27:探索者認定試験合格者説明会①
お久しぶりです、なんとか生きています。
エタる訳にもいきませんので久しぶりに更新します。
ダンジョンへ潜るのは近いうちに再開予定です。
更新頻度はまちまちになるかとは思いますが、お付き合いいただければ嬉しいです。
探索者認定試験の結果発表が行われてから1週間後の土曜日である今日、合格者説明会が開かれる事になった。
僕と樹は会場へと赴き、指定された席に座り説明会の始まりを待っていた。
樹は会場が違っていた関係か別の席のようだったので途中で別れている。
すると、僕がペンを貸した女性が僕の隣に座った。
「あっ、おはようございます!あの時はありがとうございました!おかげさまで無事合格出来ました!」
女性は僕に気付いたからかそう挨拶をしてきた。
「いえいえ、役に立てたのならよかったです。」
「これも何かのご縁でしょうし、軽く自己紹介でも、私は立花華奈です、もしご一緒する事があればよろしくお願いしますね?」
同業者になるだろうし顔を覚えておくのもいいだろうと思い僕も同じように自己紹介をする。
「僕は伊吹肇です、こちらこそよろしくお願いします、えっと立花さんと呼べばいいですか?」
「華奈でも立花でも構いませんよ、私は肇くんと呼ばせて貰いますね?」
「それなら僕は華奈さんと呼ばせて貰いますね。」
「ふふっ、ちょっとくすぐったい気分になりますね。」
手元を軽く抑えるように華奈さんは笑いながらそう言った。
「おっと、そろそろ始まるみたいですね。」
「あっ、本当ですね。」
そうして説明会は始まった。
説明会の会場の真ん中には大きなスクリーンがあり、そこから映像が流れ始めた。
『探索者認定試験合格者説明会へお越し頂いた合格者の皆様、私はダンジョン大臣をさせて頂いている田中敦敏と申します。』
『今回何故このような形でダンジョンに入るために試験を行ったのか、これは試験願書にもあったように機密事項となりますので外部に漏らさないようにお願いいたします。』
『まずはその試験を行った理由、それはダンジョンの中から産出されるアイテム、素材と言ったものが資源になる、それが理由です。』
『皆さまは試験の内容がかなり簡単に感じたのでは無いでしょうか?』
これは僕も思っていた事だった。
『実は試験は小学生レベルの物を解けさえすれば合格出来るものでした。』
『なのに何故合格率約70%だったか、それはスパイ、他国籍、元外国籍の人間を我が国のダンジョンに入れないためでもあり、更には過去に犯罪歴のある人間も強制的に不合格としております。』
その瞬間に会場がざわつき始めた
『では何故そこまでして日本人のみに許可をするようになったかですが、ダンジョンの中でモンスターを倒すとレベルと呼ばれる物が上昇します。』
レベルについての話が始まると会場内の空気が一気に熱され多くの人のテンションが上がっていく。
『そしてそのレベルが上昇すると一定の量のステータスが上昇するのですが、このステータスが1上がるだけで何もしていない一般人を圧倒できうる能力を手にするのです。』
『そしてダンジョンの解放が遅くなった理由、それはレベルの上がった人が起こす可能性のある犯罪に対抗でき得るだけの能力を警察や自衛隊に付けさせるためです。』
『こういった理由もあり、なかなか国会で決まらなかったのが対応が後手に感じられた理由であります。』
『そして、今回この会場へお越し頂いている約7000人もの方々にはこちらの端末をお帰りになる際に受け取ってください。』
そう言って大臣はスマートフォンのような物を取り出した。
『これはダンジョン探索者認定者全員に与えられます特殊端末、通称DanPhoneです。』
『この端末は政府の管理する特殊なサーバーにのみアクセスが出来るようになっており、通常のスマートフォンのようなインターネットブラウジングが出来ない仕組みとなっております。』
『ではこの端末で何が出来るか?ですが、本端末に登録したパーティメンバー及びフレンドへの通話、これはほぼ電話のような物ですね。』
『次にダンジョンにおける情報の提供サイトへのアクセスを可能にします。』
『このダンジョンに対する情報の提供ですが、提供された情報は皆様にご覧頂けるようにしております。』
『故に、日本人の皆様のみがアクセス出来るように試験と言う名の審査を行ったのであります。』
『更に特殊な技術を使用し、データの抜き出し、書き込みは完全に不可能になっています。』
『充電に関しても専用の機器を利用したワイヤレス充電となっており、一切のコード類を使用しない仕様となっております、故に水などで故障しないようになっております。』
『注意点としてこの端末を利用する際に網膜認証を利用しますので不正を防ぐために会場内で職員の前で登録を済ませてからお帰りになるようにお願い致します。』
『そしてこれが一番重要な点ですが、もしも外部にダンジョンについての機密事項を漏らした場合最低でも終身刑、内容如何によっては死刑となる重大な犯罪となります、漏らしてはいけない内容はDanPhone内にマニュアルが有りますのでしっかりと読んだ上で行動して下さい。』
『そして、最後に報酬についてです。』
報酬の話題が出た瞬間に会場内ではごくり、と唾を飲む音が聴こえてきた。
『ダンジョンにおいてモンスターを倒す事はダンジョンからモンスターを外に出す可能性を低める唯一の手段です。』
『モンスターから出る固有のドロップ品、これをダンジョン入り口にて買い取る事で報酬とさせて頂きます。』
『初級ダンジョンにおけるモンスターから出るアイテムでは大した金額にはなりませんが、数を集めればそれなりの金額になる程度の報酬金設定となっています。』
『安定した生活をしたい方は初級ダンジョンでノルマを決めて安定したお金を貰うのもよし、しっかりとレベルを上げた上で中級ダンジョンへ赴き一攫千金を狙うのもいいでしょう。』
『ですが!』
大きな声で田中大臣は叫んだ。
『一番大事なものはあなた方の命です、決して無理をせず、地力を付けた上で上を目指して貰えればと思います。』
『ダンジョン内で起きた事に関しては犯罪行為を除き、国が責任を負えません、全てが自己責任です。』
『ですが、あなた方が新たな国防の要となるのは間違いありません。』
『リターンもそれなりにありますが命の危険も多い仕事となるでしょう、一つだけ言っておきますが初めから初級ダンジョンのみで生計を立てるのは苦難の道でしょう。』
『最初はアルバイトの賃金程度しか稼げないかもしれません、ですが我々がやらねば国がどうなるか分かりません。』
『ですが、国も何もしない訳にはいきません。』
『故にダンジョンの情報を交換するための端末、そして初期装備の支給、細々としたサポート、国に出来るのはここまでです。』
『端末の方に記載されてはいますが実戦形式のダンジョン研修も行なっていますのでこの中にダンジョンへ既に入った事がない人は確実に研修への参加をお願い致します。参加費は無料ですし、参加している間に報酬金を用意しております。サポートは国がいたしますので皆様どうか!生きて帰って来てください!』
『私からは以上です、これからは各会場で端末についての詳しい説明などがありますのでよろしくお願い致します。』
田中大臣の演説が終わった時会場内は拍手に包まれていた。
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