第63話 ビル制圧
「「うおおおおおお!」」
俺とレオ君が雄叫びを上げ宮益坂に突入した。
目標のビルに向かって宮益坂を駆け下る。
俺とレオ君が宮益坂を駆け下り出すとすぐにビルから大量の魔物が顔を出した。
通りの左右に建つビルの窓からゴブリンアーチャーやオークアーチャーが弓をつがえる。
魔物たちは、『罠にかかった!』とばかりにニヤニヤ笑っていた。
「マジか!」
「こんなにいたのか!」
俺とレオ君は驚くが足は止めない。
ここで立ち止まっては、良い的になるだけだ。
目標のビルに飛び込むしかない。
「走れ!」
「おう!」
俺とレオ君は、とにかく足を動かした。
無線から神宮司君の声。
「撃て!」
背後で凄まじい音。
銃の発射音と魔法が発動し空気を熱し切り裂く音が入り交じり、俺の鼓膜を破壊しようとする。
「俺たち囮かよ!」
「神宮司の野郎! あとで覚えてろ!」
俺とレオ君は悪態をつきながら足を動かす。
大量の魔法と銃弾が俺とレオ君の頭上を通過する。
そしてピュンピュンと風切り音がして、ゴブリンアーチャーとオークアーチャーが放った大量の矢が俺をかすめる。
「当たらない! 当たらない!」
「俺には矢が当たらない!」
念仏のように『矢が当たらない』と唱えながら、宮益坂を駆け下りて指定されたビルの入り口に飛び込んだ。
通りを振り向くと、凄まじい量の魔法と銃弾がビルの窓に叩きつけられた。
窓から顔を出していたゴブリンアーチャーとオークアーチャーは、ボロ雑巾にされている。
俺に矢を放ってきた魔物が倒されて気分爽快だ。
俺はニヤリと笑って一言悪態をつく。
「ざまあ!」
さて、神宮司君の指示はビルの制圧だ。
俺の目の前には、雑居ビルの急角度の狭い階段があった。
俺は足音を立てないように慎重に階段を上る。
二階の扉が開いている。
そっと中をのぞく。
ここはオフィスだったのだろう。
事務机、パソコン、ホワイトボードが置いてある。
だが、魔物に荒らされ部屋の中はグチャグチャだ。
「ギ! ギ!」
「ギィ! ギィ!」
部屋の中にはゴブリンが二匹生き残っていた。
仲間のゴブリンが倒されて怒り心頭の様子で、地団駄を踏んでいる。
俺は足下に転がっているボールペンを拾い上げて、ドアから遠い場所へ強く投げた。
スチール製の本棚にボールペンがぶつかって、大きな金属音が響いた。
「ギッ!?」
「ギギッ!?」
ゴブリン二匹は音がした方向へ視線を向けた。
俺は一気に部屋へ突入する。
俺が事務机の上を走り二匹のゴブリンへ迫ると、ゴブリン二匹が振り向き驚愕する。
「遅い!」
俺は一匹のゴブリンの頭を蹴り飛ばした。
つま先に硬いゴブリン頭部の感触。
ゴブリンは窓から屋外へ吹き飛んだ。
「ギッ!」
窓の外は敵味方の放った矢、魔法、銃弾が吹き荒れている。
窓から宙を舞ったゴブリンは、敵味方の攻撃に体を撃ち抜かれて落ちていった。
残りの一匹は、机の上から踏みつけて首の骨をへし折る。
ゴブリンは沈黙した。
俺は無線で神宮司君へ手短に報告する。
「こちら狭間。二階を制圧」
「神宮司です。上の階も制圧をお願いします」
「了解」
続いてレオ君の声が無線に入った。
「牛丼屋の中にオークとゴブリンだ! バックヤードに隠れてやがった! 排除する!」
「神宮司了解。気をつけて」
「ここは牛丼屋だ! 豚は出てけよ!」
レオ君が吠える声が聞こえた。
俺は三階、四階に上り、ゴブリン、オークを倒しビルを制圧した。
「こちら狭間。ビルを制圧」
「神宮司です。後続を送ります。入り口へ移動してビルを確保して下さい」
「了解」
俺は階段を駆け下り一階へ急いだ。





