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7.村長

オリヴィアから一通り村の話を聞いて一息ついた頃、扉をまた叩く音が聞こえた。


「入るぞ?」


ガチャ


入ってきたのは、昨日俺を担いでここまで連れてきてくれた大男だった。


「坊主、体はもう大丈夫か?」


「あ!あの時はありがとうございました!…えーと…」


「ブロディアってんだ、ラプスとここの門番や警備をしとる」


「ブロディアさんですね…あの、ラプスさんは…?」


「あー、その事でな、今アイツ村長所に行っててよ、代わりに俺が様子を見にきたってわけだ」


「あの‥俺のことで何かあったんでしょうか…?」


「まぁ、関係ないと言えば嘘になるが…その前に聞かせてくれ、お前は捨て人なのか?帰る場所はあるのか?」


ブロディアに聞かれると誠司は言葉に詰まってしまった。

帰る場所なんて最初からないのに、言葉にしたらこれが現実だと受け入れてしまう怖さがあった。

いや、現実なんだが心のどこかでは未だに夢なんじゃないかと言う希望があった。

言葉にした瞬間俺は元の世界に帰れない。そんな気がしていた。


「この子は捨て人だよ…」


オリヴィアが代わりに答えた。


「……そうか」


重たい空気が流れた。


「あの…」


「よし!動けるか?」


俺の声を遮ってブロディアが話しかけてきた。


「え…?あ、はい…」


「村長とこまで行くぞ!」


「え…?ええええ?!」


そう言うとブロディアは俺を外に連れ出した。


「ふふふ…あんなに楽しそうなブロディアは久々ね」


オリヴィアが遠ざかる誠司達を見てにこやかに笑った。


〜〜〜〜〜〜〜


「あ、あのぉ…結構服とかボロボロですけど、大丈夫なんですか?体も汗臭いですし…」


「んなもん気にすんな!見ての通りこの村じゃ皆きったねぇ服着てる!」


恐らくここの村の文明レベルは割と低いのだろう、お風呂も無ければ洗濯もない。せいぜい近くの川で洗ったりするくらいだろう。


「はぁ…こんな事ならもっとインフラとか家電製品の仕組みとか勉強しとくんだったなぁ」


そしたら技術革命で無双できただろう。

誠司は残念に思った。


村長の家に行く道中辺りを見回したが、老若男女合わせて50人くらいはいるだろう。

そして、モンスターテイマーは大体半数くらいいそうだ。


そうこうしているうちに村長の家に着いてしまった。

少し大きめの家だが、お世辞にも綺麗とは言えない家であった。


ドンドン!


「ブロディアです!」


ガチャ


扉が開く。


「あぁ、待っていたよ!ん?そちらが例の少年かい?」


出てきたのは30代半ばくらいの男性だった。


「は、初めまして!誠司です!」


「初めまして、僕は村長の息子のムカロスだ」


ムカロスはスッと手を出して握手をした。


「「パパー!」」


後ろから聞き覚えのある声がした。

どうやらメイとカエはラプスの後ろをずっと着いてきていたようだ。


「メイとカエか、これからお父さんはちょっとこのお兄さんとお話があるから、外で遊んでてくれるか?」


「「わかったー」」


「え?パパ…?」


「そう、僕の子供達で6歳になったばかりなんだ。それよりもどうぞお上がりください」


誠司は村長宅へあがり、ムカロスについて行くとそこには昨日助けてくれた男の人と歳を召した男性が座っていた。


「おう!連れてきたぜ」


ブロディアがラプスに話しかけた。


「もう体は大丈夫かい?」


「あ、あの節はありがとうございました!もうすっかり治りました」


「そうか、よかった」


「この子がセージくんか」


ラプスと向かい合って座っていた老人が口を開いた。


「私は村長のウレムだ」


「せ、誠司です!」


「キミの話はラプスから聞いてるよ。で、どうだったかね?ブロディア」


「はい、捨て人との事でした。いかがいたしましょう?」


「そうか…」


村長のウレムはため息をひとつつくと、目線を誠司に向けた。


「キミは帰る場所がない…という事で合ってるかな?」


「は、はい…」


「この村の人は皆捨て人とその家族、または子孫じゃ。モンスターに関わる職業の者や奴隷に売られ、そこから運良く保護した者、濡れ衣の罪を着せられて追放された者、代々この村はそう言う捨て人を受け入れてきた」


どうやら、この村には様々な理由で帰る場所を失った人がいるようだ。


「キミも帰る場所がないなら受け入れようと思う。ただし、まずキミに何ができるか教えてもらえるかい?」


「えっと、モンスター合成士と言って、モンスター同士合成して強くすることができます」


「なんと…長年生きてきたが、そんな職業は初めて聞いたぞ…」


村長(ウレム)は驚きを見せた。


「なるほど、モンスターを強化することができる…それが真であればモンスターテイマーより恐れられる存在だろう…」


この世界の人からしたら、敵戦力を増大させかねない能力だ。


「ただし、合成できるのはレベルの上限に達したモンスターのみのようです」


「なるほど、では自由に合成できるわけではないのか」


「はい、この村に来る途中で遭遇したモンスターを鑑定しましたが、野良でレベルの上限に達しているモンスターはいませんでした。恐らく野良では滅多にいないのでしょう」


「なるほど、この村にはモンスターテイマーが多い。上手くいけば村の戦力を大きく向上することができそうだな」


「そうですね、僕もモンスターテイマーがいる国を探していました。ここなら俺の能力も活躍できると思います!」


「よかろう、そうだな…ブロディア、お主まだ独り身だったな、今日からお主の家で面倒見てくれるかな?」


「え?!お、俺ですか?!俺ズボラですけど…」


「お主もまだ1代目、色々この村のことを教えてやってくれんかの?」


ブロディアがこちらをチラ見する。


「せ、セージが良ければ…」


「どうかね?直ぐには新しい家を用意するのは難しいから、それまでブロディアのところで面倒見てもらいなさい」


「あ、えーと…いいんでしょうか?」


誠司とブロディアの間に気まずい空気が流れる。


「はぁ…まぁ、ちょっと散らかってるけどそれでいいなら…」


話はまとまった。

俺はモンスター合成士としてこの村で働くことになった。

貴重な職業且つ村に大きく貢献できそうと言うことで、生活に足りないお金は、ある程度村長が補填することとなった。

俺はモンスター合成士として働き、空いてる時間は村の人のお手伝いをすることとなった。


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