第3話 ギルド
いや、やっとヒロイン登場ですわ。頑張って毎日投稿続けていくぞー
「ムカイ・ヒロ様で間違いございませんか?」
「えぇ。間違いありません。」
俺がそう答えると受付のお姉さんが書類にハンコを押してくれる。
いやー!美人と話すのって素晴らしいね♪
いろいろ元気が出ちゃうぜ。
今俺はおっさんに連れられてギルドに来ている。
なんというか雰囲気とかその他もろもろ完全に市役所って感じだ。
基本的に受付嬢の方々に聞くだけで書類作成とかはやってくれる。
身分証明書とか持ってないけどどうしよう!って思ってたけど、紛失したって言ったら発行してくれたよラッキー
どうやらこの世界ではギルドの発行した身分証明書が世界共通の身分証明書として機能するのだとか。
その分紛失したら悪用されかねないし、いろいろ大変っぽいけど、まぁ俺は元々持ってないから問題ねぇな!
「ヒロ様、ほんとに気をつけてくださいね。これ一枚で銀行からお金をおろすこともできるんですから。」
「あっはい、すいません…」
嘘です。問題しかないです。
ギルド側も証明書の重要性を理解しているから紛失したって言った俺のことをマークしたらしい…あれから結構お小言言われました…(´ω`)
まぁ少しドタバタもしたけど、無事身分証明書も発行してもらえたし、その証明書を使って銀行口座も開設した。
これも話すと長くなるんだが…かいつまんで言うと、俺が「500円を銀行で両替できる?」って聞いたらもう銀行の人たちみんな「500円⁉︎」みたいに驚いちゃって…結果すぐには全額換金出来ないから、銀行に500円を貯金して、そこから金、銀貨あたりにしながら引き下ろしていく運びになった。
まぁこれで俺はこの世界でいろいろ買ったりできるわけだからいいんだけどね。
なんか旧硬貨?は使いづらいなぁと思ったよ。
というか、旧硬貨って呼ばれてるけど、それ絶対俺以外の日本人がこっちの世界に来た時置いてったものじゃん。
俺以外に今この世界に来てる地球人はいるんだろうか…
「これでようやくあんちゃんも生活がたぎるようになったな!じゃあそろそろ…」
「あっおっさん。悪い悪い。今すぐ払うよ。えっと…いくらなんだ?」
「銅貨37枚だな!」
「おっけ。じゃあ今すぐおろすから待っててくれ。」
「おおよ!俺はここら辺で待ってるぜ」
おっさんをその場に戻し、口座から銅貨37枚を下ろす。
「あれ?残高が出ないな…あっそっか。」
俺の口座に金が残りどれだけあるのか表示はされない。
これにはちょっとした理由がある。
500円を完全にこっちの世界で金貨何枚と表すのは難しいらしい。
それは500円がこの世界でいう発掘品のようなもので、国によって価値が異なるのだとか。
まぁ、受付の人からもたっくさんお金がある状態なので、ある程度減ってきたら表示できると言われた。
…残金がわからんとか銀行の意味なくね?と思わなくもないが、文句言っても仕方ないので我慢する。
だって異世界だもの!そういうこともあるんでしょう(思考放棄)
そうこうしていると、銅貨37枚を引き下ろせた。
「ほらよ。おっさん。37枚だ。」
「おぉ!毎度!いやぁーこれでしばらく働かなくてもいいぐらい懐が暖かくなっちまいやがった。なんかまた欲しいものあったら聞いてこいよ?あんちゃんはお得意様だからな!」
「ははは。また機会があったら考えておくよ。じゃあ」
「あんちゃんどこに行くんだい?」
「?」
もうお金も渡したし、これから宿を見つけようと思ってた俺はおっさんに呼び止められた理由がよくわからなかった。
あれ?まだなんかあったっけ。
「あんちゃんが買った店の野菜全部を今から取りにいかねぇのか?」
「……あ」
あっ…そうだ。俺はあの店”全部”の野菜を買ったんだった…
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「はぁぁぁぁぁあ…どうしようこれ…」
俺は自分が借りた宿の一室で、目の前にそびえ立つ大量の野菜の在庫を見ながらため息を漏らす。
あの後、ギルドがお抱えの宿を受付の人から紹介されて宿を確保したのはいいんだが、思わぬ荷物を抱えることになっちまった。
いや、確かにね?全部買うって言ったのは俺だし、その後のこと考えてなかった俺が悪いんだけどさ。
でもここまでとは思ってなかったんだよなぁ。
おっさんの店にあった野菜類は店頭のだけかと思ったけど、裏に在庫がこんなにあるなんて予想もしなかった。
「それに傷みやすい野菜っていうのがなぁ…」
そして俺を悩ませている二つ目の要因。
それはこれが長期保存のきくものでないことだ。
冷蔵庫などの技術が発達してないのか、塩漬けにされてる野菜もあったが、生の方が圧倒的に多かった。
こんな量到底1人じゃ食い切れないし、かといって他の人に売るのも避けたい。
この世界の法律を完全に理解してるわけじゃないけど、確か転売はダメだった気がする。
こっちの世界でも転売ヤーは粉砕される運命のようだ。トホホ…
「しゃーない…ギルドに相談してみるか…」
最悪、ギルドに野菜の処分について依頼するという選択肢がある。
けれど、ギルドに依頼を出すと少なからずお金が発生してしまう。
ギルドとその依頼をこなしてくれる人に対する料金だ。
お金が足りないわけじゃないし、なんなら有り余ってるぐらいだけど、出来る限り節約をしていきたい。
というのも…
「うーん…世界一周の旅ってどのくらい金かかるんだろ…」
そう、俺はこの世界で世界一周の旅をすることに決めたのだ。
異世界に来て、金銭的事情が解決してるなら働かなくていいってことだ。
だったら1つの場所でダラダラ過ごすんじゃなくてもっと楽しいことを探しに行きたい。
それに地球にいた頃は学校と家の往復しかいなかったし、夏休みに遠出なんてしたこともなかった。
それに…あわよくば女の子とお近づきになりたい。
そう!同世代の女子とキャッキャウフフな異世界ライフ!
漫画とかアニメの定番!
俺はこれを実現したいのである。
金に物言わせたら近づいてくる人もたくさんいるだろうけど、俺が欲しいのはそんなのじゃない。
一緒に旅をしてくれるパートナーである。
そのまま旅の最中、2人に恋が芽生えそして…
「そして、ぐへへへへ……おっといけないいけない。それよりまず目先の問題を解決しないと。」
とりあえずギルドの受付にでも行って色々聞いてみるしかないか。
身支度を整えて部屋を出る。
「ん?なんだ?」
ギルドに向かうため宿を出た俺は、通りに人が集まっていることを気づいた。
なんかやってるのか?
そう思っていると近くにいた男たちの声が聞こえてくる。
「おい聞いたか?あのセシルちゃんが来てるんだってよ。」
「マジか。だったら俺を見ないかねぇと」
どうやら誰かが来てるらしい。
時間はまだあるし、ちょっと俺も覗いてみるか。
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「皆さん一列に並んでください!」
人ごみをかき分けて声のする方を覗いてみると、シスター服をきた少女が子供たちに炊き出しをしていた。
まず目が言ったのはその少女だ。
女の子とも女性とも言えない少女と呼ぶのがふさわしい容姿。
大体中〜高校生くらいか?
髪はショートカットで、肌は白く、顔もかなり整っている。
そして控えめなシスター服に身を包み、明るく振る舞う彼女は大変可愛らしい。
というか、マジ俺のドストライクです。
え?やば。マジで好み
おっといけないいけない。
彼女にするなら年下がいいとは思っていたが、流石にジロジロみすぎるのは不躾だろう。
でもどーしよう恋したかも…
次に目が行ったのは子供たち。
身なりはお世辞にも綺麗とは言えない。
なるほど。恵まれない子供たちに恵んであげてるのか。
「大丈夫ですよ!量はありますから!急がずに並んでください!」
少女が声を大にして呼びかける。
うーん…たしかに絵になるけどなぜここまで人が集まるんだろうか。
不思議に思っていると近くの奥様方の会話が耳に入ってきた。
「セシルちゃんすごいわよねぇ…1人で旅しながらその地域の子供たちにああしてあげてるんでしょう?信じられないわぁ」
「あたしがあれくらいの時なんて親の仕事手伝ってただけよ?1人で生きていくなんて…すごいわねぇ。」
なるほどね。
どうやら1人で世界を回りながらああやって慈善活動してるのか。
しかもそれが美少女ときたらそりゃ話題にもなる。
というか、彼女も旅してるのか。
色々話したりしたいけど…
「まぁ、まずはギルド行ってからだよな。忙しそうだし。」
俺はその場を後にした。
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「はぁぁぁぁぁあ。やっぱ無理かぁ…」
今俺は宿へと帰路についていた。
あの後ギルドにいって受付で色々聞いたのだが、生の野菜を大量に処理するとなると廃棄処分しかないとのことだ。
しかもその廃棄処分が結構な額で…払えなくないんだけどもっといい活用方法はないのか考えるためにひとまず保留にしてきた。
それにやっぱり日本人としては食べ物をそのまま捨てるのは大変勿体無いと思ってしまう。
何かいい処理方法は…
「おい貴様ぁ!どうしてくれるんだ!」
先程炊き出ししていたあたりを横切ろうとした時、男の怒鳴り声が響いた。
見物人がわらわらと集まっている。
なんだ?厄介ごとか?俺は厄介ごとはごめんなんだが…
ふとさっきの少女の顔が頭に浮かんだ。
なんか気になるな…
そう思って俺も興味本位で覗いてみる。
するとえらく身なりの整ったデブな男が、炊き出しに集まっていたひとりの子供に怒鳴り散らしているようだ。
その子はひたすら顔を青くさせて謝罪をしているが、デブは許す気がないらしい。
要するにあの男に子供が何かしてしまった感じか?
もうちょっと近くに行かないと声が聞き取れないな。
そう感じてもっと現場の近くに行ってみる。
そうするとようやく声が聞こえてきた。
「このクソガキが!この服はなぁ!テメェなんぞが到底払える額じゃねぇんだ!」
「ご、ごめんなさい。すいません許してください!」
「許せだぁ?許せるわけないだろうが!払えねぇやつはなぁ、体を切り開いて中身売るしかないんだよ!お前みた感じ痩せ細ってるから目玉とかが売れそうだな。」
「い、いやぁ!そんなのはいやぁ!いやぁ!!!!!!」
デブが手を振り上げる。
しかし周りは誰も止めに入らない。
なるほど。あのデブはそれだけ偉い奴ってことか。
「待ってください!何事ですか!」
デブが子供に手を出す寸前、静止の声がかかる。
あれ?この声は…
俺も周りも声のする方に振り向くと、セシルと呼ばれていた少女が立っていた。
そろそろ個人的なヒロインと主人公の絡みとか書きたい(´ω`)
イチャイチャ書きテェ…