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忘れられたジニア  作者: ゆうま
19/30

2-10

「とにかく2人は第2回戦の会場全てに行くことが必要になったってことだ。良いな」


「ふふ」


「うん」


要領を得ないという[スケボー]の意見には賛成ですわ

しかしわざわざ忠告する必要がどこにあったのでしょう

このままなら[ペンギン][ホルン][スケボー]を処刑することは決まっているようなもの

――ああ、それでもゲームが続くと思っているのですわね


この「魔女裁判」は役割が与えられているわけではありません

だから「魔女」は「魔女」だと自覚しないままゲームが進行してゆく場合もある

最初にそんな話しをしましたわ


あくまでご自分たちは「魔女」ではないと思っている

しかし、勝てる材料がない

故に以降のアドバイスをしている


愚かな人ですわね


「リボン、海月、海豚、犬、針鼠、お願いがあります」


今度はなんでしょう


「このままでは今日私は処刑されてしまいます」


何故

一瞬そう言いかけて、すぐに理解しましたわ


3人が%を倍にするオプションを使って100%を投じた場合600%になる

仮に全員が100%をひとりに投じたとしても同率で処刑されることになってしまいますわね


「でも無理じゃないかなぁ。お願いを聞く義理なんてないし、誰から殺すかなんて相談したくないよ。ねぇ?」


「それは聞いてからにしてもらえませんか」


「…いいよ」


「聞く」


「ありがとうございます。では」


わざとらしく咳払いをする


「皆さんにしていただきたいことは、3人が100%×2をひとりに投票、ひとりが100%をひとりに投票、ひとりが50%×2を2人に投票、です」


「確かにそれで下位5人からの票は同じになる。だが、それで――」


「分かった。わたし、50%やって良い」


「私もやる。余裕ない、針鼠。オプションなし、それで良い。思う」


「勝手にやる方向になってるねぇ。一応ボクはペンギンの味方をしてるんだけどなぁ」


ため息を吐く

それは妙に明るい色の様に思えましたわ


「でも仕方がないよね。ここでウサギに賛同しないことがなにを意味するか分かるでしょ?」


「はい。でもウサギ、良いんですか?」


「――そうですね。その通りです。でも、私と財力で勝負しようって言うんですか?」


重力が重くなる様な感覚


「そこは駆け引きです。私たちをなめてかかって死ぬのは貴方かもしれません」


「もっと出す?」


「いいえ、均衡が崩れるのは困ります。みなさんは今決定したこと以外はしないで下さい」


完全に主導権を握られましたわね

3人が「魔女」だったとして、ゲームがそれでも終わらなかった場合…

このゲームはこれから[ウサギ]の思うがままに動かせますわ


それと、気になるのは[海月]と[海豚]が妙に協力的な理由ですわね

今回だけなら良いですが、以降もこうとなれば話しが違ってきますわ

それに[海豚]は所持金に余裕があるようですし、危険ですわ


「ボクはペンギンに入れるよ。あとは上からで良いんじゃないかな」


「一体どういう神経をしていますの」


「裏切りは残酷なんだ。だからこそ、最高なまでに残酷に裏切るんだよ」


「ふふ、素敵」


――分かりましたわ

2人が特別[ウサギ]の味方をするのは今回だけ

「大切な人」か「嫌いな人」に重なる

だから殺すのですわ


次々と投票をしたことを知らせるマークが表示される

わたくしも投票しなくては

2人の行動原理のようなものが分かった以上、もう迷う必要なんてありませんわ


『全員の投票が終了いたしました。結果を発表いたします』


一体どうなるのでしょう


『[ペンギン]、[ホルン]、[スケボー]828%、[ウサギ]600%。「魔女」は[ペンギン]、[ホルン]、[スケボー]の3名です』


――そういうことですのね

倍にするオプションを使用するのに回数制限はありません

恐らく[ウサギ]は3人それぞれに33%を投じ、それに自票を2倍にするオプションを4回使用

惜しみなく使いますわね…


「もう少し散財してくれても良かったんだぞ」


「馬鹿を言わないで下さい」


「カウンターパンチ、しっかり決まったね」


「きつい一発になりそうです」


「ペンギン、キミが好きな人とウサギは似てるのかもしれない。でもそれは表面上だけで、きっと本質的にはなにも似てないんだろうね」


「そうだと良いです」


「戸羽さんは私と似ている自覚があったみたいですよ。ただの願望ですね、お疲れ様です」


「こんな人と少しでも似てるなんて思いたくないなぁ」


「そうですね。とにかく、裏切ったからには勝って下さいね」


ペンギンの声が辛そうなのが分かる

恐らく2人も非常に辛い状態のはずですわ

でも声ひとつあげない

最後の意地…なのでしょうか


「善処するよ」


「はい」


それを最後に誰の声も聞こえなくなった


なにかを知らせる通知音が鳴る


[ペンギン]より譲渡されました

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