第28話 ダンジョン探索再開
――翌日!
俺はダンジョン探索を再開した。
昨日は村への対応でダンジョン探索が出来ず、同期の冒険者に遅れをとってしまった。
同期の神宮司君とマイルドヤンキーのレオ君は、先行していて既に三階層に取りかかっているそうだ。
俺も励まなくては!
気合いを入れて朝九時にダンジョンに入り一階層を進む。
周りは新人冒険者だらけで、ゴブリンを相手に熱闘、奮闘、苦闘している。
新人の獲物を奪うのは良くないので、俺は新人冒険者の戦闘を横目で見ながら通り過ぎる。
ヤバそうな状況だったら助けに入るが、今のところ大丈夫そうだ。
みんなシッカリしているな。
一階層の奥へ進むと冒険者が少なくなった。
そしてゴブリン出現。ようやく俺のターンである。
「ギ!」
「フン!」
俺はゴブリンに組み付くと、有無を言わせず首をへし折った。
瞬殺である。
ジョブが魔法使いなのに、この戦闘スタイルで良いのかという疑問はあるが、今のところこの首折りスタイルが最も安全確実迅速な戦闘方法なのだ。
ダラリと脱力し息絶えたゴブリンを地面に放り捨てる。
今回倒したゴブリンは布袋をぶら下げてない。
布袋をぶら下げているゴブリンは、布袋の中に何か持っている――いわゆるドロップアイテムを持っているのだが、コイツはハズレのようだ。
(いや、待てよ。どこか他の場所にアイテムを隠し持っているかもしれない)
俺はゴブリンをじっと観察する。
ゴブリンは腰布をつけているだけで、アイテムを隠し持つスペースはない。
とすると、この腰布の下が怪しい。
俺はゴブリンのそばにかがみ、そっと腰布を持ち上げ中をあらためた。
(うーん、粗末なモノがぶら下がっているだけだな。見るんじゃなかった)
俺はちょっと後悔した。
朝から何を見せられているのかと。
ドロップアイテムがないことに俺がガッカリしていると、背後で音がした。
振り返ると先日見かけた女性冒険者二人組が立っていた。
俺をモッコリーノ男爵とかナントカ呼んだ人たちだ。
女性冒険者二人組は、顔を引きつらせながら俺を見ている。
俺は女性冒険者二人組に声をかけた。
「あの……何か?」
「死んだゴブリンのスカートをめくっている!」
「ゴブリンの股間を凝視している!」
どうやらとんでもない誤解をしているようだ!
俺はドロップアイテムの有無を確認していただけなのだ!
俺が弁解しようとすると、女性冒険者二人組は声をそろえて叫んだ。
「「変態現る!」」
「待てい! 違うぞ!」
俺は立ち上がって、二人に説明しようと一歩近づいたが悲鳴を上げて逃げられてしまった。
やれやれ、これでまた俺の風評被害がひどくなる。
きっと上原さんに怒られるな。
もう、ゴブリンの腰布の中をチェックするのは止めよう。
俺はため息をついて、さらにダンジョンの奥へ向かった。





