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忘れられたジニア  作者: ゆうま
17/30

2-8

「実は――過去とても尊敬していた方は第3回戦で一緒になったわけではなく、第2回戦のゲームマスターだったんです」


全員の息を飲む音が聞こえる

ウサギは無視して少し弾んだ声で続ける


「彼に影響を与えられ、与えたことは多いと思います。ゲームマスターであった彼と言動が似ていることはなんの不思議でもありません」


理解が追い付かない

でもなにか言わないと


「私、そのゲームマスターに会ったことない。でも似てると思った。だから関係ない」


「美しい物語にしようと思ったんですけど、仕方がないですね」


小さくため息を吐く


「ゲームマスターは全員よく似た言動をすると思います。それはある程度の台本があって、正解を導く必要があるからです。つまり没個性というわけですね。似た言動をすることなんて簡単ですよ」


「意味、ない」


「それはどうでしょうか。残り時間に気を付けて発言していますか?」


思わずハッとした

残り時間はあと3分


さっきのゲームの時点でこのゲームのこと

少しも分かってなかった


制限時間があること、考えて…

いくらなんでも先のことを考え過ぎ

これに制限時間がなければ、こう言う


貴方に意味がなくても私にはあるんです

勝手に価値を決めないで下さい


…なんて人


「…分かった。一先ずホルンとスケボーの共有が先」


「自分は良いんですか?」


「…忘れてただけ。突っかからない」


「じゃあ俺から言うぞ。俺は海豚の第1回戦会議室AとB2つの会場に行った」


「わたし…?」


「お前等2人は滅多に話さないし伝わってくる雰囲気が…不思議?だからはっきりさせたかったんだ」


「ふーん?」


「会議室Aにした理由はウサギの第1回戦に行ったときAだったから海豚はAで指名があったのかと思った。だが、指名は行われていなかった」


「どうして会議室Bに行こうと思った」


「全員思っていることだろうが、2人はゲームが始まる前からの深い付き合いだと思う。もしかして第1回戦から同じなんじゃないか。だとしたら指名があったのは会議室B。視点が同じ方が良いと思ったから海豚で行った」


N『この部屋が使用されたのは二度のみ』

SSR『[海豚]は[海月]ぶハニートラップを仕掛けるように言う』


「URは音声だけだ。Rは分からないが、SRはなかった」


『本当は[海豚]の本名知ってる。でも怖い』

『死んだら終わりなんだからなにも怖くなんてないさ。殺したいなら殺せば良い。ホラー映画じゃあるまいし、怨霊になって出て来たりしないさ』

『そうじゃない』

『じゃあなにが怖いのさ』

『殺したら嫌いになる?』

『俺が?まさか』

『じゃあ好き?』

『興味ないね』

『[海豚]の方が好きな人、みんなそう言う』

『例えそうだとして、殺して俺が振り向くとでも?』

『思う。…代わりには丁度良い』

『そうかもね。でも俺は代わりを探していない。だけどそうだな…海月が殺すのが怖いって言うなら俺が殺しても良い。だけど条件がある』

『なに』

『きみの名前も教えて』

『うん、恋人なのにこんな呼び方変。あなたの名前は』

『楽しみはあとに取っておいて方が良い。その方が生きる力みたいなのが湧くと思わない?』

『恋人の名前も分からない世界なんていらない。…全員、殺しに行く』

『え?』

『本気。今から。そのあとあなたも殺すから安心して。この世界で2人になってから、ゆっくり…』

『わ、分かったよ。教えるから』

『…嬉しい』


「…ざ、斬新なハニートラップだね」


気を遣われた

それは分かった

でも分からない


「そうなの?」


「うちは「普通じゃない」。「みんな」言うから、そうかも」


「成功したなら、なんでも良いんじゃないか。「普通じゃない方法で成功したから駄目だ」なんてのは敗者の言い訳だ」


「パパと同じ」


「ママも好き」


「意味が分からないが、分かるように言ってもらわなくても良い。方法が間違いだと思わないだけで、好きだとは思わないからな」


…それも、パパと同じ

ママも好き


でもパパはママが大好き

なにが違う


「…そう」


「残念」


「時間がない、会議室Bの共有をするぞ」


本当にそれだけ?

この気持ちが少しでも伝わってる

それが急いでる理由でしょう?


スケボーは本当はパパ

私たちに気付いて庇ってくれてる

そうだよね?


ここは不思議な世界

なにが起こっても不思議じゃない

殺したパパがいたって不思議じゃないよ

驚かない

だから本当のことを言って?


あいしてるの、パパ

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