2-7
「嫌…!止めて…!」
あーちゃんの声で思考から現実へ戻る
画面に映るのは大きく開かれた窓から見える晴天
窓はとても大きい
床まで開いてる
一歩踏み出せば落下しそうな場所に立つ女の子
命綱なしでバンジージャンプを――した
ドクンと心臓が大きな音をたてて鼓動するのを感じる
あーちゃんほどではない
でも私も高いところは苦手
嫌い
嫌
「他の共有はしないのか」
「自分の無実が証明出来れば十分のはすだ。全てを共有する必要はない」
「それじゃぁ、「魔女」じゃないって分かったとしても自分に都合が悪いことなんだねぇ」
「そう言っているようなものだな。だからなんだったかは言う。信じても信じなくても良い」
会話を音として認識してはいる
でも言葉としての認識が遅れてる
「所持金と参加、生き残りの人数についてだ」
「ウサギみたいに多いのかなぁ?それとも少ないのかなぁ?」
「答える必要はない。俺が全てのゲームで「魔女」となる要素がないと分かっただろう。それになにか異議がある者はいるか」
誰もなにも言わない
あーちゃんの声が聞こえない
大丈夫なの
今すぐ傍に行きたい
「いないようですね。次は私が言っても良いですか」
ウサギが積極的に動く…
嫌な予感
「私はホルンとスケボーの第3回戦、投票部屋へ行きました。今回も2ヶ所です」
「どうして同じ場所をわざわざ訪れた」
「実は私…蝶から譲渡されたものがあるんです。それが本物か確かめたくて、まずホルンの方へ行きました」
「蝶から譲渡って…ペンギンの投票部屋の「記憶の欠片」ってことだよね」
「はい、蝶が共有しなかった理由は分かりません。温めておくつもりたっだのかもしれません。もう聞く相手もいませんから、共有します」
投票部屋の一角に小さなガラス張りの部屋がある
不自然なところ
部屋の外に鍵があること
そこに無理に入れられた人物
鍵をかけられ、部屋の傍にあるボタンが押される
毒々しい色の煙が充満する
苦しそう
「鍵を閉めたのは、ボタンを押したのは、誰でしたか?」
「まさか、だから俺が「魔女」だって言うんじゃないだろうな」
「その通りです」
「ふざけるな!だったらこのゲームに参加してるヤツ全員「魔女」だろうが!」
「凶器に全く触れてない者「魔女」違う。それに賛同…反対意見、なかった。だから犬「魔女」違う。なら、スケボーは?…合ってる?」
「はい。2人の処刑の際の「記憶の欠片」も共有します」
票を集めた女の子をホルンが必死に庇ってる
それでも女の子になにかを言われて諦める
優しくキスをして、鍵をかけて、ボタンを押す
「ま、待って…」
ペンギンの震える声が証明してる
この子も鍵をかけ、ボタンを押したことがある
「待てません」
ペンギンの胸ぐらを掴む参加者をスケボーが引き剥がし、ガラス張りの部屋へ押し込む
出て行こうとする参加者をホルンが蹴り飛ばしてバランスを崩した隙にペンギンが鍵をかけ、ボタンを押した
「つまり、3人は「魔女」です」
「そんなことで「魔女」にされてたまるか!」
「死ぬと分かっていて食事をしたことは自分を殺す行為――でしたか」
「そ、それは…でもルールなんだから仕方がないじゃないですか」
「他のゲームのルールなんて知りませんよ」
「…今正しいこと。今行われてるゲーム。それなら「魔女」の可能性、高い」
「そういうことです」
「待て、このまま自分の第4回戦のことを有耶無耶にする気か?」
「自分の潔白を証明することを諦めて他人に擦り付けようというわけですね。良い性格です」
ウサギが薄気味悪い笑みを浮かべるのを想像してしまう
今までどんなときでも声が平坦だったように、きっとどんなときでも無表情だろうに
「…ひとつ、気になる」
誰からの返事もない
発言を続けることにする
「ウサギ、発言がゲームマスターと似てる。このゲームの狂人?」
「スパイのような存在ではないか、という意味ですね」
「そう」
「確かにいれば面白いかもしれません。でも違います。証明する方法はありませんが。でも良い着眼点ですね」
嬉しそう…?
意味が分からない
「実は――」
全員の息を飲む音が聞こえる
緊張しているのが伝わる
それを分かっているはずなのに、ウサギの声は少し弾んでいる
ウサギはまともな人じゃない
この際「魔女」かどうかなんて関係ない
消しておくべき
「過去とても尊敬していた方は第3回戦で一緒になったわけではなく、第2回戦のゲームマスターだったんです」
――え?




