1.始まり
2002年春。
東京立川市。
まだ発展しかけのゴースト街、南口に健は立っていた。
健。18歳。ガソリンスタンド勤務。高校中退。中学まともにいかず。酒、タバコ、ギャンブル好き。女はそこそこ好き。
18歳になりたての俺はその日ガソリンスタンドの仲間と呑みに行く約束で待ち合わせした訳だ。
呑みに行くと言っても男4人、女4人のいわゆる「合コン」である。
しかも幹事の龍馬君の話ではみんな彼氏がいなく今までしてきた合コンでは持ち帰りをされる率が高いらしい。
前情報をくれる龍馬君は合コンのプロではないが情報を集めみんなに伝えてリアクションを楽しんでいる、みんなを楽しませたいというただのいいやつだ。
ちなみに歳は1つ上。
俺、ハジメ、直定。
中学が一緒で仲良し3人組。他にまだ仲間はいるが、よく3人で学校行かず遊びほけたりしていた悪友であり今のガソリンスタンドもみんなバイトしている。
とにかく俺、龍馬君、直定、ハジメの4人で今日は楽しんであわよくば持ち帰りを企み美味しい思いをしようというわけである。
女の子4人は北口にいるらしく龍馬君が場所を詳しく聞いている。
いざ、俺ら4人は足取り軽く、、むしろスキップするくらいで北口に向かった。
男4人は酒も強くそこらの女に酒で負けるほどヤワではないのもあり、もう勝った気でいた。はずだ。
北口は南口とは違く栄えている。
駅を出てまっすぐ行けば居酒屋などたくさんあるだろう。左にいけば四つ角飯店がありたまに餃子を食べたりしたこともある。
右はどちらかと言えば歓楽街的な立ち位置になるのかもしれない。
スピードというキャバクラがあり姉妹店のスペルを逆にしたディープスは南口にある。
ホストクラブもあり立川駅前にはスーツを着た俺と同い年くらいの男たちが若い女に声をかけている。
北口に着く前から女4人を必死に探す男4人。
だんだんと近づくにつれなんとなくあの4人ではないかと俺らの心は踊る。
「頼む、お願いだからマシな女であってくれ、出来れば全員」
俺ら4人の気持ちの一体感は仕事場のガソリンスタンドでは見れないくらい高まっていた。
ハジメ「あ、あれじゃね?」
直定「え?普通?ちょっと微妙っぽい、てかブスぢゃね?」
俺「ブスだな。ヤバいな。」
見事に4人全員がブスだった。
だがさすがの龍馬君は楽しませようと俺たちの初対面のあの何とも言えない空気をノリノリでやり過ごそうと頑張っている。
いわずもがな、全員ブスと判明した時点で俺らの気持ち的一体感はどこにもない。
女1「はじめまして!早く呑みにいこーよぉぉ!お腹すいちゃった」
俺、ハジメ、直定「・・・。」
正直名前すら覚えてない。ブスだった事は覚えている。
龍馬君のアホなくらい高いテンションに引っ張られしぶしぶ俺らは居酒屋に向かった。
ここから俺らの死闘がはじまる、、。