閑話1:島田樹
現在1話からストーリーを少しだけ修正しています!
描写不足を補えていればいいのですが違和感などありましたら是非教えて頂けると幸いです!
俺の名前は島田樹
まぁどこにでもいる普通の高校生だ、と思う。
俺の家はもう大分昔にはなるが父親を亡くしていてそれからは母方の祖父と祖母、そして母と俺と妹の5人で暮らしている。
祖父と祖母の所有している土地に建てた父親の家ではあるが年金生活をしている二人と母でローンを払いながら裕福な暮らしが出来る訳も無く。
特に父が亡くなった理由も不明だったのが余計にタチが悪い。
保険金が降りなかったんだ。
それから母は出来る限り働くために俺たちの面倒を祖父と祖母に頼むという生活が続いている。
元々専業だった母では父のような稼ぎにはならないがせめて大学は行かせたいと言っていた。
確かに俺は行こうと思えば行けるだろう。
だけど俺は自分の体格や力を考えても肉体労働で全然働けるくらいの能力はあると自負している。
まぁそれがしたい仕事かと言われると困ってしまうが。
だけど俺がそれで大学に行ったとしても次は妹だ。
俺たちは普通の人並みの学力はあれど特待生になれる程の能力がある訳でもない、だから学費は普通にかかっていくだろう。
日本の大学がいくらかかるか分かるか?
最低でも数百万は3年間で飛んでいく。
二人なら下手すりゃ4桁万だ。
そんなお金がうちにある訳が無い。
だから俺は自分の小遣いと学費をバイトで稼いでいる。
高校の学費だけでもそれなりに痛いからな。
幸い中学までは国の支援で学費や医療費がタダになっているから妹に関しての問題は無い。
だから俺が金さえかけなければ妹は好きな大学を選べるくらいにはなると思う。
俺は男だ、働こうと思えばどんな方法でも働ける、それでいい。
でも妹にはそんな思いをして欲しく無い
大事な家族だからな。
だがそんな事を考えながら生きていた高校3年の春、俺の人生を動かす大きな出来事が起きた。
ダンジョンだ。
小説やゲームによくあるあのダンジョンだ。
俺は思った何の冗談かと
だけど実際に報道され存在を確信すると次はこう思った。
チャンスだ、と。
誰よりも早く入り、生きて戻る。
そうすれば謝礼なんか出るかもしれない。
もしかしたらポーションなんかもあるかもしれない。
そう思ったら興奮せずにはいられなかった。
「せめてバットとかヘルメットは持っていったほうがいいんじゃないか?防具と武器ってダンジョンに必須でしょ?」
だが親友とも言える肇にこう言われて俺は冷静になった。
そうだ、ダンジョンなんて実際に入って死んでしまえば何の意味も無い。
残された家族に父親が死んだあの時のような思いはさせたくない。
もしかしたらそのうち解放されるかもしれない。
その時に頑張るのはいいかもしれない。
まぁもし見つけたらバットとヘルメットは持って行くか、とは少し思ったが。
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そんなある日朝ご飯を食べながらニュースを見ているとダンジョンギルド設立と総理自らダンジョンの有用さをアピールする映像が流れた。
日本にしては早い対応だな、と感心しそれと同時に自分も探索者になれれば運が良ければ大金が手に入る可能性が出てきた事に少し嬉しくなった。
学校で速攻で肇にその話をしたのはもはや当然の流れと言える。
だが肇から帰って来た言葉は俺の予想以上で
何故か肇の家に呼ばれる事になった。
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「それじゃあ、まずダンジョンに潜るのは本気だって言ってたよね。」
俺は肇の部屋で肇にそう問いかけられる。
「稼げるなら、って前提はあるけどな。」
金にならないのに命を張る理由は無いし当然だろう。
「それなんだけど実はね今この家にダンジョンがあるんだ。」
「は?肇お前何言って?」
何を言っているんだ肇のやつは。
「まぁ、そうなるよね。」
肇はそう言いながらクローゼットに手をかけその扉を開いた。
「これ見ても同じ事言える?」
「な、なんだこれ。」
そこには服など何も無くあるのは下に続く階段だった。
ただこの部屋の位置を考えるとその階段は余りにも不自然ではあるがそのおかげでダンジョンである事も理解出来た。
その後肇が装備をくれた。
ダンジョン素材を使った最新装備らしいのでありがたく使わせてもらう事にした。
それから中に入りすぐにウサギの角を砕きまくりレベル上げをして俺も気付けば1週間ほどで転職していた。
体格のおかげか戦士という職業になれた。
それでも俺は肇に追いつける気がしない。
追いつけなくてもせめて足を引っ張らないようにはなりたいと思った。
肇のおかげで俺はダンジョンに潜る準備が出来た。
あとは免許さえ取れればお金を稼ぐ事も出来るらしい。
その日が楽しみだ。
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