっか。
アマネが後方、私が正面を請け負って、それぞれが攻撃→後退→攻撃という行動を各個にした。
結果、こちらの損害0で撃破できた。
「早速食べよっか」
「そうしましょう」
肉片を口に放り込む。
美味しい。魚っぽい匂いと食感を考慮しなければ、人間より美味しいかもしれない。
アマネもそんな感じなのか声すら出さず黙々と、しかし少し恍惚とした表情で血を飲んでいた。
美味しい。
いくら食べても飽きない。
段々、クラクラっとしてきた。多分、お酒で酔う感覚みたいな、少しここで寝ても良いかもしれない。
…おやすみなさい。
次回、第4層、第5層
アマネが怯え気味だったのは、本人すら気づいていないけれど、吸血鬼(下位種)に比べ1段階上の存在(高位種)であるヘマの怒気にこの上ない恐怖を感じているからです。




