第33話 新メンバー望月弥生
――翌日。
「ら~♪ ららら~♪ おはようございまーす!」
俺は休養十分で新宿西口冒険者ギルドへ出勤した。
挨拶は大事!
社会人の基本!
時間は九時十分前。
時間は大事!
社会人の基本!
冒険者だからといって、不規則な生活はいけない。
ちゃんと時間通りに働くのだ。
俺が大きな声で挨拶すると、冒険者ギルドのホールのあちこちから挨拶が返ってくる。
「おはようございます!」
「っはよざまーす!」
「うーす!」
神宮司君たちもいた。
「神宮司君! レオ君! おはよう!」
「おはようございます。狭間さんボス戦大変でしたね。レアボスですもんね。突破おめでとうございます」
「単独突破は凄いッスよ。おめでとうございます!」
神宮司君、レオ君が祝ってくれた。
二人と軽く言葉を交す。
二人はすぐにダンジョンへ向かった。
「狭間さーん!」
おっと上原さんが受付カウンターで呼んでいる。
モテる男は辛いぜ。
「上原さん! おはようございます!」
「今朝はご機嫌ですね?」
「ふっ。魔法を覚えたから、無敵ですよ」
「そーですか。あえて苦言を呈させていただきますが、調子に乗って無茶しないで下さいね」
おお! 上原さんが心配してくれる。
これは、愛。
俺は上原さんの愛に応える。
「わかりました。慎重に探索を進めます」
「お願いします。えっとですね。狭間さんとパーティーを組んでくれる人を見つけてきました」
「おお! パーティーメンバー!」
「こちらが望月弥生さんです」
「えっ……?」
俺たちは受付カウンターに向かい合って座っている。
上原さんは俺の隣の席に向けて手をかざしているが、俺の隣には誰も座っていない。
はて?
これはどういうこと?
「望月さんは、魔法使いです」
「ええと……」
俺にだけ見えてないのか?
透明人間的なスキル持ち?
俺は隣の席に手を伸ばしてみたが、手は空を切るばかりで誰も座っていない。
「望月さん。こちらが電話でお話しした狭間さんです。出て来て下さい」
「えっ? 出て来て下さい?」
上原さんが、カウンターの下へ向かって強めの声を出した。
カウンターの下をのぞいてみると……、何かいた! 目が合った!
人だ。
どうやら黒いローブを頭からかぶって、カウンターの下で小さくなっているようだ。
カウンターの下にいる人物は、目が合うと『ヒッ!』と小さな悲鳴を上げた。
えっ!?
この人が新メンバー!?
大丈夫なの!?





