戦争
第六次世界大戦勃発よりxxxx年。
なぜ戦争が始まったのか、今では誰も覚えていない。
しかし超文明によって作られた殲滅兵器は、まるでゲームでも楽しむように次々と人類を駆逐していく。
死を恐れた人々は戦火を逃れるように一人、また一人と集まっていった。
生き残った人類は考えた。
どうすれば争いは無くなるのかと。
ある男は言った。
人類がいなくなれば争いは無くなると。
その男が超破壊兵器の方へ向かう。
慌てて近くの男が彼を殺した。
みんなが武器を捨てればいい、と提案した男がいた。
じゃあお前が先に捨てろ、と言うと彼は黙ったままうつむいてしまった。
全員でお互いを監視しよう。
抜け駆けで武器を使ったら、みんなでそいつを殺して自衛するんだ。
確かにいい考えかもしれない。
しかし、なぜか襲われたらしい事件が相次ぎ、自衛のための殺人も増えていった。
自分が標的になることを恐れた人々は次々と離れていった。
もういっそ宇宙人でも襲って来てくれないだろうか?
共通の敵がいれば人類は手を取り合うのではないか?
しかし既に私達のミルコメダ銀河内に未開の惑星はなく、
人類に敵う文明は存在しなかった。
超高性能のAIに人類を管理してもらえばいいのではないか?
しかし現状、人類より高性能のコンピューターを造ることは不可能であろう。
遺伝子科学の発達により、人類は自らの脳を超高性能に進化させた。
量子コンピューター並の演算をするなど、この世界では当たり前のことである。
私が思案に耽っていると、突然光と共に男が現れた。
どこかで殺された男が再生してきたのだろう。
時空間科学の発達により、死亡する前の自分を記録、再生することが可能となった。
人類は死を克服したのである。
彼は物理科学の叡知の結晶とも言える物質製造装置からビールと枝豆を造ると、何処かへと向かって歩き出した。
昼間からビールとは良い身分である。
私は紅茶を啜りながら、頭上で起こる争いを見て人類の未来を憂いている。
なぜ争いは無くならないのだろうか。