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駅前はダンジョン~派遣から転職したらパワー系魔法使いでした!  作者: 武蔵野純平
第三章 西新宿の首折り魔

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第29話 一階層ボス戦 レッドゴブリン

 俺は一階層の探索を続け一階層のボス部屋に到着した。


 ボス部屋の入り口は非常に不思議な光景だ。

 ちょっと大きめな木製の倉庫が平原の中に建っているのだ。


 ボス部屋の情報は、神宮司君が作ってくれたスレッドで共有されている。

 事前情報がなければ、ボス部屋と知らずに入ってしまうかもしれない。


 一階層のボスはレッドゴブリン。

 パワータイプのゴブリンだ。


 ボス部屋は戦闘が終了するまで出られない。

 つまりボスモンスターを倒してボス部屋を出るか、ボスモンスターに殺され人生が終るかだ。


(うーん、リスクが高いよな……)


 いくら俺がバカでも非常に危険だとわかる。

 しかし、『おけつに入らずんば、なんとか』という言葉がある。

 つまり、『行ってみろ! 行けばわかるさ!』ということであろう。


「よし! 上原さんに褒めてもらうためにも、ここは突破だ!」


 俺は声に出して自分を勇気づける。

 相手はパワータイプのレッドゴブリン。

 パワーであれば、俺は負けない!


 ボス部屋の入り口は、粗末な木製の扉だ。

 観音開きになっている。

 俺は両手でボス部屋の扉を押し、ボス部屋に突入した。


 ボス部屋の中は外見よりも広い。

 天井から薄らと光りが注いでいるだけで薄暗い。


 俺は目をつぶって、暗さに目を慣らせる。

 これも神宮司君のスレッドに書いてあった対策方法だ。


 しばらくして目を開くと、周りがよく見える。

 窓はない。ボス部屋の奥に扉があるだけだ。


 突然、部屋の中央が光った。

 光りがおさまると、部屋の中央に赤いゴブリンが立っていた。


「むっ……。コイツがレッドゴブリンか……」


 俺は恐怖を紛らわせるために声に出してみる。

 体格は普通のゴブリンと同じで人間の子供サイズだ。

 ただ、体の色が赤い。


「パワータイプと聞くが、どれほど力が強いのか……見せてもらおうか! レッドゴブリンの力とやらを!」


 俺は某赤い人の有名な台詞を真似してレッドゴブリンに近づいた。


「ギッ!」


「なにっ!?」


 レッドゴブリンがひと声鳴くと消えた!

 背後で音が聞こえ、俺はとっさに横っ飛びした。


 ガン!


 俺が立っていた場所にレッドゴブリンの石斧が振り下ろされた。


 レッドゴブリンの動きが速い。

 事前情報との違いに俺は驚く。


「えっ!? パワータイプじゃなくて、スピードタイプなの!?」


「ギッ! ギッ!」


 レッドゴブリンが勢いに乗って攻めて立ててくる。

 動きが速いので、俺も動き回る。


「クッソ! 神宮司君の情報と違う! いや、今さら言ってもしょうがない! どうするかな?」


 俺はブツクサつぶやきながら逃げ回った。

 逃げ回っているうちに冷静になってきた。


 攻略情報と違ったのは痛いが、スピードがあるとはいえ所詮はゴブリンだ。

 首をひねれば倒せる。

 問題はどうやって捕まえるかだ。

 動きが速いから、こちらから捕まえに行ってもかわされてしまう。


 色々考えながら逃げ回るうちに、俺は壁際に追い詰められた。

 それも壁と壁の角だ。


「ギッ! ギッ! ギッ! ギッ!」


 勝ち誇り高笑いするレッドゴブリン

 どうやらレッドゴブリンは、俺が逃げる方向をコントロールして壁際に追い詰めたようだ。


「やられたな……。だが……」


 俺は落ち着いていた。


 レッドゴブリンが加速して迫ってくる。

 一気に目の前にレッドゴブリンが現れ、石斧を俺の脳天目がけて振り下ろした。


 ガシ!


 だが、俺はレッドゴブリンの手首をがっちりと両手でつかんだ。


「ギッ!?」


 驚くゴブリン。


「捕まえたぁ~」


 俺はニタリとレッドゴブリンに笑った。


 そう、俺は追い詰められたが、ピンチをチャンスに変えたのだ。

 角に追い詰められるということは、左右と背後から攻撃はない。

 前方に集中すれば良いのだ。


 さらに、俺が角に立っているということは、左右に壁があるのでレッドゴブリンは横からの攻撃が出来ない。

 そしてレッドゴブリンの持っている武器は石斧。

 槍なら突く、振り下ろすと二通りの攻撃が出来るが、石斧は振り下ろすしか攻撃パターンがない。


 つまり俺は正面からレッドゴブリンが石斧を振り下ろすのを待ち構えていれば良かったのだ。


 攻撃が予測できれば、後はタイミング。

 レッドゴブリンの動きに目が慣れて来たので、タイミングもバッチリだった。


 俺は左手でゴブリンの手首をガッチリつかみ、右手でレッドゴブリンの頭をつかんだ。


「ギー! ギー!」


「フン!」


 レッドゴブリンが騒ぐが、俺は容赦なくレッドゴブリンの首をたたき折った。


「ギッ……」


 小さく断末魔を残して、レッドゴブリンは息絶えた。

 ダランと脱力したレッドゴブリン。

 普通なら自分自身や殺しに嫌悪感を抱くのだろうが、俺は精神耐性スキル持ちなので何も感じない。


「ふう……。赤いから速かったのかな? 通常の三倍? とにかく上原さんに報告して、神宮司君のスレッドに書き込まなきゃ」


 ボス部屋を出て二階層へ行ったら、一旦冒険者ギルドへ帰ろう。

 俺はレッドゴブリンをボス部屋の床に放り投げて、出口へ向かった。


 すると何かが床に落ちている。

 液体の入った小さな瓶だ。


 俺は瓶を拾い上げると、ボス部屋の扉を押しやった。

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