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人類統一政府成立以前、第35惑星系と呼ばれた場所と、その横の第36惑星系と呼ばれた場所に、軍事産業で栄える惑星と、非軍事産業で栄える惑星があった。人々は、それぞれの惑星のことを、軍事惑星と非軍事惑星と呼び、それぞれの偉業をほめ立てた。


この時よりさかのぼる事数百年、それぞれの星は似たような状況にあった。ほぼ同時に人類が入植してから、150年。それぞれの星では、国が乱立し、当時の統一政府の話を完全に無視していた。そのころ、二つの惑星とも、戦乱の世の中にあり、平和を渇望していた。その時、非軍事惑星に出来た、「ニホン」と言う国に、画期的な憲法が出来た。それが、現在の非軍事惑星の憲法となっている、平和憲法の条文であった。それは、当時、どの惑星のどの国にもなかったものであり、それを以て、ニホンは、この惑星を制したのであった。その条文を要約すると、国家としての武装は永久にせず、さらに、国家の権利としての戦争もしないと言うものだった。その憲法があったからこそ、この国は生き延びれたのかもしれない。当時のこの惑星に存在していた国は、約200。その中で、この憲法を作成した時に同様に軍備の放棄を明記した、憲法を有する国は、8カ国ほどしかなかったが、それでも、根強い平和への渇望等を訴えていくうちに、徐々に増えていっていた。その中心にいたのが、ニホンだった。その国は、気がつけば、宇宙でもトップクラスの経済大国として名を馳せるようになっていた。一方で、軍を持っている国は、非軍事惑星として今は名を馳せているが、当時は、戦争が絶えない国ばかりであった。それを仲裁したのも、ニホンであった。こうして、憲法は、改正され続け、軍を有する国は、この惑星から消え去っていた。元々の軍人は、そのまま創設された、宇宙緊急援助隊に入隊するか、もしくは、軍事惑星の方に行くかと言う2通りしかなかった。


軍事惑星は、そのような動きが一切なく、ただどの国が世界の覇者となるかで騒いでいた。あちこちに新興国が生まれ、滅んでいった。そして、この惑星は、コメルカと言う名前の国が、徐々に世界を制していった。この国は、現在軍事惑星と呼ばれているこの惑星の中で、最も裕福な暮らしをしていた。そして、彼らもまた、世界でトップクラスの経済大国、軍事大国となっていた。しかし、徐々に、戦争が減ると、その分の軍事費をどうするかの議論になってきた。それを防ぐために、さまざまな軍需品を製造し続け、さらに、科学技術と称し、非軍事惑星で製造されているものの粗悪品を製造し始めた。しかしながら、その粗悪品は、使えない事もなく、代品としては素晴らしい耐久性があった。そして、いつの間にか、この二つの惑星の中で、職業の分担が分かれた。軍事惑星は、軍を有し、軍需製品を作り上げ、惑星政府は、軍需産業界を無視できなくなっていた。一方、非軍事惑星は、巨大な財閥がいくつかでき、それらが、惑星政府を牛耳ると言う格好になっていた。


そんな中、非軍事惑星のニホンに、別の宇宙からきたと言う人達が、不時着した。彼らは、最後に発した電信は、

「われわれはこちらの世界を楽しんでいる。ここは「ニホン」と呼ばれる国だそうだ。もしもそちらに戻れたらこの国のことを話そう」

と言う内容だったが、それが届いた保証はなかった。


彼らがこの惑星に持ちこんだ技術の数々は、素晴らしいものばかりであった。向こうの宇宙には、錬金術や魔法が実際に使え、さまざまな事に応用されているらしい。そのような夢話をしている間にも、時は過ぎていった。彼らは、ゆっくりと老衰のために死去し、その情報の第1世代は皆、死に絶えていった。しかし、彼らの情報は、宇宙中に広く知れ渡っており、財閥は、新たにできた、人類統一政府によって徹底的に破壊された。軍事惑星の軍需産業界も同様に処理された。だが、軍事惑星に築かれた、巨大な軍事施設は惑星政府の断固たる反対によって撤去できず、同様に、非軍事惑星に存在している工場群や、会社のグループも、産業界の強い反対を表明され、結局、人類統一政府の破壊は、表面的なもののみに留まった。


彼ら、異界の人達が残した物の中に、宇宙文明の伝説があった。それに言わせると「他世界から来た宇宙文明は、我々の宇宙で散り散りになったが、彼らの一部は、さらに別の空間へ移動し、彼らの力を伝え続けている」と言うものだった。

さらに、彼ら、宇宙文明の技術力は、現存するものもあり、それを手に入れると、さまざまな開発が急激に進むと言うものだった。軍事惑星と非軍事惑星は、先を争ってそれを見つけようとしていたが、彼らは、そもそもの問題に気がついていなかった。気づいている人もいたが、その意見をそれぞれの政府は取り入れようとしなかった。


その文明の捜索を始めてから、約100年経った時、人類統一政府が、最初にその謎の文明の痕跡を発見する。しかし、すぐさま、非軍事惑星の職員が出向し、その発見された謎の中空状のひもらしき物の調査を始めた。そして、結果として、それは、現在発見されていない、未知の製法によって作られた、繊維状の物質だった。その製法を見つけようとしたが、それよりも先に、軍事惑星の方が見つけてしまった。非軍事惑星も遅れて見つけ、それを応用した製品を次々と生み出していった。軍事惑星も非軍事惑星も、その利益で、さまざまな物をさらに生み出していった。そして、時代は、混沌の中に沈んで行く事になった。

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