第8話 準備
いやぁ短くてすみません。
「ん………ふぁぁぁ」
朝、窓から差し込む光で俺は目を覚ます。
えっと今の時刻は…げ、9時か。結構寝てしまったなぁ。
両手を上に上げ、体をぐーッと伸ばしながら眠気を飛ばす。
少し腰のあたりが痛い。
まぁ昨日は色々あったからなぁ。ヴァレスとの一件も解決したし、そのあとセシルとお楽しみもしたしね!
おっと。ということは横にはセシルが寝ているということか。
せっかくだし、彼女の寝顔を拝見するとしましょう。
そういえば、世の女性は寝顔を見られることを嫌うらしいが俺はその気持ちがよくわからない。
別に相思相愛なら恥じる必要ないと思うんだよなぁ〜。
だってもっと恥ずかしいことしてるわけだし。
まぁそれとこれとは別、みたいな感じなのかね。
乙女心はわからん。
ま、というわけで俺はセシルの寝顔を見ようとしたわけだが…
「〜〜♪……あ、あれ?」
俺の横にセシルの姿がない。
慌てて部屋の中を見渡すがどこにもセシルの姿がない。
「え?あれ?」
ん?あれ?どういうことだろう…
昨日の出来事が全部夢?
そんなわけないしなぁ〜…
よく見ると俺の荷物が綺麗になくなっている。
………。
うそぉ。まさかセシルさん…俺の荷物持って逃げたりしてませんよね?
なんかの見間違いだな。ははは
そう思ってもう一度見てみるがやっぱり荷物はなかった。
「えぇぇぇぇぇぇ!」
そ、そんな嘘やろ⁉︎急展開すぎませんかね⁉︎
た、たしかに昨日は襲ってしまいましたけれども。彼女の純潔を散らしてしまいましたけれども!
え、でもそのあとこれから頑張ろう!みたいなノリになったくね?
ちょ、こういう展開は求めてないってぇ!冗談だよね?
ひょ、ひょっとしてセシルは俺のこと見限って1人で旅を…⁉︎
最悪の展開が頭に次々と浮かんでくる。
しかし、俺の考えは外れていたらしい。
というのもガチャっと部屋のドアを開けてセシルが入ってきたからだ。
彼女の手には俺の荷物も握られている。
「部屋から変な声が聞こえたような気がしたんですが…ヒロさん何かありましたか?」
「よ、、よかった…セシルおはよう。」
「あ、はい。おはようございます。ヒロさん起きるのが少し遅いですよ?」
「ははは、ちょっとね…はあぁぁぁあよかったぁぁぁぁぁ…」
「?」
とりあえず最悪の展開は回避できたぜ…。
すると当然のごとく俺の中に疑問が生まれてくるわけで…
「ところで、セシルは何をしてたの?」
「もちろん旅の準備ですよ。私は自分の荷物を売ってしまいましたから買い直さないといけなくて…。でもお金がなかったのでヒロさんのカード(ギルドの身分証明書のこと)で、買わしてもらいました。」
「ああ、なるほど。」
そういえば、セシルのカードは今すっからかんだ。
昨日のうちに俺のカードからいくらか渡しておけばよかったな…。
「でもそれだったら俺も起こしてくれたらよかったのに。
それに俺は気にしないけど、人のカードを勝手に使うのは良くないと思うぞ?」
「え?ヒロさんが使ってくれって言ったんですよ?」
「ヘ?」
ん?どゆこと?俺がオッケーを出した?いつ?
「朝6:30ぐらいに私が起きた時ヒロさんにも一応声をかけたんですけど、「まだ眠いから寝る」と言ってなかなか起きてくれなくて…。私が「ヒロさんのカード使わしてもらってもいいですか?」って聞いたら「オッケー」と言いましたよ?」
「………」
うっそぉ。全く記憶に残ってませんが!
俺、朝に弱かったのか…ちょっと気をつけよう…。
「それよりヒロさん。もう起きたんですから支度してください。今日は忙しいですよ!」
「あーうん…はい。」
そう返事をして俺は着替えるためにベッドから出る。
さて、今日も頑張りますか。
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着替えて食堂で軽い朝食を済ませた後、俺たちは鞄屋、靴屋、小道具屋と色々な店を回った。
セシル曰く旅に必要なのはナイフなど汎用性の高いものや、 宿に泊まれなかったときのための寝袋、それから山道でも疲れないための靴、雨風や寒さを凌ぐためのマントだそうだ。
火などは基本その場に落ちている木の枝や葉っぱを使って付けるらしい。
この世界にはまだランプとかないんだなぁ…。
ちなみにこの世界にはきて驚いたこととしては魔法が存在しないところである。
いや、俺の世界も魔法はなかったけどさ。
異世界ならあるかなーって思って期待してたんだけどね。
でも魔法に近いものなら存在していた。
それが神聖術である。
聖職者などが使う、いわば魔法のようなもので、治癒系のみの代物らしい。
つまり聖職者はいわゆるヒーラーだな。
セシルは一応聖職者なので簡単な神聖術が使える。
そのため旅の荷物に治療薬などを持っていかなくていいのは荷物が軽くなるから助かる。
「えーっと…次はヒロさんの服を調達しないといけませんね。」
「服?今持ってる分じゃダメなの?」
「今ヒロさんが持ってる服は旅をするには薄手すぎます。
それだとリュックが肩で擦れたとき炎症になりますよ?」
「へーそうなのか。じゃあ服のチョイスは任せるよ。」
「はい!任せてください。」
意気込んでいるセシルも可愛い。
というか服かぁ。セシルにも何か買ってあげた方がいいのかな?
そう思ってセシルの服装を見る。
今日はシスター服じゃなくて私服だ。
服の色は黒。
セシルは全体的に白いから黒が映えるなぁ。
ん?でもあれ?
「セシルの服ちょっと肌面積少なくなってる…?」
そうなのだ。
なんというかシスター服よりも布面積が広い。
こう、ガードが硬くなっている。
「セシルにも何か服を買おうか?俺はもうちょっと肌とか出してもいいと思うんだけどな。せっかく白くて綺麗な肌なんだし…。」
そう俺は提案してみたが…
「別に大丈夫です。私は今朝色々買いましたし…それに近くにオオカミさんがいますしね。」
セシルがニッコリしながら俺の提案を断る。
うん。セシルの笑顔は基本的に好きだけど、あの笑顔は少し怖いかな。
なんだろう…。遠回しに「お前がいるから着れない」みたいに聞こえる。
「…ひょっとして少し怒ってる?」
「怒ってませんよ?別に。」
あっこれは少し怒ってるやつですね。
昨日のうちに怒りは鎮まったかと思っていたが、そんなことはなかったようだ。
さっきから荷物持ちをさせられてたのもこれで納得がいったぜ。
「…許してくれない?」
「許すも何も私は怒ってませんから」
そう言って少し頬を少し膨らませるセシル。
あっこれは今日1日は許してもらえないかな……。
その日1日、俺はセシルにご機嫌を直してもらうため色々奔走したのだった。
もっとイチャイチャ書きたいな…時間欲しい…