1.勇者召喚
「あー、明日から学校かぁ…」
俺は西郷誠司、高校2年の冴えない男子高校生だ。
夏休みも今日で終わり、明日から学校と言う現実を突きつけられて憂鬱になっていた。
夏休み前に発売されたゲームにどハマりしてしまい、夏休みが一瞬で終わったのが、より一層強く俺の気持ちを憂鬱にさせたのだろう。
そのゲームでは、モンスターを手懐けて戦わせるモンスターテイマーと言うジョブがあり、手懐けたモンスターは他のモンスターと合成する事で強化していく事が出来るわけなのだが、進化モンスターのバリエーションが非常に多く、様々な合成パターンと、進化先が用意されていたのがこのゲームをより一層奥深く面白い物にしていた。
俺は気付くと寝る間も惜しんで遊び、学校の勉強はそっちのけでモンスターの合成パターンを頭に叩き込んでいた。
そんなの何の役にも立たないのはわかっていたが、俺はそうでもしないと現実を忘れる事ができなかったのだ。
正直学校へは行きたくない。
虐められているからだ。
それでも学校へ行くのは、そうする事で少しでも奴らに対抗してると思っているからだろうか。
それとも、夏休みが明けて環境も少し変わってる事を期待しているからだろうか。
ただ、親に心配かけさせたくないだけなのだろうか。
はたまた親に知られるのが恥ずかしいだけなのだろうか。
または、その全てだろうか。
俺は自分の中の真意すらわからずに明日の支度をして寝床についた。
不安で寝付けないと思っていたけど、ゲームの疲れからかその日はすぐに眠りについた。
翌朝学校に行くとクラスは賑わっており、久しぶりだの夏休みはどこに行ったのだのと話している声が聞こえてくる。
俺を虐めてる4人組は俺に気付くと何やらニヤニヤ笑っていた。
お昼休みに入り、俺はいじめっ子の4人から屋上に呼び出された。
何事も無く…って事にはならなかったようだ。
「お前なんでまだ学校来てんの?」
初めに口を開いたのがいじめっ子のリーダー的存在の浦原勇人だった。
「ほんとほんと!マジ目障りだから学校来んなよ!ギャハハ」
浦原勇人の彼女の浜松清子だ。
大声で笑いながら手を叩く仕草は、まるで猿のようだ。
とんだ名前負けである。
「・・・」
1人黙ってるのは人かは大柄の男子、守屋純だ。
コイツは正直よくわからないヤツだ。
浦原といつも一緒にいるが、加担するわけでも無く、助けてくれるわけでもない。
ただ、たまに浦原が行き過ぎた行動をしようとした時に止めたりしている。
正直俺も何度かコイツに救われているが、心の中では何を考えているのか分からない不気味なヤツだと思った。
「あーあ、休み明け早々可哀想〜」
少し離れたところで他人事のように見ているのは守屋の彼女の椎名風子だ。
「んだよその目は…また殴られたいの?」
浦原が拳を握る。
思い切り文句の一つでも言ってやりたい。
頭の中では何度もイメージした。
でも、いざ本番になると恐怖で声ひとつ出せなかった。
「気持ち悪りぃな!」
浦原が拳を振り上げた。
「おい…」
守屋が止めに入ろうとしたその瞬間、地面が光り出した。
浦原達は突然の事で戸惑い固まってる。
「な、なんだ?!」
浦原がつぶやいた瞬間に俺の意識が途切れた。
次に目を覚ますとそこは見た事もない城の中だった。
目の前には王様と見られる人とその家臣と思しき人達が沢山いた。
また、隣には倒れている浦原達と俺達を囲むローブを着た人達が見えた。
「おお!!成功じゃ!」
声のする方を見ると、王様らしき人が立ち上がって喜んでいた。




