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God Bless You !! 2nd Season  作者: 灰色狼
第三章 ドロウの王
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38:斧


 コマリとパーシバルが出発してから、アレンとローズが気体化を始める。

 ゆっくりと彼らの姿が霧のように変わっていく途中、アレンがザックを見る。

 ザックはその瞳に決意を見た気がして、頷く。

 アレンとローズが完全に気体化すると、すぐさま飛空船へ向かい飛び立った。

 ザックはその後ろ姿を見送ると、動き始める。


 アレンにはその指示に従うと言ったが、ザック自身はおとなしく待つつもりなどなかった。

 砂浜をジャングルの方に向けて走る。

 敵の巡回などは今のところ見当たらない。

 撤収間近ということなのだろう。

 5分ほどで、ザックは目当てのものを発見した。

 偵察に出たローズを襲撃した大ガニ。3匹ほどが漂着した何かの死体を貪っているようだった。

 ザックはそこに向けて走る速度を上げる。


 斧を構え接近し、脇を走り抜けながらカニの足を切り落とす。

 そのまま真っすぐ走り抜けると、足を切られたカニはザックを追い始めた。

 

 釣れた。


 ザックは少し速度を落とし、カニが近づくのを確認しながら周囲を見渡す。

 何か所かで砂が盛り上がるのが見えた。

 その間を走り抜けながら走る速度を上げて、進行方向を徐々に変えていく。

 行く先々で少しずつ砂が盛り上がるのが見える。

 蛇行しながら向きを変え続け、来た方角に180度反転して走り続けた。

 カニは直線的にザックを追っているので距離が詰まる。

 ザックは雄叫びを上げて、さらに加速した。

 ザックの複合装甲の合間から赤い陽炎が上がる。

 オーバーロード。

 自らの出力で自らの体を傷付けることがないように掛けられている制限を自らの意思で解除したのだ。


 前方の砂が大きく揺れ、そこからカニが出てきた。

 ザックはカニが完全に姿を出す前に斧を振りぬき、その硬質な殻を叩き割った。

 移動速度は落とさない。

 近辺に潜んでいたカニはかなり引っ張り出せたようだった。

 走りながら振り返ると、10匹以上はザックを追いかけてきている。


 もう少し数がいればよかったのだが。


 ザックはそう思うが、前方にケイニスの上陸地点が見えている。

 少しだけ速度を落とし、カニを引き付けると再び速度を上げて、カニが届かない距離を同じ速度で走る。

 上陸地点に作られた簡易の防御柵を両手斧で切り倒して中に走り込む。


「敵襲!」


 大声で叫ぶと周囲にいた兵士が反応する。

 ザックのすぐ後ろには大型のカニ。

 兵士たちとカニの乱戦が始まる。

 ザックはここの兵士たちの能力に関して予想がついていた。

 カニ一匹で4,5人と戦える。

 陽動として、ないよりはましだろう。


 奥の方を見ると飛空船が傾いて地面に完全に降りているのが見える。

 その周囲は大騒ぎになっているようだ。


 巨大な斧は目立つかもしれないが、レーヴァの兵士が多いこの陣地内ではザックは目立たなかった。

 ザックは早足に騒ぎの方に向かった。



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