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逃げるモノ。追うモノ。逃がすモノ。【逢】  作者: 小鳥遊 雪都
月の雨。
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ガラスの星屑。

僕は毎朝3時には必ず起きる。


そして、起きたらまず着替えだ。


僕は真夏でも長袖を着る。

それもできるだけ厚手のものを。


その暑苦しい理由は三つ。


一つ目の理由は身体中にできた痣を隠すため。


二つ目の理由は長袖の服しか僕は与えられていないから。


そして、三つ目。

その三つ目の理由が一番重要でそれは謂われない暴力から身を守るためだ。


容赦ない暴力から身を守るにはできるだけ厚手の生地のものがいい。


真夏の暑さと暴力の痛みなら僕は迷わずに真夏の暑さを取る。


そんなものを天秤に掛ける子供は僕くらいのものかも知れないけれど・・・。


着替えを済ませた僕はすぐにリビングの掃除へと取り掛かった。


けれど、電気は点けない。


そして、物音はできるだけ立てないように細心の注意を払う。


それはまるで悪いことをしているかのように・・・。


していることは掃除でいいことのはずなのに・・・。


僕は外から入ってくる僅かな明かりを頼りに脱ぎ捨てられた服を回収し、所構わず投げ捨てられたゴミたちを拾っていった。


その時だった。


濃い茶色のフローリングの上でキラキラと光る何かが僕の目を引いた。


ふと昨日、紗江子さえこさんが投げ割ったガラスコップのことを思い出して僕は小さな溜め息を吐き出した。


僕は星屑のように散らばっているそのガラス片を手と足の裏に刺しながらそれを回収していった。


そして、その回収作業を終えてから僕は声を出さずに少し、泣いた・・・。

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