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奏星機グランセリオン  作者: みんと猫
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第4話 八神将 Bパート

「我が腹心たる八神将よ」

 

 皇帝陛下の重々しい声が黒薔薇の間に響き渡る。

 ……なんか久しぶりに声聞いた気がするな。


「極光のシルバリオの不用意な行動により、我らが宿敵、奏星機は打ち倒されてしまった」

 

 僅かな沈黙。


「打ち倒されてしまった!」


「ちょっと!なんですか陛下!」


 皮肉のスパイスの効きまくった陛下の嫌味に、槍玉に上げられたシルバリオが憤然と立ち上がる。


「おっしゃりたいことは重々承知しておりますがね!」


 眼鏡が輝く。


「宿敵というからには、倒して称賛されこそすれ、ブーイングされるいわれはありませんよ?!」

 

 まあ、確かにその通りではあるんだが。


「そうは言うがな、シルバリオ」

 

 紅の破軍が落ち着けとばかりにパタパタと手を振る。


「もし逆の立場だったら同じように盛大に文句を垂れ流していたんじゃないか?」


 図星を指されたシルバリオが、うぐっと声を詰まらせた。

 

「ようやく現れた正義のヒーローじゃぞ?存分に楽しむ前に終わらせてどうするのだ、勿体無い」

 

 傾城娘々がオーバーアクション気味に首を振る。

 

「ええい、皆してネチネチと!」


 シルバリオが秀麗な顔を歪ませた。


「まるで負けていた方が良かったかのような言い種ではありませんか!」


 もし敗北していたら今頃どうなっていたかと訴えるシルバリオに、俺は我ながら人の悪い笑みを向けた。


「そりゃお前、その時はフフフ、所詮極光のシルバリオなど我等八神将の中で最も下の者、って満を持して俺が登場するに決まってんだろ」


「やっぱりそれですか、それを狙ってましたか!」


 当然だろ。

 ちょっと待て、そのセリフ俺が、いえ私が、と八神将の大人げない、だが無駄に真剣な口論を玉座からの声が遮った。


「なんにせよ、だ。我等が覇道を阻むはずの奏星機がとんだ期待外れだったのは残念なことだ」


 うんうんと同意する八神将。


「そこでだ」


 なにか悪企みを思いついたかの様な含みのある声。


()は地球人共に帝国の技術と資金を提供してやろうと思うのだが」


 ……これまたとんでもないことを。


「敵に塩を送るにしても、少々太っ腹すぎはありませんか?」


 予想外すぎる案にざわめく八神将だったが真意を推し量るべく、破軍が自国の(ことわざ)を用いて陛下に問う。


「奏星機は残念でしたが、地球の方々の力は決して侮れるものではありません。そこに帝国の技術力が加われば、事次第によっては(わたくし)達にとって脅威となりえるかと」


 アンネロッテも淡々と懸念を示す。


「確かにその通り。だがな──」


 ごぼり、と<玉座>の培養液が泡立つ。


「その脅威とやらは卿等(けいら)の大好物であろう?」


 さすが、我等が偉大な皇帝陛下。

 分かってらっしゃる。

八神将の圧倒的な力に敗北した奏星機。

鷹士もまた、傷つき倒れた。

恐怖と絶望に苛まれる中、少女は少年の魂に触れる。

次回、奏星機グランセリオン「星は砕け、刃折れても」

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