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不変と変遷  作者: 運命を定める者
4/4

“調律”

純白の剣を残して誰も居なくなった“この世界”。

そこに、“扉”からひとりの女が現れました。

彼女の首にひっかけられているのは、ヘッドホン。

目を引くのは、ポニーテールにした金色の髪。

金色を宙になびかせながら、彼女は歩きます。

彼女は、“物語”を“調律”していく存在。

【調律師】なのでした。


 ぅオイちょっと待てや!!!!

 え?なに?なに今の地の文!?

 なんでアタシの意識と乖離してんの!?

 ってか色々バラしすぎじゃない?

 いいの?いいのコレ???

                        」


彼女はある場所を目指し歩きます。

“物語”の終着点である、隣国のお城です。

それは、この“世界”にも“調律”を施すため。


 言ってることは正しいけども……

 イチイチ解説されるとこっ恥ずかしいわね。

 そういう絵本的“世界”なのは理解したけど。

                        」


彼女は朽ちた城に入ります。

風化した血が染みついた謁見の間。

その真ん中に、彼女の目当ての者は在りました。


 終いにゃすべての登場人物を啜った【純白の剣】。

 これ以上“この物語”の主人公たる存在も居ない。

 今のは誤字ではないってことよ。

 さて、話じゃあ「呆気なく抜けた」っていうけど、

 どうかな……。

                        」


彼女は剣の柄を握ります。

彼女と登場人物との接触――“調律”のはじまりです。

しかし【純白の剣】には、語らう口も利く耳もついていないのでした。

問答無用で繰り出される怨念があふれ出し――――――

いや、やめましょう。コレではどうしようもない。


 ッはぁ!ビックリしたぁ!!

 まさか攻撃してくるなんて……

 まったく、ちゃんとしてほしいわ……。

 そういうドッキリほんと要らないから!

                       」


驚いて離してしまった手を、今一度【純白の剣】の柄へ伸ばし、握ります。

もうなにも起こりません。呆気なく剣は抜けました。


 ん、ちょっと軽いかな……?

 アタシでも振り回せ……はしないか。

 アタシの役割じゃないしね。


 いい?手当たり次第に怨念撒き散らしちゃダメよ?

 ……これからお誂え向きの相手の所に

 連れてってあげるから。

                        」


それは不変のまま、

振るわれる世界を変遷していきました。

そして、“この物語の世界”からは、

誰も居なくなったのでした。

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