3-10
「僕は今みんなが嫌いなリア充になった。感想はあるかな」
「爆発しろ!」
「裏切者ー!」
大きな声で言い放つと去って行く
「馬鹿だなぁ、もっちーはなにも変わらないのに。放っておけないから行くよ。あいくんはもっちーの話し聞いてあげてよ」
「ああ、頼んだ」
「ごめんね、金井さん。良かったらまた」
「はい」
友達を見送ると残ったひとりの友達は戸羽さんの隣にどかりと座る
―――――
タイトルの確認をする ←選択
戸羽の友人と話す
―――――
戸羽さんにタイトルを問われたとき、妙にドキリとした
どうして私は今までタイトルを気にしなかったのだろう
今着ているパーカーのポケットに手紙を押し込んだはず
もちろん普段は着ない
けれど、戸羽さんに会いに行くのにはこの服が良いと思った
あなたの参加した第5回戦のタイトルは『トルコキキョウを枯らさないで』
第6回戦のタイトルは『忘れられたジニア』…
どうして言われるまで忘れていたんだろう
自分が生き残ることだけを考えていたからあんな結果になってしまったんだ
希望と友を忘れなければ、気付けたはず
それなのに忘れてしまったから…
私はなんて愚かなんだろう
「きっと貴方に妙な手紙が届くと思います。そうしたら私に知らせて下さい」
手帳の切れ端に自分の携帯番号を書くと机の上をスライドさせた
「おいおい、どうなってんだお前の彼女」
「そうだね、頭がおかしいんじゃないかな」
「それは言い過ぎだろ」
「キミは見ず知らずの人間のために再びあそこへ行こうと言うのかな」
目を見ることが苦手な2人の視線がぶつかり合う
「…そういうことか。それなら心配ない、知っている。なるほどな、報酬で新しい人生でも手に入れたのか」
「行ったことがあるなら、きっともう来ないね。安心したよ」
「いいや、俺は相方を選べるゲームで相方に選ばれただけで自分が参加したわけじゃない。だから全体のことは概要くらいしか知らない」
そのゲームはきっと第2回戦以降
だから一度勝てば帰れるわけじゃないことを、報酬のことを知っている
相方は慎重に選ばれたことだろう
「人を殺して普通に生きていけるなんて藍郷くんも良い性格をしているね」
「そうだな。でもお前らはその口ぶりからして自分が参加したんだろ。生きて帰るなんて大したもんだな。それにこの年齢だ、ゲームをクリアしてすぐに帰って来たんだろ」
参加者としてゲームをクリアしてもゲームマスターをやらなければいけないことも分かっている
たった一度のゲームでそこまで理解出来るものなのだろうか
「やっぱりゲームマスターは過去に参加者だった人なんだね」
「知らなかったのか」
「なんとなく想像はしていたよ。あのとき選択を間違えれば僕はゲームマスターをしていると思う」
「詳しく聞かせてくれ。参考にする」
「もう意味がないよ。僕らがいた会場はなくなったからね。同じルールで再度会場が建てられるとは思えない」
「金井さんはどう思う」
「私も同意見です。と…別れたあと、私が参加したゲームはひとりひとつの個室に入ってゲーム画面越しに行うものでした。恐らく遠隔で行われたのだと思います」
ゲーム自体は予めあったものではあると思う
だけどヴォイスチェンジャーで声を加工した理由は遠隔で行うことを想定していなかったため
通信量を減らすために、声という情報の量を減らした結果というわけ
だから別にヴォイスチェンジャーを使っていたわけではない
それが私の結論
「そうか…。じゃあゲームマスターをしてからしか帰れないかもしれないな」
「寂しいな。「僕自身」の友達は藍郷くんだけだったから」
「あいつらは「綾辻信元」の友達だってか」
「そうだよ」
「じゃあ寂しくないだろ。友達がいるんだから。それに、金井さんも」
「でも私が来なければきっと、藍郷さんに招待状は届きません」
「結果論だ。コイツは危なっかしいからな、ちゃんと見ててやれよ」
「はい」
***
「所持金3,500万円!悪のキューピットに導かれた男の運命やいかに?!藍郷優!」
本当に届くとはな…
だが俺は勝つ
勝って、出来ればやりたくはないがゲームマスターを終え、帰る
時間がかかるのだろう
それでも俺は友達だと言ってくれた「戸羽」を忘れず、希望を捨てず、歩いて行く
悲観的になり絶望することもあるのだろう
だが、俺は相方を俺に選んだアイツのように愚かなことはしない
例えゲームマスターをすることになっても、同情なんてするなよ
このシリーズを「紅茶屋デスゲーム」としましたが、となると主人公はウサギこと金井茉莉になります。しかし金井はタイトルの意味を最後まで理解することが出来ませんでした。そして無自覚に理解しているのが最後の最後に登場した藍郷優。
視点も選択肢が現れる者もバラバラなこの物語の主人公は誰だったのでしょうか。




