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権力と猫  作者: 央美音
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新たな生物は猫だと思う

 妻とサムディと俺でお茶の時間を楽しんだ。ついでに卵から猫の話と聖女から膝猫計画の許可を得た話もした。決して聖女に選ばれた理由に膝猫計画があったからなんて言わないぞ。一応確認はしていたはずだから大丈夫だろう。あの時の衝撃でその時の記憶が曖昧な気がする。会ったこともない聖女に秘密がばれてるなんて普通は思わないよな。

 二人は猫の話には微笑む余裕があったが、流石に膝猫計画の話には少し不安げな顔を隠しもせずに俺を心配してくれた。大丈夫だ、ただ高級な椅子に座り猫を膝に乗せてお酒の入ったグラスをグルグルするだけなんだ。それを見せるのはここにいる二人だけだ。もし罰が当たるなら俺一人だろうしな。

 サムディが席を外したので妻と二人の時間を過ごす。


「旦那様、こちらをご覧いただけますか」


 何だサムディ、これは大陸の地図か。何やら色鮮やかになっているが、これは何かの印か。


「左様でございます。私が猫を捜索していた時の地図です。旦那様に猫と言う存在をお教え頂いた時に、ドラゴンと発言していたと聞きました」


 ああ、確かにドラゴンなら連れてくることはできるとか、ドラゴンは生まれたてならいけますと言われたな。


「私は、そのようなことを申し上げた覚えがございません」


 え、あんなにドラゴンお薦めしてきたのに?

 サムディ、何か精神攻撃でも受けていたのか。呪いとか、まじないとか。


「いえ、恐らくですが、旦那様の猫が飼いたいという気持ちに私が強い決意を秘めた結果、根本的なことに気付いたのではないのかと」


 何だそれ。サムディは、そんなに意識を高くするほど俺に猫を見せようしていたのか。サムディの潜在能力は未知数だな。

 そういえば、サムディの下の者達に何か褒美をやった方が良いだろう。猫の件では結構無茶をさせたからな。


「旦那様、そのお言葉だけで十分すぎる褒美です。あの者達には、働きに応じた報酬を渡しておりますゆえ」


 それなら良い。それで根本的なことに気づくとはなんだ。いきなり猫はドラゴンから生まれるものと気づいたということか。


「それに近いかと。あの時の私は猫の存在を知らなかったことに恥じておりまして。頭の中から有用な情報を探しておりました」


 後からだから言えるが、あの時は俺も大陸のどこかに猫はいると思ってたからな。まさか、サムディがそんなことをしていたとは。


「その時、ドラゴンの存在が猫に通じる道だと導き出した可能性が高いのです。その代償に、話が上手く伝えられなくなったのだと考えられます。旦那様にはご迷惑をおかけ致しました」


 まあ、あんなサムディは中々見られるものじゃないからな、気にするな。それでこの地図が、どうドラゴンと関係するのだ。


「こちらの地図ですが、始めは生き物達の分布図として利用しておりました。調査の結果を旦那様にお伝えした後は鑑賞用として保存しておりました」


 まあ、見ているだけでも楽しめるのならよいことだな。サムディがどんな生き物達を調べたのか一覧があるなら欲しいな。地図と見比べてみたい。

 

「そして旦那様から卵の話を伺いまして、先ほど席を離れました時に、ドラゴンの出現を伝承している地域を付け加えてみたのです」


 これは、サムディの好奇心が疼いたか。あの短時間でよく地図に書き加えられたな。


「ドラゴンの伝承も調べておくべきだと、下の者達から進言がありましたので、この地図とは別に集めておきました。私のドラゴン発言を聞いていた者達です」


 そうか、複数から進言されていたのか。下の者からしか分からないサムディの何かを感じでもしたのだろうか。


「それと合わせて出来た地図がこちらになります。ご覧ください、この生き物の分布とドラゴンの伝承の地域の重なり具合を、憶測になりますがこちらの生き物は旦那様と同じように卵を預かった人物がいた可能性があります。今回は生き物限定でしたが、生物の範囲まで広げてみるのも、面白い結果をご覧になれるかもしれません」

 

 ふむ、確かに他の生き物達と違ってドラゴンの伝承地域から散らばるように動いているみたいだ。他の重なっている所でも同じような動きだな。

 流石にこれ以上の調査は良い。ドラゴンの伝承を足がかりに調べても、時間も費用もかかるだろう。そもそも猫探しの産物なのだからこれ以上は必要ない。

 

「承知いたしました。調査担当の下の者達は通常業務に戻らせます」


 それよりも、よくこんなことが調べられたな。どうやって調べたんだサムディ。


「そこは、人海戦術と生物図集が役に立ちました。生物学者からも情報提供して頂いたりなど色々と、結果は残念なことになりましたが、この地図を始めとする資料は保存処理しておきますので、もし興味がございましたら是非ともお声がけください」


 そうか、猫の為に、ここまでのことをお前はやってくれたのだな。サムディとその下の者達よ、嬉しく思うぞ。俺の、高級な椅子に座り膝に猫を乗せてお酒の入ったグラスをグルグルしたいという望みの為に、力を尽くしてくれていたのだな。

 なんと忠義……いや、待て、サムディよ。確かお前は、猫がいないと結果が出た後にもドラゴン推しを続けていたよな。しかも、初めよりもドラゴンの姿まで思い描いていたな。あれは一体どういうことだ。


「旦那様、あの時の私は、生物図集北大陸編その八を読み返しておりました。その時に、下の者達から最終報告書を提出されたのです。その結果を見た私は、旦那様の残念がるお顔を驚きに変えてみせようとした結果が、この避暑地への旅になりました」


 そうか、そうだな、サムディは疲れていたからな。それに加えて生物図集を読んで興奮状態でもあったのだろうな。要は、仕事疲れが蓄積されたことで冗談の加減が分からなくなっていたんだな。休ませる判断は間違っていなかったな。やはり、旅が最適解だった。

 疲労困憊家令のサムディは、ここに来てからは顔色がよくなっている。俺は、サムディの頑張りを確認できた。妻は、興味深げに地図を見ている。

 後は、猫だと予想している卵が孵るのを待つだけだな。健康には気をつけて生活していこう。

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