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「もう1ヶ所行ったところの共有をしても良いですか」
「3ヶ所行ったのか」
「はい、余程行ってほしかったらしく、値引きしてくれたんです。どうしてでしょうか」
何故か[ペンギン]が嫌な笑みを浮かべている様子がありありと浮かぶ
[ペンギン]の姿はあの荒い映像ですら見たことがないはずなのに、はっきりと笑みを浮かべている顔が思い浮かべられる
いけませんわ
今は目の前のことに集中しなくては
「リボンの第2回戦、会場2に行きました」
N『[リボン]は勝負を挑まれた』
R『[リボン]は勝負に勝ち、相手は所持金がマイナスになった』
SR『相手は毒殺された』
「SSRはありませんでした。URは音声です」
『お守りなど握りしめていてもなにも変わりませんよ。さぁ、早く――様も参加して下さい。飲ませるのは私の役割ですが、皆様にも是非参加していただきたいのです。……そうですか。時間も惜しいですし、もう良いです。そこで見学していて下さい』
「第2回戦でリボンが「魔女」になる要素がないとはっきりしました」
「それはそうですが…」
ゲームマスターは何故わたくしの…?
「行った順番はウサギの第4回戦、リボンの第2回戦、ウサギの第3回戦です。ゲームマスターがどうしても行ってほしかったのは3つ目ですよ」
「そうでしたの」
「ウサギの第3回戦、屋上のSR」
「えっ、あ、しょ「食堂のことを伝えに来たのみで、ここではそれ以外の会話はされていない」…だけど…」
急に話しを振られて驚いたのでしょう
どもりながらも覚えている限りでは正確に言う
「ゲームマスターに「では、どこでなら会話がされたのでしょう」と聞かれました。そして、「特別サービス、無料で教えて差し上げます」と言われました」
なんとなく話しが見えましたわ
「だがさっき割引と言っただろ?」
「はい、この話しをされたのはウサギの第4回戦を出るときです。なので私にこれ以上どこかへ行ってほしくないのではと考え提案を拒否ました。それで最終的に割引で案内ということに落ち着いたんです」
恐らく本気でそう思ったのでしょうね
値引きのためにそう言ったのなら策士ですが…
しかし、意識せずに出来るというのも厄介ですわ
先程から同じことを考えては…?
「次はリボンに行ったヤツにするか?その方が話しが分かりやすいだろ」
「わたし、第2回戦会場4。でもなにもなかった」
N『[参加者I]が[参加者R]に勝負を挑んだ』
SR『双方所持金がマイナスにならなかった』
「確かになにもないねぇ。所持金がマイナスになったときの対応でも分かれば話しは少し違うけどそれもない。それに第2回戦での無実は既に証明されてる。行き損だねぇ」
「行ったのはそこだけ…」
明らかに落ち込んでいますわ
事実でも、そんな言い方をしなくても…
いいえ、他者を気にかけている場合ではありませんわ
わたくしはわたくしのやるべきことをしなくては
「わたくしも行きましたわ」
「他の参加者が無実を証明してくれるのを待つ流れの中自分で行くとはな」
「第2回戦は[ペンギン]がしてくれましたわ。けれど気付いていますわよね、第1回戦が後回しになりがちだと」
「そうなるだろうな」
「ですので自分で身の潔白を証明するのですわ」
うーん…?
それなら自分しか知らない指名の会場の方が良かったのでは…?
……………
過ぎてしまったことは仕方がありませんわ
「わたくしは自分の第1回戦、最後の部屋に行きましたわ」
共有していき他の参加者と情報の差がないことを示す
「Nはありません。URは例のごとく映像ですわ」
銃を向けていると明らかに持っている銃とは違う種類の銃声が響く
映像の女性がした行動は自身が手に持っていた銃が置いてあった台に隠れること
安全を確かめた後にゲームマスターの方へ行き、止血をする
「客観的に見るとわたくしは冷たいでしょうか。けれど、これもまた「普通の反応」だとわたくしは思うのです。何故「次は自分が撃たれるかもしれない」と思わなかったのでしょうか」
「混乱していただけだ」
「あんなゲームをさせておいて唯一の生き残りを殺すなんて、それこそなんのためにあんなゲームをしたのかなぁ」
「確かにそうですわね。わたくしも混乱していたということなのでしょう。兎に角、わたくしの最後の部屋での無実は証明出来ましたわね」
「そうだねぇ」
どこか納得出来なさそうな言い方ですわね
きっとさっきのわたくしと同じことを思っているのですわ
早く次の話題に行ってしまいましょう
「そしてもう1ヶ所行きましたの」




