20:日本、ダンジョンに力を入れる
ここら辺からようやくダンジョンに表立って入る下準備が出来ました。
「それで、彼のステータスは入手出来ましたか?」
ダンジョン対策本部の本部長である田中が部下である山下に問いかける。
「はい、私は彼に一度会っているため指示を出しただけですが、鑑定持ちの人間からステータスを紙に書き出してもらったところステータスはほぼ40一部のステータスに至っては50を超えている様子でした、こちらで把握出来るのは数値のみだったので他にスキルを持っているかどうかは確認出来ませんでした。」
「確か全てのステータスを見るには鑑定される人間から許可を得ないといけないのでしたね。」
「そうです、ですがこのステータスであるなら初級ダンジョンのソロでの踏破も不可能では無いと考えています。」
「ふむ、分かりました、手間をおかけしましたね。」
「いえそんな事は、もしも彼の協力を得られる事が出来ればダンジョンについてもっと理解が進むと思うのですが、これからどうされるのですか?」
「実はですね、一部の初級ダンジョンに生息するモンスターからかなり強靭な繊維をドロップするモンスターが確認されたんですよ、あなたの方でも情報くらいは回ってきていませんか?」
「そう言われると噂程度には。」
「それをどこからか知った一部企業がダンジョンの民間への解放を訴え出して来ているんですよ、自社で探索要員を用意すればいいのでは?と言った具合にですね。」
「雇用された民間人が怪我でも負おうものなら政府が叩かれるのは目に見えていませんか?」
「まぁ、そのあたりを上手くやるのが上の仕事ですね、私たちは出来る限りダンジョンの管理をしていくしかないのですよ。」
「そうですね、私たちはあくまで管理側ですからね、中に入って何かを行うのは別の人の役割と言うことですね。」
「そういう事です。」
「そうだ、私はこの情報を総理へお伝えしていきますので、戻ってもらって大丈夫ですよ。」
「わかりました、他に何かやったほうがいい事はありますか?」
「今のところは大丈夫ですよ。」
「分かりました、失礼します。」
そう言って山下は部屋から出て行った。
「私も総理の下へ向かうとしましょう。」
それから4時間後に総理との面会をする事になった田中は総理との待ち合わせ場所へと向かう。
もう時間は遅く普通であれば退勤しているような時間ではあるが、現在の非常事態に対処するべく多くの人間が残業をしているそんな時に阿部総理に田中本部長は報告を行っていた。
「彼のステータスの詳細を見て頂けましたか?」
田中本部長が総理へ渡した資料と同じ物を見ながら総理へ問いかける。
「えぇ、見させていただきました。」
「見た通りではありますが明らかに異常なレベルとステータスです、自衛隊のトップチームで現在レベルは8ひとつのステータスで13が最高です。」
「約3-4倍のステータスの差ですか、一体どうしたらここまで上がるのでしょうか?」
「それは彼に聞いてみない事には分かりかねますね。」
「そうでしょうね、問題はまだまだ山積みですか。」
「それと、スタンピードの可能性についての検証は進んでいますか?」
「こちらは今まで探索をされていないダンジョンを自衛隊に攻略してもらい一度階層にいるモンスターを全滅させその後に復活したモンスターの数を数えるという方法で行ったところ明らかに放置されていたダンジョンにモンスターが多くいた事が判明しました。」
「ただそれが外に出る確証はありませんが、手は打っておくべきかと。」
「ダンジョンの民間への解放を行えば初級ダンジョンに限って言えば間引きは可能だと思いますが。」
「やはり企業から、ですか?」
「はい、あの繊維の噂がかなり影響しているようです。」
「多くの法律の改正が必要となりそうな案件ですね、こちらでも考えておきましょう。」
それからすぐに臨時国会が開かれ、ダンジョンに関する法律の草案が提出された。
大まかな内容は
ダンジョンの民間への解放
但し、入る際は全て自己責任
ダンジョンにて扱う武具の免許制度
銃刀法を改正する事で刃物のみ携帯が特別に許可されるようにする
この免許を持っていて犯罪に利用した場合罪がかなり重くなる。
それに併せてダンジョン対策本部をダンジョン庁へと名称の変更国の一つの組織とする。
今まで各地にあった支部をダンジョン付近へと移転し、ダンジョンへの入場の管理を行うための部署とする。
それにあわせた建物の建造。
緊急時にはステータスを持つ者には民間のステータスを持たない人間達を守るために国から要請がかかるためそれに同意する事。
この法案が可決されてから1週間後にダンジョンを故意に報告せず周りに悪影響を与えた場合重罪とする。
もしもダンジョンを新たに発見した場合に報告を行う事を全国民の義務とする。
ダンジョンが出来た事による損害や事業所の移転や個人の引越しの費用は国の負担で行う。
と言った内容になったが珍しくも反対意見は出ずこの法案が可決される事となった。
ダンジョン庁発足後日本はスタンピードについての考察と対処法を世界に向けて発信した。
この時から世界中で死に物狂いでダンジョンにいるモンスターの間引きが行われる事となった。
この時世界中でダンジョンに立ち向かうべく
国際ダンジョン対策協会(通称AIDM)が作られた。
だが、まだこの時全てのダンジョンが判明しておらず世界中で不安感が高まっていった。
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