19:無意識って恐ろしい
今回は学校での小話みたいなものです。
土日の連休も明け僕はまた学校へと登校する。
今日の一番の問題は体育だろうか。
間違えて全力で走ろうものなら何を言われるかわかったものじゃない。
それくらい今の僕の速力は上がっている。
それこそ世界記録なんて目じゃ無いくらいに。
「はぁ、変な事にならないと良いけど。」
教室へと入ると樹が話しかけてきた。
「なぁ肇知ってるか!この県でもダンジョンが発見されたらしいぞ!」
もう僕の家のダンジョンの情報が出回ったのだろうか。
「なんでも初級ダンジョンが見つかったらしい・・・まぁ、場所は分からないんだけどさ、ちょっと憧れるよな。」
ん?この言い方だと一箇所だけだろうか?
僕の見立てだともう三箇所はある気がしてたんだけどな。
僕の家のダンジョンの事では無い気がしたし、多分別のダンジョンだろう。
「マジかーダンジョンかー、中には何があるんだろうなー」
なんてまるで知らないかのように振る舞うけどほぼ毎日入ってるなんて言える訳が無い。
「やっぱりダンジョンって言えばさ、お宝だよな!宝石とかかっこいい装備とかさーかっこいい大剣とか装備してみちゃったりさ!」
実際に大剣なんて持とうものなら振れないと思うんだけど、今のステータスの恩恵を考えるとあながち無理でも無い気がしてくる。
「僕的にはショートソードとかかなー盾とかもいいよなー」
実際に僕の戦闘スタイルを考えるとラウンドシールドあたりは持っておきたい気がする。
いざという時に守れる場所があるっていうのは大きいからね。
「確かに盾もありだなーでもそうなると双剣っていうロマンも良く無いか?」
「本当に樹はそういうの好きだよな。」
「あったりまえだろ!男なら誰だって憧れるっつーの!」
そんな他愛も無い話しをしていると予鈴が鳴り始める。
「んじゃ、今週も頑張っていくか。」
「だね。」
そうして授業が始まっていく。
そして問題が起きたのはやはり、と言うべきか体育の授業中だった。
僕たちは今授業でバドミントンをやっている。
勿論クラスにはバドミントン部の人もいる訳で、僕は対戦相手全員を総なめにしていた。
いやね、本気を出したつもりはなかったんだ。
ただ、シャトルの動きが読みやすくて普通に打ち返したりしただけなんだ。
するとたまにとても打ちごろのやつが来る訳で、それをスマッシュしたら、相手に見えない速度で決まっていくんだ。
バドミントン部の人に至っては、目を点にしていたよ。
ステータスの恩恵を知ってしまうと手を抜いても相当能力を発揮してしまうらしい。
先生も言葉を失っていたよ。
どうしよう。
「お、おい肇、お前、バドミントン部だったっけ?」
樹が問いかけてくる。
「い、いや、完全に素人だよ・・・?」
間違ってはない、バドミントン“は”素人だ。
「いや絶対嘘だろ!?あんなとんでもないスマッシュ見せられて初心者とか誰も思わねぇって!!!」
だよね、僕もそう思う。
「それに、なんでバド部の高橋の打ったやつ全てに対応してんだよ!あいつ地味に県大会準優勝の実力者なんだぞ!」
全国では無いにしろ県大会の準優勝、実力はかなりのもののはず。
ステータスで上がった胴体視力、力、敏捷性全てが組み合わさってしまうとアマでもプロに勝ててしまう、という事か。
「えっーと・・・」
僕は返事に困っていると
「な、なぁ伊吹くん、もしよければバド部に入らないか?君ならきっと全国を目指せると思う。」
バド部の高橋くんが僕を部活に勧誘してきた。
やめて、それは僕の実力じゃない、違うんだ!
全てはステータスってやつのせいなんだ!
「ぼ、僕は部活には入らないって決めてるし、い、今から入ってもなんか悪いし!それに受験もあるしさ!」
「そうか、それは残念だ、絶対才能あると思うんだけどな、気が変わったら教えてくれると嬉しい、今月中なら大会へのエントリーも間に合うからさ。あと優勝すると進学に有利らしいよ?」
もう大会に出す気満々だった。
勘弁して欲しい。
しかも優勝とか、そんな事になったら僕の胃は死んじゃうよ?
「肇、いつのまにこんな運動神経よくなったんだ?」
「そ、そうだねいつからだろうね。」
これ隠し通せるのか不安になってきたよ僕。
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こちら新作のテイマーものです。
ほんわか系でやっていくつもりなのでよければお付き合いください。
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