24:ダンジョンギルド
おまたせしました。
最近生活リズムが狂っているのでなんとかしたいです。
日本がダンジョンに対して行う対策の一つとして立案されたギルドという組織
その組織の発足を公式に告知するべく今日は日本中のマスコミを集め記者会見を行おうとしていた。
その会見の中心人物となるのはやはりこの国の首相である阿部晋次だろう。
多くのマスコミが総理からどんな情報が飛び出すのか聞き逃さないためにカメラを回している。
「えぇ、まずはこの場に来てくださったメディアの皆様、今回このような会見を開いたのは現在世界を震撼させているあのダンジョンについてです。」
ごくり、と唾を飲み込む音が会場に響き渡った。
「まず私たち日本政府は以前発表したダンジョン庁から下部組織となるダンジョンギルド、通称ギルドの設立を発表いたします。」
「このギルドと言う組織は一般の方にもダンジョンへ入って頂けるようにするための組織になり、ギルドで許可を得ずにダンジョンへ入った場合犯罪となります。」
「何故そんな事をするのか、と多くの方は思うでしょう、その理由はダンジョンが資源になり得る事が判明したからです。」
総理が発表した内容は多くの人には理解が出来なかった。
無理もないだろう、モンスターと呼ばれる存在がいる場所に一般人も入れるようにする、更にはダンジョンが資源になると言うのだから。
「手取り早く理解して頂くために私はこれを用意させて頂きました。」
そう言って総理は小さな小瓶を取り出した。
「これは初級回復薬、通称ポーションと呼ばれる物です、これには瞬時に傷を癒す効果が有ると言われています。」
会場がざわめき始める、そんな事があるわけないだとか、首相がゲームのやり過ぎで頭が狂ったのかなど散々な声が聞こえてくる。
「見て頂いたほうが早いでしょう。」
そう言って彼は自分の持っていたボールペンを自らの掌に突き刺してしまった。
彼は苦痛に顔を歪める。
彼の掌に刺したボールペンを引き抜くと次は小瓶の中身を口に持っていく総理。
「そう、してこれを飲む、と。」
傷口は一瞬にして消え去ってしまった。
会場にいた全員が口を大きく開けて信じられない物を見るような目で総理を見る。
「これでご理解頂けましたでしょうか?」
頷く多くのマスコミ達。
「ダンジョンにはこう言った今までの常識から大きく離れた物が発見されているのです。」
「そしてスタンピードを阻止するのは自衛隊だけでは不可能です。」
「故に、ダンジョンギルドを立ち上げる事にしました、日本をダンジョンの脅威から守るために。」
会場は大きな拍手に包まれた。
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「なぁ肇!今日のニュース見たか!?」
僕に友人である樹がテンションをあげながら話かけてくる、大方ダンジョンの一般人への解放の事だろう。
「ダンジョンギルドでしょ?」
「そうだよギルド!完全にラノベの世界じゃん!」
「俺さ、学校卒業したらギルドに入ろうかなって考えてるんだよ今。」
樹は相当ダンジョンに入れ込んでいるらしい。
「でもダンジョンは危険なんじゃないか?」
僕は樹にそう指摘してみる。
「最初は国からある程度のバックアップがあるらしいからさ、初心者でも行けると思うんだよ、特に俺一応運動部だし体力には自信あるんだぜ?」
樹は地味に陸上部だったりする。
確かにスタミナの問題は無いかもしれない。
「本気なんだな?」
僕は樹へ問いかける。
「勿論だ。」
「なんでそんなにダンジョンに拘るんだ?」
「最初は興味本位でだったんだけどさ、スタンピードが起きたらさ自分の周りくらいは守りたいだろ?その時のための力を付けたいっていうのも本音だな。」
「そうか、親から許可は取れたのか?」
「なんとか、な。」
「うん、だったら今日の帰りうちに来ないか?」
「なんでだ?」
「家で教えてあげるよ。」
流石に友人を放ってはいけない。
前にダンジョン庁の人も言っていた、レベルの有る人間が増えるのは歓迎だと。
ただ犯罪を犯しそうなものだけはやめて欲しいと言っていたけど、樹なら大丈夫だろう。
樹は優しい人間だから。
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