気付けば12回目
意識が急に覚醒した。
まばたきをせわしなくしたあと、急いで自分の胸周りを触る。
良かった、痛みも無いし穴も開いてないし身体に不調も感じない。
あぁ、何だ、、、夢かぁ。
はぁーっと大きな溜め息をつくと苦笑いを浮かべた。
嫌な汗をかいたみたいで服が体に引っ付いてきて、それをうっとおしそうにパタパタさせながら、やれやれとベットから下りると、そこでようやく周りを見た。見てしまった。
異様に広い部屋。
自分が今座っていたベットも記憶より異常に大きすぎる事に頬が引きつる。
嫌な汗に体が冷えていくのを感じる。
ココは何処だ?
人生、11回目。
今まで同じ事を繰り返してきたから分かる。
これは、つまり、、、。
わたしは死んだのか、、、?
「ソフィ、大丈夫かっ!!!」
呆然とただずんでいると勢いよく扉が開いた。
現れたのは紺色の髪の少年だった。
心配そうな顔をして近付くと私と目線を合わせるように膝をついた。
あぁ、今回はこんなに小さい子供からスタートなんだな。
「ソフィ、良かった。気が付いたんだね!頭を強く打ったみたいだけど大丈夫かい?痛くないかい?」
後頭部を優しく擦りながら覗き込んでくる紺色の瞳は心底私を心配しているようで、少し潤んでいた。
「だ、、っつ!」
誰?と聞こうとして急な頭痛に顔を歪める。
そして今の記憶がぶつかるように私の頭の中に流れてきた。
あぁ、良かった。
今回は村人Aじゃなくて、町人Aになったみたいだ。
やったー、昇格したよー。
はははははー。
そのまま私は気を失った。
「って、結局Aなのは変わらないんかーい!!!」
がばりと叫びながら起き上がると、外は晴れ渡るような青空で鳥のさえずりがした。
「あれ?」
そこはやはり目覚めた時と同じ場所で、広い部屋に薄い桃色を基調とした可愛らしい部屋が広がっていた。
母と父にお願いして買ってもらったカーテンはレースが付いていて、特にお気に入りだった。
あぁ、わたし転生したんだね。
やっぱり、あの時、死んだのか。私は。
そっと胸に手を当てる。あの時、ハッキリとは見えなかった黒い人影。