第23話 ダンジョンの外は異世界
ダンジョンの外は、今まで見たこともない美し光景が広がっていた!
――ということはなかった。
俺はダンジョンの外へ出て、周囲を見回したが何の変哲もない場所だった。
少し黄色がかった土、緑色の草、ちょっと先に杉のような木が沢山生えている。
どうやら、俺のいる場所は森の中のようだ。
振り向いて見ると、俺がダンジョンから出て来た場所は崖に空いた洞窟になっていた。
洞窟の中は真っ暗で中が見えない。
次々と自衛隊員さんが、洞窟から出てくる。
みんなキョロキョロと周囲を見回している。
「太陽があるな……」
一人の自衛隊員さんが、ボソッとつぶやいた。
なるほど、空を見上げるとお日様が暖かい光りを降り注いでいる。
俺は冒険者ギルドの上原さんに話しかけた。
「ダンジョンの外って言っても、特に珍しい光景じゃないですね。」
「いえ、不思議ですよ」
「どこがですか?」
「私たちは新宿西口ダンジョンに入りました。歩いた時間を考えると、まだ東京二十三区内のはずです。なのに、森の中に出るなんておかしいですよ」
「あっ! 確かに!」
「まだ、ダンジョンの中なのかしら……」
上原さんは、何か考えている。
うーん! キリッとした横顔が美しい!
自衛隊の隊員さんたちは、土や草を触ってみたり、木を叩いたり、あちこち調べている。
「無線が使えますよ!?」
「そりゃ、ダンジョンの外に出たからだろう?」
「じゃあ、ここはどこなんですか!? 我々は新宿にいたんですよ!」
「ダンジョンの中なのか……?」
自衛隊も俺たちと似たような会話をしている。
俺はスマホをポケットから取り出してみた。
電波が来ていないので電話やネットは使えないが、カメラ機能などは使える。
「上原さん! スマホが動きますよ!」
「本当ですね! ここは間違いなく外ですね!」
ダンジョンの中は電子器機が使えない。
スマホが動いているということは、ダンジョンの外である証拠だ。
「じゃあ、写真撮りましょう! イエーイ!」
俺は上原さんと一緒に記念写真を撮る。
上原さんは、頬をピクピクさせお怒りだ。
「俺、なんか不味いことしました?」
「狭間さん……もうちょっと真面目に……」
「サーセン!」
やれやれ、上原さんに怒られてばかりだ。
だが、これはきっと愛情の裏返し!
俺は上原さんを守るべく、張り切って周囲を警戒した。
しばらくすると自衛隊と上原さんが相談して、一定の結論を得た。
・ここはダンジョンの外。
・しかし、日本ではない。
・恐らく異世界ではないか?
・無線、スマホなど電子器機が使える。
・銃も使える。
銃が使えると聞いて、俺はホッとした。
ここが異世界なら、俺が想像もしないモンスターが出現するかもしれない。
銃が使えるなら心強い。
「では、調査を続行します! 村があった方向へ進みましょう!」
俺たちは森の中を進み出した。





