表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘れられたジニア  作者: ゆうま
8/30

1-6

「やっとアタシの番ね。アタシはペンギンの第1回戦、投票ルームに行ったわ」


意気揚々と語るのは良いけど、ちゃんと「そこだけ」って言ってくれないと

言うだけだからなんとでもなるよ

でも嘘を言うのと言わなかっただけなのとは違うから


「蝶、行ったのはそこだけ?」


針鼠の冷たい声が空気を割いた


「そうね、言うのを忘れていたわ。揚げ足を取るのが本当に上手ね」


「時間がないからはっきり言って」


「そこしか行ってないわ。共有するわよ」


N『第1回戦だと悟った[スケボー]に救われる』

SSR『人狼だと思わしき人物が用心棒だと思われるように誘導するが翌日生き残っていることで人狼だと暴き、村人側を勝利へと導く』


「…だけぇ?」


「あれだけ意気揚々としていたのは、一体なんだったのでしょう?」


「自分の番でウキウキしてただけだろ、次最後俺言うぞ」


それで全員納得出来るところがすごい

そして蝶はなにも言わないんだ


「俺が行ったのは針鼠の第1回戦、最後の部屋だけだ」


「ボク?」


「俺はペンギンに味方だと思われていない。ウサギに気に入られてもいない。読めない相手の把握をしたいと思うのは当然だ」


「うーん、まぁ分かるかなぁ」


「俺が入手したのは映像と写真だ。まずSSRの写真を共有する」


小柄な青年が主催者側の人間に向かって銃を向けている

これを先に見たら「魔女」だと騒ぎになってもおかしくなかった


「SRとURの映像を続けて共有するぞ」


写真の青年と同一人物が銃に向かって歩いて行く


数秒の間

多分SRはこれだけなんだろう


URの映像はウサギのものと大差なかった

スケボーが言ったように、素人でも別の銃で撃たれたと分かる

ただ、意外なことがある


ウサギは他人事のように駆け寄っただけなのに対して、針鼠は必死に止血しようとしている

誰かになにかを言っているのか、天井の方を見て必死に訴えている


「正直意外だった。さっき言ったことも嘘ではないが、撃っていてもおかしくないと思って行ったのにこんなものを見せられるとはな」


「ボクは義理堅いんだよ。あのゲームマスターが作る料理は美味しかったからねぇ。それに、リクエストにも応えてくれた」


「最後の晩餐になるかもしれないもんな」


「違うよ。キミ本当に先生なの?」


「どういう意味だ」


「殺された子の分も食事を用意してほしいって言ったら用意してくれた。食材を無駄にしないように一口サイズにして、あとで自分が食べてたんだ。素敵なゲームマスターでしょ」


「こんなことに協力している時点で素敵だとは思えないがな」


「ボクはここにいるしかない、そうするしかない理由があると思ってるよ。少し立場が違うだけで、ボクらと同じだよ」


「私もそう思います。私が参加したそのゲームのゲームマスターも、素敵な方でした」


「思えばそうだな…。あんなことをさせていたのに、特別嫌悪感を抱くことはなかった」


犬もゲームマスターを撃たず、撃たれたゲームマスターを心配したのだろう

…だろう?

犬のその映像はウサギが持っているはず

それなのに私たちはそれを見ていない


思えば、ウサギが共有したのは自分のその映像だけ

犬だけでなくウサギ自身の他のものを共有していない


「そういえばなんですけど、ウサギって自分のURを共有しただけで他になにも共有してないですよね」


「そういえばそうだ。俺の最後の部屋の「記憶の欠片」はN以外持ってると言ってたな」


「話しが流れてしまってどのタイミングで言おうか迷っていたんです。気付いて戻してくれて良かったです。ありがとうございます。では共有しますね」


いや…これはあわよくばそのまま進もうとしていた

なにか都合の悪いことでもあるのだろうか


ウサギ-最後の部屋

R『部屋には一丁の銃があった』

犬-最後の部屋

R『部屋には一丁の銃があった』


「自分の最後の部屋についてもNは持っていないんです。それからSSRの写真は――」


画面が切り替わる


「見てもらって分かるように針鼠のものと大差ありません。これから双方のSRを見てもらいますが、これも針鼠とほぼ同じです」


流れた映像は確かにただ銃に向かって歩いている短い映像で、特に変わったところはなかった

それならどうして…

私が感じたことが間違いだったのだろうか


「犬のURですが、少し特殊で音声のみです」


大きな声で「ふざけるな!」と聞こえた直後銃声が響く


「…私と針鼠のURを見た後でもこれだけで犬が「魔女」だと言えますか」


ウサギは全員が冷静に判断出来るときを待っていた…?

もしウサギが「魔女」ならそんなことをする必要はない

でも、それが狙いなら?


もう…本当に、なにを信じて良いのか…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ