フリーター大地に立つ
初投稿になります。続けば良いなぁ
俺 二浦完二は、とある田舎に住む高校中退で 自宅に寄生するニート一歩手前の20歳である
その日 いつものように通っているバイト先の「スーパーカガミ」の帰り道 それはいきなり襲ってきた…
「だいたい田代のオバチャンは細けぇんだよなぁ 廃棄品くらいでガタガタとさぁ…」
スーパーでの期限切れ食品を普段からちょろまかしていたのだが 朝礼で店長から「誰がやっているのか判らないが止めるように」とお達しがあった
その日の帰り道
バックの中には戦利品
菓子パン×4
サンドイッチ×2
紙パックお茶1ℓ
紙パックオレンジジュース500㎖
真空パックハム300g×2
筒入りポテチ×3
「大戦果である(笑)」
「あのババァどうせ自分で持ち帰るつもりだった品物が無くて気付いたんだろうがよ~ いちいち店長にチクるなよなぁ
だいいたいバックヤードの廃棄品入れは鍵が付いてっけど扉が簡単に外れるのは皆知ってる事実だし」
キコキコと自転車を漕ぎながら独り言で 自分勝手な屁理屈全開である
廃棄品であれ盗みには違いないので罪悪感を薄れさせる為に独り言をブツブツと自己正当化している小心者だ
道を外れ いつもの雑木林に向かい
「早番で時間も有るしアウトドアしてっかぁ~」
スーパーの品出しや仕入れの荷受けで朝4時からのバイトで昼上がりシフトだったが正社員ならこうはいかない
意気揚々と自転車で雑木林の奥へと向かう
田舎町なのであちこちに雑木林が有り山の方へ向かえば 原生林と言ってもおかしくない場所も有る
アウトドアと言ってもネット動画や本で見たサバイバルテクニックを 見よう見まねで再現する程度の遊びであるが人付き合いが苦手なボッチには有意義な遊びと言えよう
林道を外れ獣道を自転車に乗りながら いつもの少し開けた空き地に向けてゆっくりと進んでいたら突然違和感が襲って来た
「ん?」
周りの景色が徐々に歪み始め 足元が不確かにグラグラと安定性を失い 思わず自転車のペダルから足を放し横倒しに地面に手を突こうとした瞬間全てが闇に包まれた…
「うぅ~ん」
どの程度時間が経ったのか…気が付いて頭を振りながら状況を把握しようと身体のあちこちを摩りながら辺りをキョロキョロと見回した…
「何処だ此処?」
周りは木々に囲まれ雑草が足元を隠して獣道すら見当たらない森の中 木々の間がそれなりに離れていて鬱蒼としたジャングルと言うほどではないが人の手が入っているようにも見えない
「??え??何これ??何処??」
とりあえず起き上がり辺りを見回し茫然自失し立ち尽くす事数分間…
「何だか判らないけど帰らなきゃ…」
「帰ると言っても 今居る場所すら判らないのにどうやって~?」
軽い錯乱状態である
全身から冷や汗を出し早足で辺りをうろつき回り
360°彼方此方に移動した所で状況に大した変化が見当たらなく 最早立ち尽くすしか出来なくなってしまった
「落ち着け~俺 落ち着け~俺! 落ち着けぇ~俺っ!!」
深呼吸をしながら錯乱から落ち着こうと目を閉じる
「ふうぅ~ふうぅ~はあぁ~はあぁ~」
ゆっくりと目を開けて自分の手を見て顔に当てる
バシッ!
「夢じゃぁ無い!何だか判らないけど 夢じゃ無い!!」
気合いを入れるかのように顔を引き締め近くに有った倒木に腰を下ろして再度深呼吸を繰り返す
「ふうぅ~はあぁ~」
「状況確認!」
「此処は何処!?」
勢い良く右手を挙げて「分かりません!!」
「何故此処に!?」
勢い良く右手を挙げて「分かりません!!」
「…………………………………」
両掌を小さく開き荷物を横に除けるように「分からない事は後っ!!」
現実逃避なのか前向きなのか?大きく声を上げながら自身の現状を確認していく
「身体は!?」
頭を振ったり手を振ったり足を振ったり手で体のあちこちを擦ったり
「異常無しっ!!」
「持ち物っ!!」
「財布っ!!鍵っ!!携帯っ!!バックっ!!」
「携帯っ!?」
慌てて国防色のフィールドジャケットの胸ポケットからスマホを取り出しスイッチ入れて画面を覗く
「…………圏外!!」
倒木に座り項垂れ(うなだれ)た後 再びスマホを持つ手をあちこち伸ばして画面を確認しため息をつく
「はぁ~…………」
「圏外確認っ!!」
涙目になりながらスマホをポケットに戻して再び気力を振り絞ってヤケクソ気味に状況確認再開
「バックの中身確認っ!!」
「仕事用カッターナイフ×1 替刃×2
イボ付き軍手新品×2 使用品×2
黒マジックペン×1 赤マジックペン×1 3色ボールペン×1 シャーペン×1
メモ帳×1 ノート×1 シャチハタ×1
菓子パン×4
サンドイッチ×2
紙パックお茶1ℓ
紙パックオレンジジュース500㎖
ペットボトルお茶飲みかけ500㎖半分くらい
真空パックハム300g×2
筒入りポテチ×3
LED懐中電灯×2 単三電池×4 単四電池×4
モバイルバッテリー×1 充電コード×2
スーパーカガミジャンパー×1 スーパーカガミキャップ×1
以上っ!!」
出した荷物を再びバックに詰め込み飲みかけのペットボトルお茶で喉を潤す
「次っ!ポケットの中っ!!」
「さっき見たやん!」とノリツッコミ 余裕あるのかな?
「一応再度確認!
財布 所持金2千6百82円
千円札×1
五百円玉×2
百円玉×5
五十円玉×2
十円玉×6
五円玉×3
一円玉×7
各種カード
銀行口座×1
保険証×1
会員証やら×5
レシート×5
キーケース
家の鍵×1
自転車の鍵×1(予備)
携帯×1
以上っ!!」
「ハッ!!自転車鍵!!俺のチャリは!?」
辺りを見回し最初に起き上がった場所の辺りを見回し雑草が不自然に倒れている場所に駆け寄って見るとそこには見慣れたナンチャッテクロスバイク6段変速が横倒しのまま鎮座していた
「あぁ~良かったぁ~無事に有ったぁ~」
「修理キットも空気入れも付いたままだな」
パンク修理一式 六角レンチツール 万能スパナ 携帯空気入れ
パンク修理に金を出すのが勿体ないので揃えた品々である
自転車を起こし一通り確認して動きが止まる…
「はぁ~どないしょ?」
前途多難である