3/3
静寂
記憶の片隅に
微かに光る星一つ
長い旅路の道を照らした
冷たい眼差しは
薄氷を割りながら進む先へ
白い吐息は夜に融けていく
開けた湖の煌めき
鬱蒼とした森の香り
逃げたくなるような痛みと血の味が
その現実を突きつける
温かな優しさは無い
友の手は届かない
けれど
世界は充ちていた
「誓いの言葉を捧げましょう」
「この世界に尽くしましょう」
静寂の美しさが
死にたくなる程の孤独を愛するなら
まだ
この世界を恨まないで済むから
朝日が昇ったら
あの日の絶望感を秘めたまま
何事も無かったように歩こう
その先にある
静かな世界に帰り着く日まで