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「では[ウサギ]とわたくしが[海月]に、[犬]と[針鼠]が[海豚]に100%投票ということでよろしいのですわよね?」
「ああ、そうだな」
「そうだねぇ」
「投票の前に2つ良いですか」
あ…火が…!
…あれ?
ない
…なんだか一瞬で長い時間の悪夢を見たような
「ウサギ?どうした」
「あ、いえ…なんでもありません」
―――――
当初の予定通り話しを進める
行き先についてのみ尋ねる ←選択
―――――
よく分からないけれど、嫌な予感がする
予定を変更しよう
「犬と針鼠はどこかへ行きましたか?海月は行っていなさそうですが、念のため確認させて下さい」
「行っていない」
「ボクも。必要ないからねぇ」
「同じ」
なんだろう、聞いたことがある気がする
不思議というより、不気味な感覚
「それで、2つ目はなんだ」
「これも似たようなものです。私はペンギンの言葉を確かめるために、自分の第4回戦へ行きました。言った通り「記憶の欠片」はひとつもありませんでした。という報告です」
「そうか」
不気味な感覚で心がざわつく
早く、早く、次へ
「投票に移りましょうか」
『全員の投票が終了いたしました。結果を発表いたします』
2人はきっと互いに投票する
そして、それを3人は驚く
『[海月]、[海豚]300%。「魔女」は[海月]、[海豚]の2名です』
炎が迫る音がする
2人は声を上げない
蝶と3人のときにはなかった焦燥感が私を支配する
火が迫って来る感覚がする
「ウサギかなぁ?なんか息が荒いんじゃない?大丈夫?」
「はい…、大丈夫、です」
「またお前はそうやって…!誰だってな、勝手に動けないんだよ。少なくともお前が自分で助けを求めなくちゃ、なにも出来ないんだよ」
そっか…
この先生なら説得は出来なくても、家まで来てくれるんじゃないかって思っていた
でもそれは現実にならなかった
だけど、そういうことだったんだ
「思い出したんです。母に、こうされたときのことを」
「こうって…」
「駆け付けて助けてくれた方のおかげで足に軽い火傷を負う程度で済みました。だから大丈夫です。大丈夫でいたいんです」
「どうしてだ。言い聞かせているということは間違っていると分かっているはずだ」
「愛って親から学ぶじゃないですか。あれが愛じゃないなら、私の「好き」はなんなんでしょう」
あやちゃんに殺されたい
この気持ちはどうなってしまうの
「脳筋だからな、気の利いたことが言えなくて悪い」
「流石体育教師」
「ウサギは案外犬のことを教師として気に入って、期待してたんだねぇ」
「そうですね。気に入っていたかは分かりませんが、期待はしていました」
「そうか、ありがとう。ここから出たら必ずお前のお母さんと話しをしよう」
「はい、ありがとうございます」
でも、この約束は果たされない
貴方がここから出ることはない
仮に出られたら、私がいないから話す必要がない
ここから私が出たら私を邪魔するものはなにもない
お母さんはいないの
いらないの
「なにを考えているか分からないとお前を嫌煙する駄目な教師ばかりだった。俺は向き合っているつもりで、そんな自分に酔っていただけなのかもしれないな」
「それでも先生が見ていたものは幻でも幻影でもなく、「私自身」です」
「ふっ、ありが――」
音声が途切れた
処刑は終わったらしい
また捜査の時間だ
でも、私には今回もなにもすることはない
それは全員同じで、すぐに話し合いパートが始まった
「終わらないな…」
「ウサギ以外はどのゲームでも「魔女」じゃないってことがはっきりしてるよねぇ」
「考えたんですけど…ゲームの終了をゲームマスターが知らせるとは書いてありませんでしたよね…」
「でしたら、どうすれば終わると言うのですか」
「全員誰にも投票しない…なんて、どうですか?それが「魔女」はもういないという意思表示になるのでは…と」
実際、それで終わる確証はない
自信なさ気に言おうとは思っていたけれど、あの悪夢のおかげでいつもの様に振る舞う元気はない
勝手に自信なさ気に聞こえているだろう
「確かにあり得ますわね」
「そうだな」
「なんの損害もないんだし、一度試してみるには良い案だね。でも…」
やっぱり針鼠は気付くか
「いや、なんでもないよ」
「なんだ?時間は沢山ある。気になることがあるなら言えよ」
そう、言わないメリットはない
…いや、針鼠は帰れないから死にたいんだ
犬とリボンを巻き込むことに躊躇いがあって言おうとしたが、なんらかの理由で止めた
それなら辻褄が合う
針鼠がゆっくりと息を吸う音がする
一体これからなにが始まるのか、私には全く分からなかった




